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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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現国王クックルは人間なら4、5歳ほどの幼さで、産毛に覆われ、羽根もまだ生えきっていない。


トリ族は翼と(くちばし)を持った人型をしているが、クックルはまだ一人前になっていない、鳥でいうならヒナに近い状態であった。


大人のトリ族に手を引かれて、この混乱と、未知の土地に連れて来られた状況に困惑している。


「サントーリオ」とクックルは不安そうに声を震わせて呼んだ。


「はっ」とトーリオは(ひざまず)いた。


「お父上はどうなった?」


「………………」


寂しそうにするクックルに居たたまれなくなったサントーリオは、カラ元気な声をあげた。


「そ、そうだ、クックル様。あれをご覧になられますか?」


クックルの顔が急に晴れやかになった。


「見たい見たい!」


「では直ちに準備いたします」


サントーリオはサントリーオ(次男)に耳打ちした。

「ここで?」「仕方ないだろ」と何やら()めていたが、クックルを元気づけるためにということで、話しはついたようだ。


2人は左右へ分かれ、直立した。

そして身を(かが)め、下腹部あたりで拍手しながら中央へ集まってきた。


「はい、どうもー」

「いやぁ、最近めっきり寒くなりましたねぇ」

「ほんまやねぇ」

「夜なんて冷え込んじゃって」

「確かにな」

「羽毛ぶとんが恋しいわ」

「いや、自前で羽根持っとるがな!」



ヨキ達はその光景を呆然と見ていた。



「しかし寒いときはハンバーグ食べたなるよね」

「急やな」

「こないだレストラン行ったんよ。ハンバーグ食べたなって」

「ほいで?」

「そしたら、上に目玉焼き乗っとったんよ」

「ええやないか、美味しいやん」

「その卵産んだニワトリ知り合いやねん」

「いや、切ないこと言うなよ!」



何が起こっているのかヨキは理解出来なかった。



「ま、そういう感情捨てて目玉焼きを食べようとしたんよ」

「そうしないと食べられへんからね」

「恐くて食べられへん」

「気にしたらあかんで」

「いや、目玉が恐くて」

「いや、畑にある鳥()けと(ちゃ)うねんから!」



なんで関西弁?

ヨキは口をあんぐりと開けていた。



「せやから見ぃひんよう店の電気消したった」

「無茶苦茶するなぁ」

「そしたら何も見えなくなって」

「そら、鳥目やからな!」

「電気つけたら店主に大目玉食らったわ」

「うまいこと言わんでええ! そら、勝手に電気消すからや」

「ゾッとして鳥肌立ったわ」

「もともと鳥肌ですけど!」

「ほんま、チキンとせなあかんね」

「『きちんと』や! もうええわ!」


クックルはキャッキャと笑っていた。

クックルの取り巻き達も羽根をバサバサと喝采を送っていた。


ヨキ達4人はその不思議な光景に完全に引いていた。


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