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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第1章 はじめの村編
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ヨキは失望で目を細めた。


なんということだ。

亜人が平和の均衡を破ったのか。

それでも亜人ならやりかねない、と思う気持ちがヨキの正直な思いであった。


ブヒノスケは言葉を足した。


「そして現在全ての国は亜人が治めているようです」


「亜人が?」


亜人が全ての国を蹂躙(じゅうりん)し、秩序を乱している。


「では、『悪意』も亜人がばら()いているのか?」


「おそらく」


それは捨て置けない由々しき問題だ。けれどヨキは身に詰まされる思いに駆られた。

自然を亜人が破壊し、独占する。それはヨキがいた世界でも同じことだった。


どこでも亜人は害をなす存在なのだ。



ヨキはブヒノスケに頭を下げた。


「すまない。同じ亜人として恥ずかしい」


ブヒノスケは両手を振って恐縮した。


「いえいえ、何を(おっしゃ)いますか! ヨキ様が謝ることではございません! あなたは我が村を救ってくれたではないですか!」


ブヒノスケはそう言いながら微笑んで、雲ひとつない空を見上げた。


「わたしは思うのです。あなたは神が授けてくださった最後の希望であると」


「最後の希望?」


ブヒノスケはヨキの目を見つめた。


「ええ。もしあなたがいなければ、この世界は悪意に染まったままだったでしょう。誰もそのことに疑問を持つことなく、互いを傷つけ、時には殺し合っていたかもしれません。


しかしあなたが突如現れた。悪意に染まる世界を洗い流す、神の(こぼ)した涙の一雫(ひとしずく)のように」


ヨキはブヒノスケの言葉に自分の手のひらを眺めた。


この力がこの世界を浄化する……。



特別な力を得たことはヨキも実感している。

そこに使命や運命めいたものも感じている。



だとするならば、


ヨキはその神とやらに聞いてみたかった。



なぜ、僕なんだ。

なぜ、僕にその力を与えた。


なぜ、僕をこの地へ送った。



聞いてみたかった。

神がいるなら。


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