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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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13


ヨキ達4人はトリ族に(また)がり、空を飛んでいた。いざ乗ってみると風の抵抗の強さと、何より高さで足が(すく)む。


カナは楽しそうだが、他の3人は背筋を張れず、しがみつくように身を(かが)めていた。


「落ちる! もっとゆっくり飛んでくだせぇ!」


「じたばたしないの、ブヒタロウ。余計落ちるよ」


「そ、そんなこと言われても、カ、カナ様は、だ、大丈夫でげすか?」


「わたし? 全然平気! 超楽しいんだけど!」


「カナ殿は(たくま)しいですな。わ、わたしも空は初めてで」


「ブヒゾウもダメなんだ。意外と繊細なんだね」


「か、からかわないでください」


「ヨキはどう?」


「…………」


蒼褪(あおざ)めた顔しちゃって。(そろ)いも揃って頼りないんだから」



森を抜け、一面に緑豊かな平野が広がった。動物はちらほらいるが、みな紫のオーラを(まと)っている。野犬なのかオオカミなのか、群れでタヌキを襲ったり、かと思うと仲間同士で噛みつき合ったり、ずっと同じ岩に頭をぶつけ続けているものもあった。


動物にまでこうして悪意が蔓延(まんえん)していることにヨキは深刻さを覚えた。


緑優しい平原に悪意に満ちた動物たちが闊歩(かっぽ)する光景は、楽園と地獄をかき混ぜたような異様な雰囲気を(かも)し出していた。


その侵された動物をひとつひとつ(はら)うことは今は不可能であった。


ヨキは上空からそれらを見下ろし、いずれ治してあげることを誓いつつ、心苦しくも通り過ぎていった。


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