ただ一度だけ
「大変にゃ、大変にゃ。急ぐにゃ、急ぐにゃ」
暗き闇の世界。そこにポツンと存在するシェルターの中で、タマにゃんは忙しなく動き回る。
継ぎ接ぎだらけの回路、今にも壊れそうな操作盤。それらを弄って、来たるべき時に備える。
『エネルギー低下を確認。プロテクト維持のため、補助電源に切り替えます』
轟音が鳴り。
ほんの一瞬、シェルター内が停電するも、すぐに明かりが戻った。
そんな忙しない様子を、2人の輝夜と、リタが見つめる。
「随分と、その、慌ただしいな」
「気にしないで。あなた達が元の世界に戻れるように、タマにゃんは準備を始めたの」
ここは、遠く離れた別の世界。
地球。人間界、魔界という区分ともかけ離れた、別次元の領域なのだから。
「元の世界。あのネックレス、燕の子安貝は壊れたんだが」
「大丈夫よ。世界を超える方法は、1つだけじゃないの」
タマにゃんと、もう1人のカグヤ。
2人はこの世界で生き、より多くの叡智を身につけていた。
「本当は、この世界のこととか、詳しく教えてあげたかったけど。あいにく、時間が足りないからごめんなさい」
「……異世界だなんて。正直、未だに信じられないわ」
深い闇に包まれ。得体の知れない怪物が闊歩する、異常なる空間。
それでもリタは、別の世界に来たという感覚が信じられない。
「タマにゃん曰く。ここは元々、強くて美しい世界だったらしいわ」
「暗くて最悪の世界の間違いじゃないか?」
「元々、って言ったでしょ? かつて、大きな災いが起きて、世界は致命的なダメージを負ってしまった。それこそ、修復不可能なほどに。その結果、このシェルターの外みたいに、地獄みたいな空間が広がってるの」
世界が、致命的なダメージを負う。あまり理解の出来ない感覚であった。
「まぁ、わたしがこの世界に来た時には、すでにこの状態だったから。最悪、タマにゃんの嘘って可能性もあるでしょうけど」
タマにゃんが嘘を吐いている。それこそ、意味のない話である。
「なにせわたしも、タマにゃん以外の人間に会ったことがないのよ。まぁ、人間というか悪魔だけど」
「あの化物たちは、人間にカウント出来ないか」
「あれは、この世界を侵す闇そのものよ。そしてここは、アビスと呼ばれる深い穴の底。人の生活する地上とは、あまりにも距離が離れすぎている」
「あー。つまり、クソみたいな世界の、そのまたクソみたいな場所ってことか?」
「そうね。その認識で合ってるわ」
つまらなそうに、カグヤは分厚い窓からシェルターの外を見る。
「果たして、地上にも生き残りが居るのかしら」
ここは、末期世界。すでに終わりが確定した世界。
暗い井戸の底からは、何も知ることは出来ない。
「ここは終わった世界だけど。そっちは、まだ違うでしょう? 歴史を変えて、世界を救うためにも、あなた達は帰らないといけない」
そう、忘れてはいけない。今こうしている間にも、時間は刻一刻と過ぎ去っている。
ソロモンの夜。姫乃を舞台にした戦いは、まだ終わっていないのだから。
「まぁ、準備はタマにゃんに任せて。わたしの話をちゃんと聞いてちょうだい。これが、最初で最後だから」
最初で最後。
それはつまり、この邂逅に2度目はないということ。
輝夜とリタ。
2人の顔を見て、カグヤは深く頭を下げた。
「――ごめんなさい。そして、ありがとう。わたしが伝えたいのは、この気持ちよ」
カグヤが語るのは、その心に秘めた真実。
ここで、伝えなければならない言葉。
◇
