表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/299

第82話 【聖国の聖女・2】


「人型の妖精さん初めて見ました!」


 フレイナ達の事を話す為に、フレイナに実体化してもらおうと聖女は瞳をキラキラと輝かせ、興奮した様子でそう言った。

 

「ティアさん、落ち着いてください!」


 フレイナの姿に興奮した聖女は、立ち上がってフレイナの周りを回って色んな角度からフレイナを観察した。

 ここまで印象が変わる相手、今までいなかったぞ……

 内心俺はそう思いながら、聖女に落ち着くように言い、それから数分後やっと聖女は落ち着きを取り戻してソファーに座りなおした。


「すみません! グレンさん、大きな妖精さん初めて見まして興奮しちゃいました」


「ああ、いえ別に大丈夫ですよ……ただ、まあ少しイメージは変わりましたけど……」


「うっ……実の所言いますと、さっきの私が本来の私なんですよね。いつもの落ち着いた感じは、聖女のイメージを崩さない為にそうしてなさいってきつくお父様に言われてやってまして……」


 聖女は言い難そうにそう言うと、上目遣いで「さっきの私の事、内緒にしてください」とお願いをされた。


「大丈夫ですよ。どうせ、喋った所で信じられないと思いますから……まあ、でもさっきのを見たおかげで俺の緊張感も少し解けたので良かったです」


 実際、さっきの聖女の様子を見た俺は、最初に部屋に入った時のような緊張感は無くなっていた。


「ねぇ、二人だけで話進めるなら、戻っていいかしら?」


 聖女と話していると、拗ねたような口調でフレイナからそう言われた。

 何で、拗ねてるんだ。折角、姿を現したのに余り触れないからか? そんな奴だったんだな……


「すまん。フレイナ」


「ごめんなさい、フレイナさん!」


 そう俺達が謝罪すると、フレイナは俺の横に座り俺の力について説明を始めた。


「へ~、強い力を感じてましたけど色んな能力があるんですね~」


「……えっ? そこは気づいてなかったんですか?」


 フレイナ達の事や眼の力の事を話し終えた俺は、聖女のその言葉に目を見開いてそう聞き返した。

 いやいや、ちょっと待て、そういやあの時〝その眼程では無い〟って言ってたよな?


「気づいていたのは、鑑定の能力くらいですよ? 後は、妖精さんの力が少し感じたので、あっ凄い眼をしてるんだろうな~って思っていただけですよ」


「……」


 眼の力がバレてるって、俺の勘違いかよ! 全部、話しちまったよ!

 心の中でそう叫んだ俺は、隣に座るフレイナの方を見た。

 フレイナもまた俺と同じような気持ちなのか、少し驚いた表情をしていた。


「あっ! 心配しなくても、今の話は誰にも言いませんよ?」


「あぁ、はい。お願いします……」


 それから話は最初の、どうやって脳を治したのかという話に戻った。

 既にフレイナの事や眼の事を話している以上、変に隠したところで意味も無い為、森で脳を破壊した所から聖女に話した。


「自分の脳を壊す何て、グレンさんって本当にヤバい人だったんですね……」


「あの、今は普通な人と同じ生活をしてるのでそんな目でみないで欲しいです……」


 脳を壊したと話すと、聖女はあからさまに引いた顔で俺の事を見て来た。

 まあ、俺も自分の脳を自分の手で破壊した何て言う奴が居たら、同じような感情にはなるけど自分がされるのは少し辛い。


「それにしても私でも治せなかったものをフレイナさんは治せるって事は、私以上の回復魔法を持ってるんですね」


「そうね。そこは妖精と人間の力の差かしらね。それに人間がほぼ蘇生に近い魔法を習得したら、それこそ今は落ち着いてる戦争が再び起こるでしょうね」


「そうですね。そこまでの能力が無くても、回復魔法は凄く貴重な魔法なので争いは起きますからね」


 フレイナの言葉を聞いた聖女は、そうフレイナの言葉に続けて言った。

 そう言えば昔、聖女の力を欲した国が聖国に戦争を起こしたって話を聞いたな……


「グレンさんも回復魔法を使えると先程言ってましたが、あまり人が居る所では使わない方が良いですよ」


 聖女からそう忠告をされた俺は、聖女の真剣な表情を見て「そうですね」と言葉を返した。

【作者からのお願い】

 作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら

 下記の評価・ブックマークをお願いします。

 作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版が2021年11月10日に発売予定です!
★★書籍版では書き下ろし外伝「後悔する者たち」を収録しています★★

書影
書籍版の公式ページはこちら

― 新着の感想 ―
[良い点] 聖女かわいい [気になる点] 拗ねてるフレイナに対して主人公が「そんなやつだったんだな……」ていう感想抱くのはどうなの?
[一言] たしかに昔あった時とはキャラ全然違うよな~ そもそも余所行きうんぬんの前に 砕けた感じの時の喋りすら今と昔で異なるから同じ人とは思えんかった こういう可愛い感じじゃなくてもっとお姉さんっぽい…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