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ブヒノスケから紫のオーラが消え失せ、その場に倒れ込んだ。
それに合わせて村のあちこちから呻き声が方々で響いた。
村の者たちが次々と悪意を消失し、ばたばたと倒れてゆく。
ブヒタロウの仮説はやはり当たっていた。
「よし!」
村の者たちは元に戻っていく。作戦は成功だ。
戸惑っているのは魔女だった。
「な、何が起きたの? なぜ突然……?」
魔女は右手を挙げ、手のひらを上に向けた。手のひらには紫の炎が湧き立っている。
「もう一度ブヒノスケを……」
ブヒゾウは魔女を指差した。
「ヨ、ヨキ様! あやつがまたブヒノスケに!」
ヨキはブヒノスケの前に立ちはだかり、魔女に相対した。
「ヨ、ヨキ様!」
魔女はヨキを睨んだ。
「どけ。死にたくなければな」
ヨキはそれでも動かなかった。
「ブヒノスケはもう侵させはしない」
魔女はせせら笑った。
「その華奢な体で何が出来るのだ。どけ」
「どかないね」
魔女はヨキに向けて手を振りかぶった。
「なら、お前が先に食らうがいい」
魔女の紫の魔法がヨキに放たれた。
「ヨキ様!」
ブヒゾウが叫んだ。
魔法がヨキの体に直撃した。
けれど……。
魔法はヨキの体に触れた瞬間、水蒸気のように弾けて散々に消え去った。
「な、なんだと!?」
呆然とする魔女、とブヒゾウ。
「ヨ、ヨキ様?」
ヨキは笑ってブヒゾウに振り返った。
「余裕!」
魔女は戸惑っている。
「な、何が起きた?」
ヨキは魔女に手招きした。
「もっと全力じゃないと効かないな」
魔女は顔を歪め、怒りを露にさせた。
「後悔するがいい!」
魔女は再び手に力を込めた。今度は赤い炎が湧き立つ。
「ファイア!」
魔女は魔法を解き放った。
しかしヨキの体はそれを掻き消した。
目を見開く魔女。息を荒げて顔を震わせた。
「ブリザード!」
「サンダー!」
「エアロ!」
「メテオ!」
魔女は様々な魔法を繰り出すが、ヨキの体は悉くそれを掻き消した。
「な、なぜ?」
ブヒゾウも唖然と見ている。
「だ、大丈夫なんですか?」
ヨキは勝ち誇って頷いた。
「まったくもって大丈夫」
そしてブヒゾウに笑ってみせた。
「だって、魔法って悪魔の技だろ。そんなもん悪意でしかないじゃないか」




