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「そういえばブタ族の国ってどこにあるんだ?」
ヨキは歩くことに疲れてブヒゾウに尋ねた。森のはずれに村があったブタ族は、端っこに追いやられているようだった。
ブヒゾウは先導しながら答えた。
「ブタ族には国はありません。我々はどの地域にも適応できるため、各地を転々とし、好んだ地域にちりぢりに棲みついたようです」
「流浪の民か……」
国は各種族が領土とし、それを亜人族が牛耳っていると、村の長ブヒノスケは説明していた。
この国はトリ族の管轄にあたるようだ。
「それにしてもトリ族に出会わないな」
森を進んできたが、そういった種族に未だ出会っていない。
ブヒゾウも不思議そうに辺りを見回した。
「おかしいですね。本来なら出会っても良さそうですが」
モズやヤマガラなどの囀りは聞こえてくるが、これといって乱れた様子は見受けられない。
穏やかだった。ブタ族の村付近だけ局地的に悪意が蔓延っていたのではないかと、ヨキは懐疑的になった。それほどまでに穏やかだった。
すると、急にブヒタロウが声をあげた。
「うわぁ!」
3人が振り返る。
「どうした?」
ブヒタロウは尻餅をついていた。
「フ、フンが!」
「は?」
「鳥のフンが落ちてきたべ」
3人は呆れるように溜め息をついた。
「なんだ、フンくらいで!」
ブヒゾウは叱責するように声を荒げた。
しかしブヒタロウは足元に落ちたフンを指差した。
「ち、違うべ。フンが紫のオーラを放ってるでげす!」