その言葉は、輝夜とリタの2人に向けられるもの。
この場所まで辿り着き、さらに先を行く者たちへ。
「わたしが、役割を放棄したばっかりに。これまで、2人には迷惑をかけたわ」
「……役割を、放棄?」
リタが、疑問を口にする。
「ええ。全ては、わたしのせい。ここにもう1人のわたしが居るのも、全部」
そもそもリタが困惑しているのは、なぜ輝夜が2人も存在しているのか。
この2人の違いは、何なのか。
「そうね。まず、1000年以上も月で過ごして、かぐや姫と呼ばれて。あなたと友達だったのは、こっちのわたしよ。……そっちのわたしは、見た目こそ同じだけど、中身はまるで別人。遠い世界から連れ出した、名も知れない誰かさん」
同じ名前と、同じ顔。
けれども2人は、全く異なる人間である。
なぜ、こうなってしまったのか。
「世界を変えようとした、あなたの時間逆行。実はあの時、わたしも力を貸していたの」
「それって、10年後の未来?」
「ええ。あの、最悪の時代。わたしは月で槍を握りながら、あなた達の行く末を見守っていた」
それは、別の歴史を辿った世界線。
あの世界の、本来の歴史とも呼べるもの。
「10年も時を越えるなんて、無茶にもほどがあるもの。だから、わたしも月の魔力を回して、あなたを後押ししたの」
過去へ向かって、飛び立てるように。そっと、背中を押してあげるように。
だがしかし、それは思いも寄らない事態を招く結果となった。
「どういう因果かしら。わたしはその時間逆行の流れに巻き込まれて、過去へと飛ばされてしまった。リタの目指した10年前よりも、さらに昔へ。気づけばわたしは、あの真っ白な病室で、幼い頃の自分に戻っていた」
それは、輝夜も知っている光景である。
始まりの記憶、この世界と、この肉体、紅月輝夜の原点とも言える場所。
「――そこで、わたしは”絶望”したの」
カグヤの口から語られるのは、嘘偽りのない感情。
絶望という、あまりにも重たい言葉。
「どうしてわたしが絶望したのか。2人には分かるかしら」
カグヤは、輝夜とリタに問いかける。
「あー。また、あの地獄みたいなリハビリをするのは、まじで勘弁、みたいな?」
「違うわよ、バカね。そもそも、わたしはリハビリなんてしなかった。呪いで肉体が使い物にならないなら、魔法で補えばいい。バカ正直に、アナログなリハビリを行うなんて、考えすらしなかったわ」
「む」
そんな、辛辣な言葉を吐きながらも。
とはいえ、カグヤは考えを改める。
「結果としては、あなたのほうが正解だったのかもね。わたしは呪いの抑制に魔力を回してしまったから、他に何も出来なくなってしまった。でも、あなたは違う」
5年という月日をかけて、輝夜は自分自身の力で動くことが出来るようになった。
だからこそ、この戦いの道を歩めている。
「わたしの時は、戦いに回す魔力なんて残ってなかったから。戦いはいつだって、彼の役目だった」
遠い過去、遠い思い出。
カグヤはそれを、静かに懐かしむ。
では、疑問は原点へ。
どうしてカグヤは絶望したのか。
「あの悲惨な未来を、もう一度繰り返すのが怖かったの?」
リタは、そうつぶやく。
「あなたは、人間が嫌いだったものね。人も悪魔も、揃いも揃って、醜いエゴをぶつけ合う。わたし達の未来は、本当に間違いだらけだった」
けれども、カグヤは。
何とも言えない表情でリタを見る。
「あなたって、やっぱりバカね」
「ちょっと、わたしは真剣に」
