第08話 【強く・1】
その後、フレイナは10分程して正気に戻った。
その際、今までだったらただ喜んだ顔をしていたが、恥ずかしそうな顔をして「ご、ごめんねグレン」と小さな声で言った。
「別に良いよ。今更だし、それにフレイナがそこまで思い詰めていた何て気付かなくて悪かったな」
「あ、あぅ……」
絶賛恥ずかしモード中のフレイナは、グレンのその言葉に更に赤面した。
最早、喋る事すら出来ない状態となったフレイナはグレンの背中に顔を隠して、風呂場まで移動した。
そして風呂場では、いつもであれば近くに来るフレイナだが、恥ずかしさが残っていて、グレンと少し離れて湯船に浸かった。
「まさか、フレイナのあんな顔を見るなんてな……お前ら、見た事あったか?」
「ないよ~、流石グレンだね~」
「グレンだけだよ。長のあんな顔をさせたの、凄いね~」
「凄いっていうか、殆どフレイナの自滅だろ……」
そう言うグレンに対して、フレイナはジト目で遠くから見つめた。
実際の所、自分の自爆なのだがそれでもあんな醜態を子供達に見せてしまったのはグレンが関係している。
その事でフレイナは、若干グレンの事を逆恨みしているが、現在進行形で恥ずかしさへメーターが振り切っているのでグレン達の話に入る事は出来なかった。
「……あの、フレイナさん? 今日はいつにも増して情緒が不安定ですね」
風呂から上がった後、グレンは部屋に戻りベッドに横になっていた。
そんなグレンの部屋に、フレイナは突然入って来ると一瞬にしてグレンの横にダイブして、グレンが逃げない様に手を握った。
「不安定じゃないもん……」
「あっ、はい……」
ジト目で睨まれ、言葉の圧によりグレンはただ返事をする事しか出来なかった。
その後、グレンはフレイナと一緒に寝る事にしたのだが、先に寝てしまったフレイナの胸がグレンの腕に押し当てられ、グレンは悶々としていた。
「ったく、最近のフレイナの行動全く読めねぇよ……」
意識をなるべく、腕に集中しない様にグレンは早く眠れと思いながら、目を瞑った。
◇
「はぁ、寝不足だ……」
最近風邪だったり、寝不足だったりと体調を崩してばっかりだ。
まあ、原因は全部フレイナなのだが……
「ほら、グレン。さぁ、今日も訓練しましょうか!」
「ったく、本人はグッスリ寝て元気満タンかよ……」
こっちの身にもなってくれよな、全くフレイナに振り回されっぱなしだ。
「なあ、フレイナ。そろそろ、魔法の訓練に入らないか? 眼の訓練は大分進んで、もう殆ど良いだろ?」
「う~ん……そうね。眼の力はもう大丈夫そうだし、そうしましょうか。グレンは確か、雷魔法が得意だったかしら?」
「ああ、雷魔法は小さい時から使ってたし、一番得意なんだが……妖精界で過ごしたこの一ヵ月間で何故か全属性が扱えるようになってな……」
先日、ふと試しにと思い魔法を使っていると、今まで使えなかった属性の魔法も扱えていた。
そこで俺は自分がどれだけの属性が使えるのか、自分自身に鑑定眼を使用した。
すると、何故か俺は全属性の魔法を扱えるようになっていた事が分かった。
「グレンなら大体察してると思うけど、妖精の力よ。妖精族が契約した相手は、妖精の魔法。属性魔法を扱えるようになるから、それでグレンは全属性の魔法に適性が出来たのよ」
「やっぱりかよ……まあ、使えないよりましだけど、全属性適性って相当少ないよな……」
「ええ、全属性を扱えたとしても他の属性とのバランスが悪くて、使えるけど使えないって一部では言われているわね。でもグレンなら、そんな事無いわよ。だってグレンの場合、妖精族の力を受け取ってるから本来の先天性の全属性持ちの人とは、全く違うわ」
「だろうなとは思ったよ。だって、試したらどの属性魔法もほどほど扱えてたしな……」
実際に試して、その威力や扱いやすさに驚いたのを今でも覚えている。
まあ、だとしても扱えるレベルで実践に即使えるかと言われたら、微妙なレベルだった。
「と言う訳で、フレイナ。魔法の訓練よろしく頼むな」
「ええ、任せて頂戴」
フレイナは俺の言葉に、嬉しそうに答えると早速訓練の内容を説明してくれた。
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