表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第1章 はじめの村編
4/161


ブタは幹に触れて体を震わせていた。少年はその姿を眺めた。


「君のおかげで僕の能力の情報が得られた」


ブタは紫のオーラを失い、その場にどさりと倒れ込んだ。

地面がその衝撃で揺れ、砂煙が舞った。


少年は額の汗を拭い、落ち着きを取り戻した。


「ふう、つまり生物には僕の能力を流し込むことが出来るみたいだ。ウサギやこの木のように。


木の枝は無機質という扱いなのか無理だったみたい。一応君の体に投げてみたけど、君の体に何の反応もなかったし」


少年は倒れたブタを眺めながら腕を組んだ。


「それにあの紫の(もや)。仮に『悪意のオーラ』と呼ぼうか。その悪意のオーラを(まと)う者が持つ無機物にも悪意はなかった。このナイフもただのナイフだ」


少年は木に突き刺さったナイフに目をやり、こめかみに人差し指を当てた。


「そして、木の幹に刺さったナイフを抜こうとした時も、僕の能力は木を伝い、ナイフを伝ってブタには届かなかった。


つまり、僕の能力も悪意のオーラも無機物には影響がないわけだ」


大の字に倒れているブタを少年は見下ろしながら胸を()で下ろした。


「いやぁ、しかし幹に触れてくれてよかった……。

直接このブタの体に触るの恐かったし」


ブタは若干体が縮んだようにも見える。悪意のオーラが無くなったせいか、ピンク色の肌はつやつやと血色を取り戻して、顔も(かど)がとれて穏やかだ。


その時、倒れていたブタは目を覚ました。

ぱちくりと瞬きをさせて起き上がった。


少年が目の前まで寄ると、ブタは少年に視線を向けた。

獰猛(どうもう)に見えた先程とは違い、つぶらな目と垂れた耳が、明らかに無害そうであった。


少年は(いま)だに警戒していた。完全に悪意が無くなったかは分からないし、そもそも元がどんな性格かも分からない。


けれどブタは少年を見るなり、両手をついて頭を下げた。


「す、すんません」


どうやら大丈夫なようだ。


「ナイフを投げたりして」


そっちかよ!


少年は心で突っ込んだ。


「僕を食べようとしたことじゃなくて?」


「め、滅相もない! オイラは亜人は食べません」


少年は変化したブタを眺めた。


「そうか、やはり悪意のオーラのせいで……」


「食べたことはありますが」


「食べるのかよ!」


「あ、いや、それは仕方なくです。オイラ、淡白であまり好きじゃなくて」


「味の問題かよ! 舌舐めずりしてたじゃないか」


「すんません、オイラ、どうにかしてたもんで」


ブタは深々と頭を下げた。

「すんませんでした!」


「いや、いいんだよ」


本人のせいではなく、あの紫のオーラのせいであることは瞭然(りょうぜん)である。


「気にしないでくれ。()きかな、善きかな」


少年はブタに頭を上げるよう(うなが)した。


「ところで、君、名前は?」と少年は尋ねた。


ブタは頭を上げた。


「オイラですか? ブヒゾウです」


「すごい名前だな……」


見た感じ、顔はブタ、体は人間とほぼ同じ。手の指も5本ある。獣人という(たぐ)いだろう。


「君はつまり、オーク族か?」


「オーク? 何ですか、それ?」


違うのか。

少年の予測は外れた。


「オイラはブタ族です」










「………………何ですか、それ?」





面白いと思った方、続きが気になる方は、

ブックマーク、★評価をよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