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鳥達はカナの魔法、ヒールに包まれ、とっても元気になった。
呆然とする3人。
「おい、何やってるんだよ! 敵を元気にしてどうするんだよ!」
ヨキが言うと、カナは下を向きながら答えた。
「……出来ないの」
「は?」
カナはたまらず大声で叫んだ。
「わたしは回復しか出来ないの!」
「はぁ!?」
3人の絶叫にカナは顔を赤らめながら下を向いた。
「回復専門なの! 麻痺とか毒とかも治せるけど、とにかく攻撃魔法なんて出来ないの!」
「いやいや、だって僕に繰り出してたじゃないか。ファイアとかブリザードとか」
「あの時は悪意に侵されてたからだよ。ほんと、わたしもビックリ!」
ヨキはあまり聞きたくないことだが、カナに再び事実確認をした。
「じゃあ、攻撃出来ない、と?」
カナは叫んだ。
「出来ないよ! ヒーラーなんだから!」
すると3人はあからさまに失望した。
「なーんだ、がっかり」
「拍子抜けです」
「カナ様、たいしたことないんでげすね」
3人に蔑まれ、カナはたまらず激昂した。
「なに、あんた達! 寄ってたかって! みんなやられても治してやんないから!」
カナは膨れっ面をして3人に背を向けた。
「カナ」
ヨキがそんなカナの背中に声を掛ける。
「何よ、勝手に持ち上げて、勝手に落として!」
「カナ」
「今さら謝っても遅い!」
「カナ! 空を見ろ!」
緊迫したヨキの声にカナは上空を見上げた。
鳥達が飛び交うその更に上空に、次々と群がる影があった。
黒々とした幾つもの影が、円を描いて旋回している。
鳥達よりも大きい、人型をして翼を持った者たちが、太陽をすっぽりと覆い尽くしていた。
「トリ族です!」
ブヒゾウが叫んだ。
「鳥達が呼んだのか?」
騒々しい鳥の群れは4人の存在に気付き、トリ族を呼び寄せたようだ。
「ヨキ様、あの者たちは悪意のオーラはありますか?」
ブヒゾウは上空を見上げながら尋ねた。
ヨキは目を凝らすまでもなく、すぐに答えた。
「そりゃあもう、立派に悪意が湧き立っているよ」
トリ族たちには紫のオーラが立ち込め、旋回する度にそのオーラが飛行機雲のように尾を伸ばしている。
ブヒゾウは柴を刈っていたナイフを握りしめ、硬く身構えた。
「くそっ、どうにかやり過ごせないか。だが逃げてスピードで敵う相手ではない。ヨキ様、どうしますか?」
武器はナイフのみと頼りない。走って逃げても、急降下して襲われたらひとたまりもない。
危機感が体を包み込むのをブヒゾウは感じた。ブヒゾウだけではない。カナも当然ブヒタロウも絶望を感じていた。
ただヨキは至極冷静に、そしてゆとりある口調でカナの肩に手を添えた。
「カナ、魔法を放て」




