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「こ、こんなことが……」
成す術を失くした魔女は狼狽し、後ずさりした。
「お、覚えておれ」
立ち去ろうとする魔女の台詞を上書きするようにヨキは叫んだ。
「出番だぞ!」
魔女の背後の草むらがカサカサと揺れた。
「行け! ブヒタロウーッ!」
ヨキの叫び声と共に飛び出した。
「がってん!」
ブヒタロウは魔女の体を押さえつけた。
瞬間、ヨキは取り押さえた魔女に手を添えた。
「お前の悪意もすべて祓ってやる」
魔女の体から紫のオーラが消えてゆく。
「な、何をする! うわぁぁぁ!」
魔女は呻き声をあげ、ガックリとブヒタロウの体に凭れて意識を失った。
ヨキはブヒタロウに親指を突き上げた。
「ナイスタイミングだ。よく背後に回っていたな。姿が目に入ってビックリしたよ」
ブヒタロウは魔女の体を地面に寝かせ、得意気に笑顔を浮かばせた。
「へへっ、オイラも指図通り出来るです」
ヨキはブヒタロウの顔を見つめた。
「ん? 自分の判断でそこに潜んでいたんじゃないのか?」
「えっ、ヨキ様がオイラに言ったです。背後に回れって」
ヨキは驚いて首を振った。
「言ってないぞ、何も」
ブヒタロウはこめかみに指を当てた。
「あれれ、確かに聞こえたでげす」
ブヒタロウは不思議そうに首を傾げた。
ヨキは地面に寝かされた魔女に目を落とした。
魔女と呼ぶのはいささか相応しくない。
そこに寝ているのは、亜人の少女。
単なる亜人の少女だった。




