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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第2章 トンディーク編
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ヨキがブヒタロウへと寄って確認する。

確かに鳥のフンは紫のオーラを(まと)っている。

ヨキは上空を見上げた。


「鳥達は既に悪意に侵されていたのか?」


ウサギにしても悪意に侵されていた。鳥もそうなっていておかしくない。ただ(さえず)りからはそれが確認出来なかった。


ブヒタロウはフンを指差した。


「ヨ、ヨキ様! 早くオーラを(はら)ってくだせぇ」


「えっ、フンを触るの? 嫌だよ!」


「そんなこと言ってる場合じゃねぇでげすよ」


「汚いし、オーラ放ってるし、悪意しかないじゃないか!」


「だからヨキ様の出番じゃないでげすか!」


「どうせすぐ悪意は無くなるよ」


「なんででがすか?」


「すぐに無機物になる」


ヨキの言うとおりフンは勝手に紫のオーラを放散して、普通の鳥のフンとなった。


「菌や微生物は生物として影響しないようだな」


ヨキがそう独り言のように(つぶや)いたが、ブヒタロウにはなんのことか分かっていない様子だった。


すると突然、穏やかに(さえず)っていたと思っていた鳥達が急に騒ぎ出した。


「なんだ、なんだ?」


鳥達は段々と群れをなし、4人の上空を入り乱れて飛び回った。不穏な動きをしている。


ヨキが叫んだ。


「みんな、木の陰に身を隠すんだ!」


ヨキが言うや言わずや、鳥達は一斉にフンを落とし始めた。


4人は必死に走り、巨大な木の陰に走った。


「やだ、やだ! 信じられない!」


カナは顔を青褪(あおざ)めさせて懸命に走った。

遅れて走るブヒタロウは頭を抱えて、前を走るヨキを追いかける。


「ヨキ様は別に逃げなくてもいいじゃないでげすか! オイラをビリにしないでほしいですよ!」


「僕だってフンに当たりたくないんだよ!」


4人は辛うじて木の陰に身を潜めた。瞬間、(おびただ)しい数のフンが地面へと落ちてきた。

一面が毒沼のように紫色に染まっていった。


「ふぅ、危なかった」とブヒゾウ。


「なに、あの鳥達?」とカナ。


「まるで爆撃だ」とヨキ。


「うわぁ、手に付いてる! ヨキ様! ヨキ様!」とブヒタロウ。


ヨキはブヒタロウの体に触れた。


「そんなに騒ぐんじゃないよ」


ヨキがブヒタロウの体に触れた瞬間、フンはただのフンに戻った。


「ほっ、よかった」


安堵(あんど)の表情を浮かべているブヒタロウにヨキは失笑した。


「フンは付いたままだけどな」


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