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カナは驚きと共に戸惑った。
「わたしのことを知ってるの?」
ケージはそれに答えず、カナを見つめた。
「なぜ悪意が消えている?」
カナは思い出そうとしたが、記憶は未だに曖昧でケージのことを思い出すことは出来なかった。
「あなたが……わたしに悪意を?」
ケージは嘲るように笑った。
「おかげで一人前の魔女になれたわけだ」
カナの拳が固くなる。
「そんなものになりたくない!」
カナはケージを睨みながらヨキに声を掛ける。
「行くよ」
ヨキは頷いた。
「ああ」
ヨキがカナの肩に手を当てた。カナは魔法を唱え、ケージに放った。
「ヒール!」
カナの魔法がケージに迫る。
しかしケージの体に触れる瞬間、カナの魔法は弾かれた。
「えっ」
ケージが嘲笑う。
「ふっ、そんな未熟な魔法が私に効くと思ったか。しかもヒールなどと。私をアンデッドとでも思ったのか?」
「防御魔法か」
ケージの体を虹色の壁が包んでいた。
カナは悔しさに歯を食い縛った。
ケージはせせら笑った。
「魔法が効かないならどうすれば……」
打つ手を失ったカナにヨキが囁く。
「大丈夫」
次の瞬間、ケージの包む壁がガラスのように砕け散った。
ヨキが微笑む。
「魔法でできた壁なんて、悪意でしかないんだから」




