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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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鳥達から紫のオーラが消えている。


「な、何が起こったの?」


魔法を放った本人であるカナが驚いていた。


ヨキは添えた手を強調するようにカナの肩を叩いた。


「僕の力をカナの魔法に付与した」


「魔法に?」


ヨキは(うなず)いた。


「ああ。カナの回復魔法は悪意のオーラによって攻撃魔法へ変化したんだよな?」


「うん」


「そして僕の体はそのカナの魔法を無効化した。つまり魔法は悪意を(まと)っていたということだ。

逆を言えば、魔法は善意の力も纏うことが出来るってことさ」


ブヒゾウは理解が出来ずに眉間に(しわ)を寄せた。


「どういうことですか?」


「僕のこの力は生命を通して伝わすことが出来る。体に触れた状態のカナが魔法を放てば、その魔法に僕の力が宿る」


魔法を使う分、カナは理解が早かった。


「つ、つまり……魔法は生物と同じ性質ってこと?」


ヨキは力強く(うなず)いてみせた。


「おそらく。つまり、魔法は生命エネルギーで出来ているんだろう」


ヨキは自信に満ちた表情を浮かべた。


「この力があれば回復魔法だろうが何だろうが、相手の悪意を無効化出来るってことさ」


ブヒゾウが目を輝かせた。

「おお、よく分かりませんが、それは無敵ではないですか!」


ブヒタロウは言わずもがな理解できずにいたが、皆の明るい表情からなんとなく事態が好転したことは悟った。


「じゃ、じゃあ、あのトリ族もやっつけられるんでげすか?」


ヨキは力強く首肯した。


「そうだ。魔法さえ当たればな」


「おお! すごいでげす!」

「さすがカナ殿の魔法!」


ブタ族の2人は手のひら返しにカナを賞賛した。


「都合いいのよ!」


カナは2人に突っ込んだが、褒められたことで機嫌は良くなったようだ。


「どうだい、カナ。あの高さは当たるか?」

ヨキが尋ねた。


カナは目を細めてトリ族への距離を測ってみた。


「うーん、ちょっと高すぎるなぁ」


地面に倒れた鳥達は正気になり、一斉に空へ羽ばたき出した。上空を飛んでいたトリ族はその群れを見て旋回をやめた。

異常事態に気付き、下方を確認している。


「あ、降りてくるかもしれないですよ」


4人が察した通り、トリ族たちは地上に向けて降下してきた。

が、それは稲妻のような速さで、地面を穴だらけにするような勢いだった。


「やばい、逃げろ!」


4人は木の陰を離れ、全力で駆け出した。風を切る音が後方で(とどろ)き、トリ族は地面に当たる瞬間に体を平行にして低空飛行を繰り出した。


森を走る4人の後をトリ族が追い掛ける。


「ものすごい勢いで追ってくるぞ!」


「ちょっと何であんな速く飛べるの?」


「木を避けながら来てます!」


「ジグザグに走るんだ!」


「そんなの無理!」


「ちょっと待ってくださいでげす!」


「もっと速く走れ、ブヒタロウ!」


「はぁ、はぁ、もう……だめでがす……」


遅れたブヒタロウにトリ族が迫ってくる。


「カナ、魔法を!」


カナは後方を振り返り、手を構えたが照準を合わせることは出来なかった。


「走りながら当てるのは無理!」


振り返ったことで速度を落としたカナにトリ族が猛スピードで近づいてくる。

鋭い(くちばし)が突き刺さりそうになる瞬間、ブヒゾウはカナに覆い被さった。


「危ない、カナ殿!」


(すんで)のところで身を屈めて(かわ)した。


「あ、ありがとう、ブヒゾウ」


「いえ」


ブヒゾウはカナの体を起こし、2人は再び駆け出した。


「あっ」


遅れていたブヒタロウは後方で声を挙げて、木の根に(つまず)いて倒れた。


その瞬間にトリ族がブヒタロウに群がった。


「ぎゃあ!」


「ブヒタロウ!」


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