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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第1章 はじめの村編
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翌日、ヨキは出発する準備を整えていた。

この村に留まって、みんなと楽しく過ごすことも出来るかもしれない。

けれどヨキはこの地を離れることを選んだ。


救世主になりたいわけではない。

感謝されたいわけでもない。


ただ、この力はきっと役に立つ。

人々を救う力がある。


悪意のない世界はきっと楽しい。

みんな楽しく笑って暮らしてほしい。

この村だけでなく、世界の人々にも。


ただ、それだけだった。




「この村を発つの?」

カナはヨキの(そば)へ寄った。


「うん」


カナは少し躊躇(ためら)いながらも思いの丈をヨキへぶつけた。


「わたしも……連れてってくれない?」


ヨキは荷造りの手を止めた。

カナは顔を下げ、想いを(あふ)れさせた。


「わたしね、本当はね、人を癒したくて魔法使いになったはずなの。傷を治して、苦しみから解放してあげたくて」


カナは固めた拳を強く握った。


「それなのに……」


カナは瞳に涙を浮かばせてヨキへ顔を向けた。


「昨日の話を聞いて、わたしも何だか居ても立ってもいられなくて。たくさんの人が悪意に侵されてるんでしょ? みんな傷つけ合ってるんでしょ?」


カナは首を振った。


「この村の復興を最後まで手伝いたい思いはあるけど……、それが償いだと思っているけど……、でも今すぐヨキが行くなら……」


「もちろん行ってくだされ」


背中から声がした。振り返るとブヒノスケが笑顔で立っていた。


「ヨキ様もそのつもりなのでしょう? だから昨日カナ様に話を聞かせたのでしょう?」


ヨキは図星とばかりに頭を()いた。


「え、まぁ……、そうだね」


ブヒノスケはカナに微笑んだ。


「村のことは心配なさらなくて構いません。カナ様はカナ様のお役目があるのでしょう。この村に留まるより、世界の人々から苦しみを取り除いてあげてください」


カナは両手で顔を覆い、涙を流した。


「ありがとう……」


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