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「国の民よ、聞いてほしいことがある。我が父ホロッホ国王は……、ほ、崩御された。……ホウギョってどういう意味、サントーリオ?」
サントリーオは弟たちに取り押さえられながらクックルに耳打ちしていたが、思わず言葉を呑んだ。
「そ、それは……」
クックルはゆっくりと首を振った。
「隠さないでよい……。もう父上はおられないのだな」
「クックル様……」
幼い王子は幼いながらに状況を把握していた。父が豹変し、国が乱れゆくさまを己も感染しながら見ていたのである。
悪意に侵された父が、最高指導者ケージに唆されて母に手を掛け、兵たちが互いに殺し合い、その兵たちが王にまで矛先を向けた。
自らも悪意に侵されながら、クックルはそんな混乱を幼い瞳に焼き付けていた。
その最中にサントリーオ達に強引に都の外へ連れていかれた。
クックルが見た最後の父は、兵に迫られながらクックルの体を翼の突風で兵から遠ざけた姿だった。
常軌を逸してしまった父だったが、最期は息子の命を守ろうとした。
「……父は偉大な王であった。我にとってそれは今でも変わらない」
クックルはサントーリオの耳打ちに頼ることなく、自らの言葉で語り出した。
「クックル様……」
「父が感染し、この国は混乱に見舞われた。父に代わって謝罪の意を表する。申し訳ない」
サントーリオ達はクックルの立派な姿に涙した。
「国の民よ。今一度、力を貸してくれないか。こんな混乱はもうおしまいだ。目を覚まし、正気に戻ってくれ! 我が父を受け継ぎ、国王となって……」
ドガーーン!!!
とてつもない轟音が響き、大地が揺れた。
その瞬間、クックルの声がプツリと途切れた。
「な、なんだ!?」
ヨキ達は施設を振り返った。
施設の先に聳えていた電波塔が中央から折れて崩れてゆく。
「こ、壊された!?」
その塔付近、上空に人影が浮かんでいる。
ひときわ悪意のオーラを朦々と立ちこめらせた亜人の姿があった。長い黒髪で黒い法衣を纏い、裾が風に揺れている。女の魔法使いか。
「あ、あれは?」
トリ族たちが揃って口にした。
「最高指導者ケージ様だ!」
上空に浮いているケージは両手を胸元で重ねた。両手のひらの間に黒いエネルギーの塊が膨らんでゆく。
そしてそれを互いの手で掴むと、それを勢いよく投げつけた。
黒い塊が地上に落下する。
その玉は放送施設に直撃した。




