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翌日から村の復興は本格的に始まった。散乱した藁やレンガは綺麗に片付けられ、新しい材料で家を建てる。
赤土を捏ねたり、畑を耕している者もいる。
指揮を務め、統率しているブヒノスケにヨキは寄っていった。
「この様子だとすぐに元通りになりそうだね」
「おお、これはヨキ様。ええ、皆が早く復興出来るよう息巻いておりますゆえ」
「そうか。それはよかった」
皆が協力し、汗水を垂らして働いている。表情も明るく、前向きだ。
「こら、ブヒタロウ! イモを食べるな!」
「だってオイラ、腹減っちゃって」
「さっき食べたばっかだろ」
「ぶー」
ひとりを除いて……。
「ところでブヒノスケ。少し聞きたいことがあるのだが」
「はい、知っていることなら何なりと」
ブヒノスケと共にその場を離れ、ヨキはカナのもとへと向かった。カナは村の者と一緒に藁を束ねる作業をしていた。
「あれ、どうしたの?」
カナはヨキ達に気付いて声を掛けた。
「うん、今後のことについて話してるんだ」
カナは作業の手を休め、3人は向かい合って座った。
「それでお話とは?」
ブヒノスケはヨキに尋ねた。
「うん、僕はこの世界のことをよく知らないんだ。だから少し教えてもらいたい」
ブヒノスケは少し不思議そうにしていたが、ヨキの素性を詮索しようとはしなかった。
「この地は辺境そうだが、どこに位置するんだ?」
ブヒノスケは身を正して答えた。
「ここはトンディーク国のはずれに位置します」
「トンディーク国?」
「はい、トリ族が統治している国です」
「トリ族……」
ブタ族といい、トリ族といい、随分と分かりやすい名前だ。
「世界に9つの国があり、そのうちのひとつ、トリ族の国です」
ブヒノスケは地面に枝で大きな円を描くと、その南側を丸で囲った。この国が最南にあるということを示している。
「元々争いというものはなかったんです。国とは言うものの、棲みやすい環境に集落を設けただけのことで、各種族の棲息地域がを表す名ばかりの区別でありまして。そもそも種族間でいがみ合うこともなく、互いに静かに暮らしていたのです」
ブヒノスケは溜め息を吐いて話を続けた。
「ところが、突然悪意が蔓延し始めたようで、情勢は一変しました」
「突然? どうして?」
ブヒノスケは首を振った。
「ここは辺境の地ですので、詳しいことは分かりません」
「そうか……」
「ただ噂は耳にしたことがあります」
ブヒノスケは眉間に皺を寄せた。
「その悪意の発端の地は、亜人族の国、アルージ国であると」