「ええ、知ってる。あなたはいつだって真面目で、いつもわたしの味方だった。初めて会った、あの日からずっと。ずっと、ね」
リタ・ロンギヌス。1000年の時を生きる魔女。
かぐや姫の、唯一の友達。
「でもあなたは、肝心なところで間違ってる。これだけ長生きしても、まだ学習しないのね」
「……どういう意味なの?」
リタには分からない。
自分が何を知らないのか。何を間違えているのか。
だから、こんな場所まで来てしまった。
「言葉にするのも面倒だから。ちょっと、待ってて」
カグヤはそう言うと、目を閉じて。
ゆっくりと、深呼吸をした。
「手を、2人とも」
輝夜とリタ、2人の手を取って。
自分自身の胸へと、カグヤは押し当てた。
「ほんの刹那でも、あの感覚は忘れない」
カグヤの胸。
そこから感じられるのは、脈打つ心臓の鼓動。
2人は、よく分からないという顔をする。
「――これが、恋の鼓動よ」
真面目な顔で、カグヤはそう言って。
まさかの言葉に、2人は固まってしまう。
恋の鼓動。
カグヤはそう言った。
けれども、理解が追いつかない。
「これは、わたしだけの感情よ。善人を好きになった、わたしの恋心」
「ぷっ」
その言葉に、思わず輝夜は吹き出してしまう。
「よ、善人? お前、あいつが好きだったのか? あの頼りなくて、ビビリで。おまけに最近、なんか二重人格になってるあの?」
「失礼ね! わたしの好きになった彼と、あなたの世界のアレを一緒にしないでちょうだい。……そっちのぼんくらと違って、わたしの世界の善人は、最高のヒーローなんだから」
最高のヒーロー。
そんな言葉を、カグヤは大真面目に口にした。
その世界を、その歴史を知らない輝夜にとっては、まるで理解の出来ない言葉であった。
「……まぁ。これが、わたしとあなたの一番大きな違いかしら。あの病室で、善人と出会ったわたし。出会わずに、5年後にズレてしまったあなた。これが、わたし達の運命の分かれ道ね」
花輪善人との出会い。それが異なるだけで、2人の輝夜はまったく別の人生を辿ることになった。
どちらが正解というわけではない。
それが、運命だっただけの話。
「そして、この感情こそが、リタが1000年費やしても得られなかったもの」
真面目な顔で、それでいて哀れむように。
カグヤはリタと目を合わせる。
「何が、言いたいのかしら」
「あら、何か間違ってたかしら。恋バナ、誰かを好きなったとか、そういう話。長い付き合いだけど、あなたの口から聞いた記憶がないのだけれど」
「はっ、はぁ!? それは、確かにそうだけど」
痛いところを突かれたように、リタはうろたえる。
「ねぇ、もう1人のわたし? 1000年以上も生きて、一度も恋を知らない魔女とか。ぶっちゃけ、どう?」
そう、問いかけられて。
輝夜は少し、真面目に考えると。
「ぷっ」
またもや、吹き出してしまう。
「ちょっと、何よその反応!」
「いや、まぁ、うん。1000年も恋を知らないとか、言葉にされると。色々と、アレだなぁと」
「アレってどういう意味!?」
顔を真っ赤にして、リタは憤慨する。
2人の輝夜に、まるでバカにされるような。
今まで生きてきて、味わったことのない感覚であった。
「いい!? 恋とか、愛とか。そういうのって、一般的な人間には当たり前かも知れないけど、わたし達には縁のないものなのよ? だって、魔法使いは寿命とか関係ないし、子孫を残す必要だってないもの。それに、そうよ! 生物的に考えても理にかなってるわ。寿命の短い生き物ほど子供を産んで、逆に長寿の生き物ほど子供を生みにくい。繁殖ってそういうものなの。――だから、わたしが一度も恋をしてないとか、何もおかしな話じゃないのよ!!」
