18
施設は黒い炎に包まれている。
「王子! サントーリオ様!」
施設外にいるトリ族の悲鳴が響いた。
「まさか……」
ヨキは呆然とした。ケージという亜人のことを聞いていたのに、魔女であることを聞いておくべきだった。
と、崩れかけた施設内から黒い炎に侵されたトリ族が出てきた。トリトリオ三兄弟が千鳥足で這い出てきている。
「カナ、頼む!」
ヨキが叫ぶとカナは「ヒール!」と三兄弟に魔法を放った。悪意のオーラが体から消えて3人は倒れ込んだ。
ヨキが駆け寄った。
「王子は……?」
気絶した三兄弟の姿しかない。
「まさか、まだ施設内に?」
その時、サントリーオの閉じていた翼が力を無くしてゆっくり開いた。その懐の中に幼き王子が眠っていた。
「サントーリオ……」
悪意に侵されようと、王子を守ろうとする思いは消えない。その悪意を凌駕する忠誠心にヨキは心を打たれた。
「誰か、クックル王子たちを安全な場所へ匿ってくれ!」
「畏まりました!」と数人のトリ族が王子とトリトリオ兄弟を介抱した。
ヨキはカナ達の元へ戻った。
空に浮いていたケージがヨキ達に向かってゆっくりと降りてくる。そして音もなく着地した。
青白い顔と黒い髪が邪悪さを漂わせている。
この魔女がこの国を悪意に染めた元凶か、とヨキは身構えた。
「なぜトリ族の悪意が消えている?」
魔女ケージは施設の周りを囲むトリ族を見回した。
「おや、そこの亜人」
ケージが目を止めたのはカナであった。
「森で彷徨っていた見習い魔法使いか」




