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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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鳥達はカナの魔法、ヒールに包まれ、とっても元気になった。


呆然(ぼうぜん)とする3人。


「おい、何やってるんだよ! 敵を元気にしてどうするんだよ!」


ヨキが言うと、カナは下を向きながら答えた。


「……出来ないの」


「は?」


カナはたまらず大声で叫んだ。


「わたしは回復しか出来ないの!」


「はぁ!?」


3人の絶叫にカナは顔を赤らめながら下を向いた。


「回復専門なの! 麻痺とか毒とかも治せるけど、とにかく攻撃魔法なんて出来ないの!」


「いやいや、だって僕に繰り出してたじゃないか。ファイアとかブリザードとか」


「あの時は悪意に(おか)されてたからだよ。ほんと、わたしもビックリ!」


ヨキはあまり聞きたくないことだが、カナに再び事実確認をした。


「じゃあ、攻撃出来ない、と?」


カナは叫んだ。


「出来ないよ! ヒーラーなんだから!」


すると3人はあからさまに失望した。


「なーんだ、がっかり」

「拍子抜けです」

「カナ様、たいしたことないんでげすね」


3人に(さげす)まれ、カナはたまらず激昂した。


「なに、あんた達! 寄ってたかって! みんなやられても治してやんないから!」


カナは膨れっ面をして3人に背を向けた。


「カナ」


ヨキがそんなカナの背中に声を掛ける。


「何よ、勝手に持ち上げて、勝手に落として!」


「カナ」


「今さら謝っても遅い!」


「カナ! 空を見ろ!」


緊迫したヨキの声にカナは上空を見上げた。


鳥達が飛び交うその更に上空に、次々と群がる影があった。

黒々とした幾つもの影が、円を描いて旋回している。


鳥達よりも大きい、人型をして翼を持った者たちが、太陽をすっぽりと覆い尽くしていた。


「トリ族です!」

ブヒゾウが叫んだ。


「鳥達が呼んだのか?」


騒々しい鳥の群れは4人の存在に気付き、トリ族を呼び寄せたようだ。


「ヨキ様、あの者たちは悪意のオーラはありますか?」


ブヒゾウは上空を見上げながら尋ねた。

ヨキは目を凝らすまでもなく、すぐに答えた。


「そりゃあもう、立派に悪意が湧き立っているよ」


トリ族たちには紫のオーラが立ち込め、旋回する度にそのオーラが飛行機雲のように尾を伸ばしている。


ブヒゾウは柴を刈っていたナイフを握りしめ、硬く身構えた。


「くそっ、どうにかやり過ごせないか。だが逃げてスピードで(かな)う相手ではない。ヨキ様、どうしますか?」


武器はナイフのみと頼りない。走って逃げても、急降下して襲われたらひとたまりもない。


危機感が体を包み込むのをブヒゾウは感じた。ブヒゾウだけではない。カナも当然ブヒタロウも絶望を感じていた。


ただヨキは至極冷静に、そしてゆとりある口調でカナの肩に手を添えた。


「カナ、魔法を放て」


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