それは文字通り、魂の叫びであった。
リタという人間の根底にある、ある種のコンプレックスが爆発する瞬間でもあった。
「そ、そもそも、こっちは真面目な話をしてるつもりだったのに。急に恋がどうとか言わないでくれるかしら」
そう言って、リタは開き直る。
自分は何一つ間違っていないと。
だがしかし、
この恋という単語が、話の根底であった。
「……わたしにとっては、それが、何よりも大事だったのよ」
理解されないのは分かっている。けれども、カグヤも譲るわけにはいかない。
「だからわたしは、絶望した」
あの日、あの病室で。
時間を遡ったことを知って、カグヤは悟った。
何よりも、残酷な世界のことを。
◆◇ ただ一度だけ ◇◆
その静寂の中で、カグヤは自らを知覚する。
小さな肉体、動かない身体、落ち着かない機械音。
目を開けて見えるのは、真っ白な天井。
姫乃第一病院、その中でも特別な病室である。
カグヤはこの場所を、知っている。
拭い去れない過去と、心が警鐘を鳴らしている。
(うそ。冗談、でしょ)
理解が追いついていく、現実を認識していく。
何よりも、恐怖が湧き上がってくる。
未来を知っている。
大きな災いが起き、世界が滅ぶ未来を。
だが、そんなことはどうでもいい。
それよりも大きな恐怖を、カグヤは知っていた。
――わたしが目覚めた日。それはすなわち、彼と出会った日。
想うだけで、心臓が痛くなる。なんと生きるにつらい肉体だろう。
魔力を手繰り寄せて。
体を起こし、扉を見る。
覚えている、この光景を。かぐや姫が死に、紅月輝夜として生まれ変わったこの日。
扉を開けて、彼と、花輪善人と出会う。
まだ、”わたしのことを知らない彼”と。
「……あ」
それが、絶望。
人生は、ゲームなんかとは違う。簡単にやり直しをすることなんて出来ない。心はリセットされない。
あの世界を、あの物語をもう一度なんて、出来るはずもない。
彼と出会い、彼に恋をし、彼を失う。
それが、わたしの歩んだ物語である。
涙が、溢れ出た。
わたしは未来を知っている。この日から動き出せば、多くの事柄を変えて、世界そのものすら自在にできるかも知れない。その可能性が高いだろう。
きっと、想像以上の苦難が待ち受けている。でも、もう一度。わたしと彼が力を合わせれば、どんな未来にだって変えられるはず。
けどそれは、わたしの未来ではない。
――お願い、わたしの名前を呼んで。
あり得ないと分かっていても、そう願ってしまう。
彼に会いたい。善人と。もう一度わたしは彼に会って、今度こそ本当の気持ちを伝えたい。
でも、それはあり得ない。
仮に扉を開いても、そこにいるのは、わたしを知らない彼。異なる世界線を生きる彼。その道は、決して交わることはない。
なんて、地獄。こんな人生をもう一度なんてあり得ない。
彼との出会いを、記憶を、想いを。全て過去と割り切って、もう一度新しい人生を歩むなんて。
魔力の糸が途切れ、カグヤはベッドに倒れ込む。
扉は、開くことはない。
全てを忘れて、諦めて、ここで死を選ぶという選択肢も、頭によぎった。しかし、それが最悪の選択だということも、同時に理解が出来た。
多くの願いを込めて、リタは時間を遡った。でもその先に、紅月輝夜というパーツが存在しなかったら?
