24
村の者たちはヨキとカナの急な出発を悲しがった。
けれど2人の旅立つ理由を皆悟っているため、反対はせず、むしろ喜ばしく見送った。
「行ってらっしゃーい!」
「また遊びに来てくださーい!」
「2人が帰ってくるまでに村を元通りにしますのでー!」
ヨキとカナは村人に手を振り続けた。その横にはもうひとり、ブヒゾウがいる。
ブヒゾウもまたヨキにお供したいと願い出て、旅立つことを決意した。朸に荷物を結びつけ、肩に背負っている。
村を出て3人は森へと続く道を歩いた。
「しかし大変な旅路ですね。こんな少人数で大丈夫でしょうか?」
ブヒゾウは、華奢なヨキとカナがあまりにも頼りなく護衛の役を買って出たという本音をうかがわせた。
「大丈夫だよ。人数は少ないけど、カナは魔法が使えるんだし。だろ?」
カナはそう言われて急に動揺していた。
「えっ、ま、まぁ、そうだね……」
「それに……」
ヨキは立ち止まって大声で叫んだ。
「ブヒタローウっ!」
すると程近い草むらから飛び出した。
「がってん!」
「ブ、ブヒタロウ!?」とブヒゾウは驚いた。
ブヒタロウはヨキの声に思わず登場してしまって「ハッ」と気付いた。
ヨキは目を細めた。
「……なんで付いてきた?」
ブヒタロウはばつが悪そうに両手の人差し指の先を付き合わせた。
「オイラ……、ヨキ様のお役に立ちたくて……」
ブヒゾウは叱り付けようとブヒタロウへ拳を向ける。
「お前は村の復興を手伝う役目があるだろ」
ブヒタロウは拳骨から自分の頭を庇いながら答えた。
「だってオイラ、力も弱いし、仕事も遅いし、みんなの足引っ張ってばかりで……」
ブヒタロウはヨキへと目を移し、潤んだ瞳で見つめた。
「でも……ヨキ様は、オイラに頼ってくれたです。褒めてくれたでげす。だから……オイラ……」
ヨキはブヒタロウの傍へと歩み寄った。
叱られると思ったのか、ブヒタロウは下を向いた。
「長旅になるぞ、いいのか?」
ブヒタロウは目を見開いて顔を上げた。
「ヨキ様……」
「しばらく村へは帰れないぞ?」
ブヒタロウは目付きを鋭くさせた。
「はいです! ヨキ様のお力になるでげす!」
満面の笑みを浮かべてブヒタロウはヨキ達に寄り添って歩いた。
ブヒゾウは呆れた表情を浮かべたが、ヨキが説得して宥めた形となった。
4人で新たな地へ向かってゆく。
ブタ族2人と、少年少女。
バランスの悪い西遊記のようだと思うと、ヨキは笑いが込み上げてきた。
空は青々としていた。
悪意が蔓延するというこの世界に似つかわしくないほど、空は果てしなく紺碧に輝き、4人を包み込んでいた。
(第1章 はじめの村編 完)
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