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ブタは紫のオーラを纏ってじりじりと迫って来る。
少年はウサギを抱え、そのモフモフを両手に感じ、冷静さを取り戻そうとしていた。
このウサギがそうだったように、禍々しい邪気を放っているブタ。
少年はそこで閃いた。
そうか、ウサギの時同様、こいつのオーラを祓うことが出来れば……。
少年はウサギから手を放した。するとウサギは草むらへとそそくさと逃げていった。
ウサギを守ろうとしたが、あっさり自分で逃げていけるようだ。
「さすがに僕といたほうが危険だと察知したわけね……」
少年は迫られながら、足元に落ちている木の枝を拾った。
ブタは鼻で笑った。
「なんだ、そんなもので俺様に太刀打ちするつもりか?」
少年は枝の感触を手で確かめた。
木の枝に邪気を祓う力を纏わせることが出来れば、リーチが多少伸びるとも思ったが、掴んだ手に反応がない。
ダメか……。
少年は放り捨てるように木の枝をブタに投げつけた。コツンとブタの腹に当たり、ブタの足元に転がった。
ブタはその箇所を掻いて鼻で笑った後、目付きを鋭くさせた。
「面白れぇことするじゃねぇか」
ブタは少年を睨み、のしりのしりと少年に近づいてゆく。
少年は後退りし、敵に背中を見せて一目散に駆け出した。
ブタは瞬間、逃げる少年へ目掛けてナイフを投げ飛ばした。ナイフが物凄い勢いで少年に迫る。
少年は間一髪、太い木の陰に飛び込んで隠れた。ナイフはその木の幹に激しく刺さった。
「ちっ、外れたか。すばしっこい奴め」
ブタは歩み寄り、刺さったナイフを引き抜こうとして、未だに木の陰にしゃがみ込んで隠れていた少年を見つけて、ニヤリと笑った。
「ふはは、竦んで動けんのか」
ブタはナイフに手を掛けた。深く刺さって抜けなかったのか、ブタはもうひとつの手を木の幹に添えた。
その瞬間、ブタは雄叫びのような野太い声を上げた。
「うがががっ!!」
ブタの体に纏わりついていた紫のオーラが急激に小さくなり、消えてゆく。
少年はゆっくりと立ち上がった。右手は木の幹に触れている。
「だいぶ分かってきたよ、この能力が」




