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パニック関連

戦争は核ミサイルから

作者: よぎそーと
掲載日:2022/09/25

 その戦争は核ミサイルで始まった。



 開戦と同時に核ミサイルが発射された。

 それが首都で爆発した。

 多数の人間が死んだ。



 それから戦車や戦闘機などの通常兵器の部隊が動いた。

 中枢を破壊され、まともに行動できない防衛側は簡単に蹴散らされていった。



 戦争は呆気ないほど簡単に侵略側の勝利で終わった。

 そのまま占領がはじまる。



 この核攻撃に各国は抗議を出した。

 究極の大量破壊兵器。

 それを民間人が多数住む首都に撃ち込む。

 暴挙というだけでは足りないほどの大量虐殺である。



「それがどうした?」

 撃ち込んだ方はまったく意に介さなかった。

 確かに抗議はある。

 だが、抗議だけでしかない。

 鬱陶しくはあるが、損害はない。

 そんなものがいくら届いても害にはならなかった。

 面倒ではあったが。



 それに、他の核保有国が攻撃をしてくるわけでもない。

 侵略先の占領制圧を阻止してくるわけでもない。

 禁輸措置などもしてこない。

 どの国も核攻撃をおそれて何もしない。



 交易も今まで通り。

 特段有利になる事もないが、不利な条件をふっかけられるわけでもない。

 豊かになりはしないが、今まで通りに必要なものや欲しいものは手に入る。



 それもそうだろう。

 核攻撃を恐れてるのだから。

 誰も何も言わないし言えない。



 いわゆる報復核攻撃もない。

 互いの核攻撃による相互確証破壊もない。

 全ては核攻撃を行った侵略国の思いのままだった。



 こんな侵略国に核攻撃を、という声もある。

 軍隊を出撃させろとも。

 だが、それらが実現する事はない。

 侵略国は核攻撃をためらわない。

 そんな者達に核攻撃をしたら、確実に報復がくる。

 そんな危ない橋は渡れなかった。



 軍隊を送り込んでも同じだ。

 その報復に核攻撃が来る。

 確実にやるとは言いがたいが、発射する可能性は充分にある。

 少なくとも実績は既にある。



 こんな調子である。

 報復する意思がないのだから、報復の連鎖などあるわけがない。

 相互に核ミサイルを撃ち込まないのだから、互いに互いを確実に破壊する事もない。

 一方的に侵略国が猛威を振るっただけだ。



 暴力団がのさばってるのと同じだ。

 人間は暴力をふるう者に服従する。

 侵略国は核攻撃という圧倒的な暴力をふるった。

 それに誰も対抗しない。

 自分が狙われる事をおそれて。



 大きな勘違いを世界はしていた。

 侵略国はためらう事無く核攻撃をする。

 つまり、世界は既に攻撃対象になっている。

 やるかやらないかは、侵略国の気分次第。



 だからどの国もご機嫌うかがいをはじめる。

 核保有国もだ。

 対抗する手段があるとはいえ、攻撃を受けないならその方が良い。

 下手に機嫌を損ねて核ミサイルを撃ち込まれたらたまらない。

 反撃手段があっても、攻撃を受けて被る損害は無視できない。

 被害を少しでも受けるなら、ご機嫌うかがいをしていた方がマシだと判断した。



 それを世界は選択した。

 例え一方的に損をしてもだ。

 侵略国は無傷で防衛側の国を制圧した。

 核攻撃を受けた国は悲惨な事になってる。

 一方的に損をしてるのは防衛側だった国。

 得をしたのは侵略国だけ。



 そんな状態が、世界中にひろがっていく。

 いつ暴力を振るってくるか分からない侵略国。

 だが、それらの機嫌を伺ってれば痛い目にあわずにすむ。

 核ミサイルを撃ち込まれた国は可愛そうだが、他国が気にする事ではなかった。

 直接被害にあったわけではないのだから。



 世界はこうして侵略国の奴隷になった。

 それをよしとした。

 生きているならそれで良いと。



 それがその後に続く侵略国の横暴を許す事になった。

 侵略国は周辺国をいくつも侵略。

 次々に制圧していった。

 それを誰も止めなかった。



 そうして幾つかある核保有国も攻め込まれていく。

 核攻撃を受けるよりは、とどの国も抵抗もせずにくだっていった。



 最後にのこった国は、もう少し積極的だった。

 この状態を放置できないと核ミサイルを発射した。

 侵略国に向かって。

 ようやく行われたささやかな反撃だ。



 ただ、反撃の仕方が最悪だった。

 放った核ミサイルは一発だけ。

 それも、相手を必要以上に刺激しないようにと無人地帯に撃ち込んだ。

 そんなもの、侵略国が気にするわけもない。



 これが核ミサイル発射基地だったら。

 軍事基地だったら。

 工場などの生産地帯だったら。

 人口密集地帯だったら。

 侵略国の中にあるそうした場所の全てに攻撃を仕掛けていたら。

 おそらくその後の反撃もなかっただろう。



 だが、何の意味もない攻撃をした。

 それで相手が止まるわけもないのに。



 報復は即座に行われた。

 最後の核保有国は、国の全土に核攻撃を受けた。

 軍事基地だとか民間の地域だとかいう区別もなく。

 徹底的な破壊を行った。



 少しずつ様子を見よう、などという馬鹿げた考えで事を起こした結果である。

 やるなら最初から一気にやる。

 侵略国が初手で核ミサイルを発射したように。

 防衛に回った敵の首都を一気に破壊したように。



 この瞬間、世界は侵略国の奴隷となった。

 侵略国は各国からあらゆるものを収奪。

 空前絶後の繁栄を手にした。

 対照的に各国は、貧困に陥り困窮の中で衰退していった。



 相手を刺激しないように。

 自分に被害が及ばないなら。

 そうして横暴な連中を放置してきた結果である。

 同情の余地も何もない。

 生きていればと問題を無視して、生きている事すら出来なくなっていく。



 暴力を認め、暴力に服従した者達。

 暴力による蹂躙を認めた者達は、当たり前のように踏みにじられていった。

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