第三死 出会った瞬間即死亡。運命の男の子
あ、どうも。無様にも4回目の10歳を繰り返す事となりました。スピカです。よろしくお願いします。
目の前には『 Result 』の文字。けたたましいファンファーレ。ドンドンドンドンン!!やたらカッコいいジャキーン!!
『 Result 』
0P
報酬 なし
力 14+3
魔力 0+0
体力 14+3
すばやさ 14+3
女神の祝福
【世界平和】Lv003
キルペナルティ:運-50
『 残り時間30秒 』
歪なハートのパンが理由じゃなかった。パンは食べても食べなくても戻される。
力とか体力がいつもよりちょっとだけ多く増えてるのは、なんとなくだけど理由がわかる。
この2年間は褒められたからって調子にのって、体力作りに精をだしちゃったもんね。腹筋とかバキバキだったし。
でもさぁ。そりゃないんじゃない『キルペナルティ』君さぁ。
不可抗力じゃんあのパンは?
本当に悪いのはマルコでしょ?
確かパンに猛毒が塗ってあったはずよね?
許してくれませんかねぇ?ぴえん
返事はない。
あの男の子にパンが当たって、川に落ちて、溺れて死んだ。だから私はキルペナルティ。
そー言う事だよね。
人を殺すとキルペナルティなんてナイスなものがいただけるらしい。
2年間頑張って体を鍛えて上がったのがたった+3、対してキルペナルティさんは-50。
はっきりわかる。-50はエゲツナーイ数字だと。
そして次回の2年は波乱の人生になると。
これは私の背負った罪と罰。ヨヨヨ。
あー落ち込んでいたらもう残り時間がないわ……
2年て終わってみると短いけど、意外と長いのよね。はぁ……
あきらめて目をつぶると、私は眩しい光に包まれていく……
やがて眩しい光は和らいで、目の前に教会のハダル神父が現れた。
ヤッホ!
「さぁ村長の娘スピカよ。守護女神トレミー様に君は何を祈り、何を目指す」
どーもどーもハダル神父さんチッーッス。2年ぶりっす。
前回はめちゃくちゃ怪しんで、ハダル神父の泊ってる宿屋に侵入したりしてごめんね。
宿屋に10歳の女の子を連れ込むロリコン扱いされたりして、とってもとっても大変だったよね。
今回は侵入したりしないから、あ・ん・し・んしてね!
「どうしましたか?あなたの番ですよ。スピカ」
「えっと、その、溺れる人を助けたいとか、そういう願いでもいいですか?」
「おお、スピカよ。人生の悩みに溺れる人々を救って生きていきたい。【神官】になりたいと言う訳ですね。とても素晴らしい」
「ええっ?」
ぷ、神官?
守護女神トレミー様の像の方から暖かい風が吹いた。にっこり笑ったのは間違いない。
ママのクリームシチューにマルコの家のパン。何度繰り返しても言える。ウマイ!!!最高!!
結構余裕あるじゃんって?まぁ4回目ですからね。余裕もでまっさ。
「しかし、スピカが神官ねえ。そんな偉大な事を考えていたなんてパパ知らなかったよ。パパなんて村長になりたいって祈ったさ。まぁあんなものはおまじないみたいなもんだけどな。なぁママ」
「おまじないだなんて、トレミー様はちゃんと叶えて下さるのよ。私は叶いましたもの。素敵なお嫁さん」
「ママァ」
「あなた……」
見つめ合う二人。もはや何も言いますまい。
「どうしたスピカ。止めてくれないと色々と、その……困るんだが……そっ、そう言えば、隣村の子で勇者になるって祈った子がいたみたいだな」
「まぁ。将来有望ね。スピカちゃん仲間になっちゃいなYO!」
はいはい。お嫁、お嫁、お嫁サンバーって。ん?
「え?今ママなんて言ったの?」
「勇者様の仲間にって……ほらスピカちゃんは神官になりたいんでしょ?だったら勇者様の仲間なんて素敵じゃない。そしていつか二人は恋に落ちて。……そうだスピカちゃん勇者様のお嫁さんになっちゃいなYO!」
「まてまて、勇者様の仲間になるなんて大変な事なんだぞ。この村には神官の知識を学べる学校なんてないしな。あ、嫁にはやらん馬骨」
めっちゃ略したね最後。
神官かぁ。ハダル神父の勘違いで女神の祝福になっちゃったけど、しっかり努力すれば回復魔法とかも使える様になるんだろうか?
回復魔法を努力して覚えれば川に落ちたあの子は助けられるかな?
あ、私、魔力0とかResultに表示されていたような気がするけど……
そもそも私がパンを投げなければあの子は川に落ちないはずよね。マルコにパンを焼かせないって手も考えたけどやめておこう。
ともかく、神父やパンが犯人じゃない。あの男の子に会おう。
って、あの子はいったい誰なのーーーーーーー?
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うん。この2年間は地獄だった。
運が悪いって簡単に言うけど最悪よね。
上からバケツやら花瓶やら何かが降ってくる、水とかペンキとか液状のものをぶっかけられる。
大事な日には雨が降る。様々な穴に落ちる。お金を落とす。犬の糞を踏む。
これね。毎日なの。ホントよ。毎日複数の不幸がさまざまな角度から私を狙ってくる。
『キルペナルティさん』あんた本当に仕事人よね。
おかげで危険を察知するのがうまくなったよね。
ほらまた鳩の糞が私を狙ってる。サッと回避。どんなもんよ。
ふふふ。
これは犬のおウンチサマデゴザイマスわね。こんなに靴と一体化しちゃって。オホホホホ涙
感謝感謝(ブチ切れ)
ちなみに村人達からの私の評価は『騒がしいガリ勉』。もう何とでも言うがいいさ。フン。
そりゃ騒がしくもなるよね。あらゆる方向から不幸が私を狙ってくるんだもん。
外を歩けば「ぎゃ!」「あぶない!」「おっと」などなど悲鳴を上げていたからね。
不必要な外出は避けて、家に閉じこもってガリ勉にもなりますわ。
そうそう『キルペナルティ』さんの恐怖に怯えながら、神官のガリ勉を頑張ったよ。
神官についてなんて、勉強するすべが無かったんじゃって?甘い甘い。
そこで『キルペナルティ』さんの出番ですよ。もっとも『キルペナ』さんにそんな意思は無かったかもしれないけどね。
まず、第一の不運はじゃんけんが雑魚キャラレベルに弱い事。第二によく色んな所に落ちる事。第三によくケガをすること。
それらの不運が絡まりの連鎖を起こすととどーなるか。
こうよ!!
ジャジャーン。
「初級回復魔法」
キラキラキラ~~~
みてみて!さっき突然降ってきた栗のトゲトゲが刺さった腕の傷が、なんと言う事でしょう。さーっと綺麗に回復したではありませんか。ドヤァ。
どうやったか!!
まずじゃんけんで負けて旧校舎の掃除当番になりまぁす。腐った床を踏み抜いて地下まで落ちまぁす。
発見した謎の研究所で『はじめてのしんかん』という本を見つけて読みまぁす。
そして『キルペナ』さんのおかげでしょっちゅうする小さなケガを、初級回復魔法を何度もかけて治します!!
はいマスター!! ドヤァ。
………うっ (涙)
略せばこうだけど、実際はそう簡単じゃなかったよ……
『はじめてのしんかん』を発見した時は表紙しか読めなかったし、初級回復魔法だけでも解読するのに1年もかかった。
初級回復魔法をマスターしたのなんて昨日だよ。
明日が例のパンを投げる日(投げるとは言ってない)だからマジギリギリ。
そんな騒がしい毎日も明日で終わり。……のはず。
明日は、早起きしてあの男の子を探す。レディーを2年も待たせたあの子をね。
…………グースカピー
で、でたー大事な日に限って寝坊するやーつ。
皆様おはようございます。スピカです。
はい、見ての通り、ガリ勉の私は起こされもせず、大事な小麦の収穫に置いて行かれた模様です。
パパとママの優しさ、身にしみわたります。
「ぐぬううううううガリ勉だからって負けるかー!!!!!」
私は走る。いや走れ!!目的地は川よ!
来ました最終難関『村の大通り』!
町って程の規模じゃないけど、両側に2階建ての家々が並んで立っている。村の唯一のメインストリート!
お察しの通りここが 『キルペナルティ』さんとのラストバトルとなるステージ。
ここを走り抜けなきゃ、凄~~~~~く遠回りだから行くしかない。
走り抜けろ!!私ならやれる!!
上からは水、花瓶、糞、赤ちゃん!?、ホウキ、猫、ヤカン、パン、豚!?ありとあらゆる物が降り注いでくる。
走りながら回避しろ!集中だ!右に左に!!おっと赤ちゃんはお母さんへ!!
足元にもご注意!下には水たまり、糞、バナナ、糞、糞、釘、画びょう、ガラス、糞、うんち、うんこおおおおおおおおおおおおお!?
跳ねろ!回避だ!誰か掃除しなさいよ!!!!!
おっと忘れちゃだめだよ横からも!。水、子供、犬、子供、牛、猪、馬、ハゲたおじさん、あ、こりゃパパだ。
ステップ!バックステッポオオオ!ヒラリヒラリ!!
もうコレバトルというかダンスでしょ……
危険察知と鍛えた筋肉で耐えながら走り抜ける。
たまに花瓶やらガラスやら痛い物が当たると「プチキュアアアアア」って叫びながらね。
我ながら騒がしい女の子だ。ぴえん。
そして私は勝った。川沿いまで走り切ったのだ。『キルペナルティ』さん。今までアザシタッ!!!
…………
私は倒れている男の子の手をそっと握った。
川沿いの木の下で、すでに男の子は倒れていたのだった。
パンを投げていないのに何で……
男の子は全身傷だらけで顔色は青く、息も弱弱しい。
血で汚れていなければ綺麗な金髪なんだと思うけど、今は痛々しいだけ。
「初級回復魔法」
ありったけの魔力を込めて回復魔法をかける。
ほんの少しずつだが、深い傷も治り始める。ヨシッ!
「うっ………君は?」
「しっ。黙って……傷が開く」
「良かった。最後に君みたいなかわいい子に会えるなんて……」
「最後って……助けるから……私が助けるから!」
男の子は静かに私の手を振り払う。
「もう……いいんだ、君に毒がうつるといけない」
「ど、毒!? 」
治り始めていた傷が、グジュグジュと音を立てて腐り始めていた。
「初級回復魔法!!!」
何度も初級回復魔法をかけるが、かけたそばから腐っていく。
普通の毒ではない。魔力による毒の呪い。
呪毒魔法だ。
男の子は横たわったまま、掠れた声で私に聞いた。
「ありがとう。……君の名は?」
「スピカ。私はスピカよ!!」
「僕はリ…ゲ…」
そう言い残すと男の子は目を閉じ、次第に息も聞こえなくなった……
ブツンッ……
続きは明日です。
楽しんで読んでもらえてる様でしたらブクマお願いします。




