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第87話 【賢者マーリン・4】


 その後、弟子にとった理由を理解したグレンだったが、一つ気になった所がありマーリンに聞き返した。


「マーリンが持ってない技術を持っていた俺が、全属性を持ったから弟子になって欲しいって頼んだ理由は分かったが。俺以外に、その二つを持っていて全属性だった奴は居なかったのか?」


「居なかったのう。全属性を持った者はこれまで見た事があったが、全員魔法使いとしての腕はあっても剣術や〝魔法剣〟の技術は持っておらんかった。じゃから、グレンが全属性を持ったと聞いて弟子になってくれと言ったんじゃ」


「成程な……まあ、確かに言われてみれば、そもそも〝魔法剣〟を使う奴自体が少ないのに、それを持ってる全属性持ちはほぼいないだろうな」


「うむ、じゃから諦めて居った所にグレンが現れて、ここしかないと思ったんじゃ」


 聞きたい事は聞き終えた所で、早速マーリンの修行が始まった。

 修行内容はマーリンが考案した魔法を〝魔法剣〟として使うというのを、実現させるという内容の為、取り敢えずその魔法を教わる事となった。


「全属性が必要なのは話から分かるけど、どんな魔法なんだ?」


「うむ、言葉よりも見せた方が早いじゃろうな」


 マーリンはそう言うと、グレン達から少し離れた位置へと移動して魔法を発動した。

 全ての属性魔法が合わさったその魔法は、黒い球体でその中心に向かって引き寄せる魔法だった。


「……凄いわね。あの魔法、本当に全ての属性魔法が合わさった魔法よ」


 マーリンの魔法を見たフレイナは、驚いた顔をしてそう言った。

 その横でグレンもまたマーリンの魔法を見て、その技術に驚き、賢者という名前も伊達じゃないなと感心していた。


「どうじゃ? 魔法名はまだ考えておらんが、これを魔法剣として使ったら凄い事が起こりそうじゃろ?」


「ああ、だけどあれってそもそも攻撃魔法なのか?」


「うむ、一応その分類には入るぞ、ただまあ難しい構造をしておるからか速度が全くでておらんから、あれを使った戦闘はした事がないのう」


 マーリンがそう言うと、改めて同じ魔法を発動させて近くにあった木に向かって放った。

 魔法はゆっくりと移動して、その木に当たると当たったカ所から球体の中心に引き寄せられ、当たった所が抉り取られて木は倒れてしまった。


「……凄いけど、これを魔物に使ったら素材は取れないな」


「うむ、じゃからそこを魔法剣として使って、調整させたら良い感じになるんじゃないかと儂は思うんじゃ」


 その言葉にグレンは、〝魔法剣〟に今の魔法を使った状態を想像した。


「……マーリンの言う通り、今のを魔法剣として使ったら凄い事が起こりそうだな」


「そうじゃろう、そうじゃろう! 儂が考えた魔法の中で、最強の魔法じゃからな。これを上手く使えるように〝魔法剣〟に組み込めば、グレンは最強の魔法剣士になれるぞ!」


 グレンが乗り気になったのに対して、マーリンは興奮したようにそう言った。

 それから、グレンはマーリンが見せた魔法の習得訓練を始めた。

 全属性の扱いに関しては、既に妖精界でフレイナからみっちりと指導を受けていたグレン。

 予想以上に属性魔法の扱いに長けていたグレンを見たマーリンは驚きつつも魔法の指導を続け、修行開始から三日でマーリンの見せた魔法を習得したグレンだった。


「……儂、この魔法を作るのに50年掛けたんじゃが」


「まあ、そこは本当の師匠の腕が良いからな」


「……そうじゃな。じゃが、本題はここからじゃ! グレン、その魔法を〝魔法剣〟として使ってみるんじゃ」


 簡単に習得したグレンにマーリンは悔しそうにそう言うと、グレンは剣を抜いていつものように魔法を剣に纏わせ始めた。

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