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この異世界は悪意しかない!  作者: 浅見青松
第1章 はじめの村編
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ブヒノスケから紫のオーラが消え失せ、その場に倒れ込んだ。

それに合わせて村のあちこちから(うめ)き声が方々で響いた。

村の者たちが次々と悪意を消失し、ばたばたと倒れてゆく。


ブヒタロウの仮説はやはり当たっていた。


「よし!」


村の者たちは元に戻っていく。作戦は成功だ。


戸惑っているのは魔女だった。


「な、何が起きたの? なぜ突然……?」


魔女は右手を挙げ、手のひらを上に向けた。手のひらには紫の炎が湧き立っている。


「もう一度ブヒノスケを……」


ブヒゾウは魔女を指差した。


「ヨ、ヨキ様! あやつがまたブヒノスケに!」


ヨキはブヒノスケの前に立ちはだかり、魔女に相対した。


「ヨ、ヨキ様!」


魔女はヨキを(にら)んだ。


「どけ。死にたくなければな」


ヨキはそれでも動かなかった。


「ブヒノスケはもう(おか)させはしない」


魔女はせせら笑った。


「その華奢(きゃしゃ)な体で何が出来るのだ。どけ」


「どかないね」


魔女はヨキに向けて手を振りかぶった。


「なら、お前が先に食らうがいい」


魔女の紫の魔法がヨキに放たれた。


「ヨキ様!」

ブヒゾウが叫んだ。


魔法がヨキの体に直撃した。




けれど……。


魔法はヨキの体に触れた瞬間、水蒸気のように弾けて散々(ちりぢり)に消え去った。


「な、なんだと!?」


呆然とする魔女、とブヒゾウ。


「ヨ、ヨキ様?」


ヨキは笑ってブヒゾウに振り返った。


「余裕!」


魔女は戸惑っている。


「な、何が起きた?」


ヨキは魔女に手招きした。


「もっと全力じゃないと効かないな」


魔女は顔を歪め、怒りを(あらわ)にさせた。


「後悔するがいい!」


魔女は再び手に力を込めた。今度は赤い炎が湧き立つ。


「ファイア!」


魔女は魔法を解き放った。

しかしヨキの体はそれを()き消した。


目を見開く魔女。息を荒げて顔を震わせた。


「ブリザード!」


「サンダー!」


「エアロ!」


「メテオ!」


魔女は様々な魔法を繰り出すが、ヨキの体は(ことごと)くそれを掻き消した。


「な、なぜ?」


ブヒゾウも唖然と見ている。

「だ、大丈夫なんですか?」


ヨキは勝ち誇って(うなず)いた。

「まったくもって大丈夫」


そしてブヒゾウに笑ってみせた。


「だって、魔法って悪魔の技だろ。そんなもん悪意でしかないじゃないか」


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