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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第1章 はじめの村編
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ブタは紫のオーラを(まと)ってじりじりと迫って来る。

少年はウサギを抱え、そのモフモフを両手に感じ、冷静さを取り戻そうとしていた。


このウサギがそうだったように、禍々(まがまが)しい邪気を放っているブタ。


少年はそこで(ひらめ)いた。


そうか、ウサギの時同様、こいつのオーラを(はら)うことが出来れば……。


少年はウサギから手を放した。するとウサギは草むらへとそそくさと逃げていった。

ウサギを守ろうとしたが、あっさり自分で逃げていけるようだ。


「さすがに僕といたほうが危険だと察知したわけね……」


少年は迫られながら、足元に落ちている木の枝を拾った。


ブタは鼻で笑った。


「なんだ、そんなもので俺様に太刀(たち)打ちするつもりか?」


少年は枝の感触を手で確かめた。


木の枝に邪気を祓う力を(まと)わせることが出来れば、リーチが多少伸びるとも思ったが、(つか)んだ手に反応がない。


ダメか……。


少年は放り捨てるように木の枝をブタに投げつけた。コツンとブタの腹に当たり、ブタの足元に転がった。


ブタはその箇所を()いて鼻で笑った後、目付きを鋭くさせた。


「面白れぇことするじゃねぇか」


ブタは少年を(にら)み、のしりのしりと少年に近づいてゆく。


少年は後退りし、敵に背中を見せて一目散に駆け出した。

ブタは瞬間、逃げる少年へ目掛けてナイフを投げ飛ばした。ナイフが物凄い勢いで少年に迫る。


少年は間一髪、太い木の陰に飛び込んで隠れた。ナイフはその木の幹に激しく刺さった。


「ちっ、外れたか。すばしっこい奴め」


ブタは歩み寄り、刺さったナイフを引き抜こうとして、(いま)だに木の陰にしゃがみ込んで隠れていた少年を見つけて、ニヤリと笑った。


「ふはは、(すく)んで動けんのか」


ブタはナイフに手を掛けた。深く刺さって抜けなかったのか、ブタはもうひとつの手を木の幹に添えた。


その瞬間、ブタは雄叫びのような野太い声を上げた。


「うがががっ!!」


ブタの体に(まと)わりついていた紫のオーラが急激に小さくなり、消えてゆく。


少年はゆっくりと立ち上がった。右手は木の幹に触れている。


「だいぶ分かってきたよ、この能力が」


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