この肉体は、この世界において大きな役割を担っている。世界を左右する力が、わたしにはある。だから、この命は無駄には出来ない。
だがしかし、もう一度、この足で歩こうとは思えない。
――彼との物語を、始めからなんて。
だからカグヤは、探すことにした。自分の代わりになってくれる存在を。
この肉体との互換性を持った、稀有な魂の持ち主を。
遠い、遠い世界まで。
「そうして見つけたのが、あなただった」
今、現在。
カグヤと輝夜が見つめ合う。
本来ならば、決して交わることのない2人が。
「なるほど。だから、こうなったわけか」
「ええ。遠い世界に暮らす、まったくの別人だけど。それでもあなたの魂は、わたしとの相性が良かった。なんと表現すればいいのか、波長が、合ったのかしら」
それが、あの始まりの日に起きた、全てのきっかけ。
選ばれた理由。
「あー、うん。なんというか、あの時のことはよく覚えていないんだが。……確かわたしが、珍しくゲームを買った日で。そして――」
気まぐれで始めた、ゲーム。
その最初の画面で、それは起こった。
「そう。あれが、わたしとあなたの契約だったの」
「契約? いやいや。普通に、ゲームを動かしてただけだったような」
「そう見えるようにしていたのよ。あの時点でのあなたは、まだ何者でもない一般人だった。魔法なんて、理解も出来ないでしょう?」
ただのゲーム画面。ステータスを決めて、物語を始める準備をする。
しかしそれは、あくまでも表面的なもの。
「実際にはあの時、裏では複雑な魔法式が動いていたの。なにせ、遠い世界のわたし達が、魂を入れ替える魔法だもの」
悪びれる様子もなく、カグヤは白状していく。
「あなたが選択肢でYESを選ぶたびに、あなたの魂は術式に囚われていった。そして、まぁほとんど詐欺みたいな形で、あなたはわたしになったの」
それが、この物語の始まり。
紅月輝夜が新生した日。
2人のかぐや姫は、こうして発生した。
「リタも、理解してくれた? わたしが役割を放棄した理由。そして、こっちのわたしが生まれた理由を」
カグヤとリタが、見つめ合う。
1000年を超える付き合いがあっても、知ることのなかった秘密。
唐突な告白に、リタの瞳が揺れる。
「でも、わたしは、あなたのために。あなたを幸せにするために、もう一度世界をやり直そうと」
そう訴えかけるリタに対し、カグヤは静かに首を横に振る。
「ほんと、バカなんだから。せめて相談とかなかったの? もう一度人生をやり直したいなんて、わたし一言でも言ったかしら」
そうやって、2人はずっとすれ違い続けてきた。
初めて会ったあの日から、ずっと、ずっと。
「恋は。わたしの恋は、一度だけなの。……たった、一度だけ」
胸を突き動かす鼓動。
湧き上がるような激情。
それに、二度目はあり得ない。
「わたしが好きになった彼は、あの世界、あの時間、わたしの隣りに居た善人だけなの」
たとえ、時間を遡ったとしても。扉を開けた先にいるのは、自分のことを知らない真っ白な彼。
そんな残酷な世界を歩むことを、カグヤは選べなかった。
「そんなっ。なら、だったらわたし、本当にただのバカじゃない!!」
ただ、彼女の幸せを願って。彼女のためを思って、時間すら遡ったというのに。
けれどもそれは、カグヤの恋情を踏みにじるものであった。
何も知らずに。知ろうともせずに。
なんと愚かな魔女であろう。
そう、自分を思うリタであったが。
包み込むように、カグヤが抱きしめる。
「いいの。もういいのよ。あなたがとても優しくて、わたしを一番に考えてくれているのは、知っているから」
なぜなら。
魔女は、かぐや姫の唯一の友達なのだから。
「許して、なんて言わないから。でもせめて、知ってほしいの」
「違うのよ、カグヤ。謝るべきなのは、わたしなのに」
生まれた星が、世界が、時間が、全てが悪かっただけ。
本当は、ただ純粋な友達で在れたのに。
すれ違いも、結末も、そういう運命だった。
「……」
抱きしめ合う2人を見て。輝夜は、なんとなく既視感を覚える。
この感情を、自分は知っている。
(あぁ、そうか)
重なり合う姿は。
まるで、自分と影沢舞のように。
心をさらけ出して、全てを打ち明けられる。
それは友を超えた、”理解者”と呼べるもの。
この2人は、1000年以上の時を経て、ようやく辿り着いたのだ。
「ごめんなさい、かぐや。いっつもいっつも、つらい役目を押し付けて」
「なに言ってるの。つらい思いをしてたのは、あなたも同じでしょう? そういう運命だったんだから、仕方がないのよ」
始まりの日から、どれほどの時間がかかったのだろう。
どれだけの回り道をしてしまったのだろう。
月で出会った、2人の無垢な少女は。
こうして、分かり合うことが出来た。




