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ヨキがブヒタロウへと寄って確認する。
確かに鳥のフンは紫のオーラを纏っている。
ヨキは上空を見上げた。
「鳥達は既に悪意に侵されていたのか?」
ウサギにしても悪意に侵されていた。鳥もそうなっていておかしくない。ただ囀りからはそれが確認出来なかった。
ブヒタロウはフンを指差した。
「ヨ、ヨキ様! 早くオーラを祓ってくだせぇ」
「えっ、フンを触るの? 嫌だよ!」
「そんなこと言ってる場合じゃねぇでげすよ」
「汚いし、オーラ放ってるし、悪意しかないじゃないか!」
「だからヨキ様の出番じゃないでげすか!」
「どうせすぐ悪意は無くなるよ」
「なんででがすか?」
「すぐに無機物になる」
ヨキの言うとおりフンは勝手に紫のオーラを放散して、普通の鳥のフンとなった。
「菌や微生物は生物として影響しないようだな」
ヨキがそう独り言のように呟いたが、ブヒタロウにはなんのことか分かっていない様子だった。
すると突然、穏やかに囀っていたと思っていた鳥達が急に騒ぎ出した。
「なんだ、なんだ?」
鳥達は段々と群れをなし、4人の上空を入り乱れて飛び回った。不穏な動きをしている。
ヨキが叫んだ。
「みんな、木の陰に身を隠すんだ!」
ヨキが言うや言わずや、鳥達は一斉にフンを落とし始めた。
4人は必死に走り、巨大な木の陰に走った。
「やだ、やだ! 信じられない!」
カナは顔を青褪めさせて懸命に走った。
遅れて走るブヒタロウは頭を抱えて、前を走るヨキを追いかける。
「ヨキ様は別に逃げなくてもいいじゃないでげすか! オイラをビリにしないでほしいですよ!」
「僕だってフンに当たりたくないんだよ!」
4人は辛うじて木の陰に身を潜めた。瞬間、夥しい数のフンが地面へと落ちてきた。
一面が毒沼のように紫色に染まっていった。
「ふぅ、危なかった」とブヒゾウ。
「なに、あの鳥達?」とカナ。
「まるで爆撃だ」とヨキ。
「うわぁ、手に付いてる! ヨキ様! ヨキ様!」とブヒタロウ。
ヨキはブヒタロウの体に触れた。
「そんなに騒ぐんじゃないよ」
ヨキがブヒタロウの体に触れた瞬間、フンはただのフンに戻った。
「ほっ、よかった」
安堵の表情を浮かべているブヒタロウにヨキは失笑した。
「フンは付いたままだけどな」




