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「ラジオがあるのか?」
ヨキに驚かれて、サントーリオは鳩胸を更に膨らませた。
「ええ、我が国もそれくらいの施設はございますぞ。先程披露したわたくしどもの掛け合いも放送してましてね、よくラジオを通じて国民に向けて発信しておりました。それが大人気で、まぁ、わたくしどもには公務がありますゆえ、なかなか民間の放送局には出演できないのですが、それでも依頼がひっきりなしで、わたくしも自分の人気っぷりに驚いているのですが……」
「わかったわかった……」
先程の漫才からも分かるように、サントーリオは随分と口が達者なようだ。
「で、そのラジオを使ってクックル王子が王位を継承したと伝えられるわけだ。出来れば本人の肉声がいい。玉音放送だ」
「なんと、王子自らラジオで語られると。これは未曾有の放送になりますな。では早速、王子に掛け合いのイロハをお教えしないと」
「いや、普通に喋るだけでいいから!」
ヨキは突っ込んだ。
「間が大事なんですよ、お客さんの心を掴むのは」
「いいんだよ、別に!」
残念そうなサントーリオをよそに、ヨキは腕を組んで考えた。
「発信する塔のようなものはあるか?」
サントーリオは何度も誇張して頷いた。
「ええ、ええ、ございます。都の西に小高い丘がありまして、そこに電波塔があります。その付近に放送施設がございますな」
「それは国中に声が伝えられるのか?」
「破壊されていない地域であれば、国民の耳に届くでしょう」
それは元々広い都に住む全国民へ向けて情報伝達するために造られた施設のようだ。そこから発信された声は、国の各所に備えられたスピーカーから発せられる。ラジオというより、屋外無線スピーカーに近い。
「よし、では目的地はそこにしよう」
国民一人一人に直接触れることも、カナの魔法を使うことも、国全体となると膨大な時間を要する。
ひとつの作戦で多数を正気に戻す手段が今は求められる。
「お待ち下さい。まだ懸念材料がございます」
「なんだ?」
「国王様はこのクックル様のお父上ホロッホ様でありましたが、この国の実権を握っておられるのは他の方でございまして」
「そうか、亜人か」
ヨキは厄介そうに顔を歪めた。
「はい、最高指導者ケージ様がおられます」




