第68話 【ホームパーティー・1】
あの後、驚く二人を家の中に入れると更に驚き、グレンはそんな二人の反応が面白く、夕食にはまだ早い時間だった為、家の中を紹介して回った。
「王城と遜色無い造りって、マジでこの家おかしいだろ……」
「俺は王城の中を見た事が無いが、外観も凄いし内装も豪華な造りをしてて外から見た限りだと位の高い貴族の家に間違えるだろうな……」
ガリウスとルドガーはグレンの家を見て回り、同じような感想を述べた。
「まあ、それは俺も思ったよ。まさか、自分の家がこんな豪華になるとは思いもしなかったよ」
「……そもそも、風呂付の一戸建ての時点で金持ちの家判定だけどな」
「そこは譲れない所だったからな、この一年で妖精界で散々温泉に入っていたせいか風呂好きになってしまったからな」
そうグレンが言うと、ガリウスが「風呂が好きね……」とポツリと呟いた。
「そういや俺のクランにも一人、風呂が好きな奴が居たな。風呂が好きすぎて、秘湯探しの旅をしてる奴が」
「秘湯探し?」
ガリウスのその言葉に、グレンは反応してそう聞き返した。
「ああ、フレッドって名前なんだがよ。あいつも相当な風呂好きだから、グレンと話が合うかもな」
「フレッド、秘湯探し……なあ、そいつってもしかしてなんか熊っぽい感じの奴か?」
グレンは以前、自分に秘湯を教えてくれた妖精の契約者である旅人のイメージをそのままガリウスに言った。
「熊って……いや、まあ確かに言われてみればそんな感じだな。なんだグレン、フレッドの事知ってるのか?」
「知ってるというか、俺が温泉旅行に行く際に秘湯を教えてくれたのが多分そのフレッドって旅人だ」
「何? って事は、あいつ王都に帰って来てたのか? クランハウスに一度も顔を出してないぞ?」
ガリウスはグレンの言葉を聞くと、目を見開き驚いた様子でそう言った。
そんなガリウスにルドガーは「フレッドなら今頃、王城に居るぞ」と驚くガリウスにそう教えた。
しかし、その言葉に更にガリウス驚き「はぁ!?」と更に驚いていた。
「何で、あいつが王城に居るんだよ。俺の所に一度もそんな連絡来てないぞ?」
「そうだったのか? フレッドが報告してると思ってたから、ギルドからは連絡入れてなかった。すまん、ガリウス」
ルドガーはガリウスの言葉に、そう謝罪をした。
そんなルドガー達のやり取りを見ていたグレン、しかし意識は窓の外に隠れている奴に向いていた。
「クソ猫、窓は開いてるから3秒以内に入ってこないと、そこに向かって攻撃するぞ」
突然、グレンがそう言いルドガー達は不思議そうにグレンへと視線を向けた。
視線を集めたグレンは、言葉通り「3」と数字を言うと、バッと窓が開き外からキャロルが入って来た。
「グレン君の感知範囲広すぎにゃ……」
「一年間修行して色々と成長してるからな、俺の力を見誤っていると痛い目にあわすぞ? それより、何の様だよ」
「グレン君がまた王都に戻って来たから、あたしの方から挨拶に来たにゃ。本当は一緒に事件を解決した相棒にゃんだから、グレン君の方からあたしの所にも挨拶に来て欲しかったにゃ」
「誰がお前の所に行くかよ」
グレンとキャロルのそんな言い合いを見ていたルドガー達は、ふとキャロルならフレッドが王城に呼ばれてる理由を知っているのではないかと思いガリウスは尋ねた。
「情報屋。俺のクランメンバーのフレッドが王城に呼ばれてる理由って知ってるか?」
「にゃ? 知ってるにゃよ。でも聞いても余り意味がないにゃよ?」
そう前置きをするキャロルに、ガリウスは「金は払うから教えてくれ」と言いキャロルの情報量の相場である金貨一枚を取り出し、渡そうとした。
「う~ん、別にこの程度の情報ならタダでいいにゃよ。フレッドが王城に呼ばれてるのは、王様が今度行く旅行先の情報を聞く為にゃ」
「旅行の情報? 情報屋のお前じゃなくて、そのフレッドに王様達は聞いたのか?」
「あたしが扱う情報に旅行に役立つ物は無いにゃ。それにフレッドの風呂好きは、一部では有名にゃ。王様もそれを知ってて王都近くに居たフレッドを態々、王都に呼んだみたいにゃ」
「そうだったのか……だが、そんなに重要な事ならなおさら俺に報告してろよな……フレッド奴、戻ってきたら説教だな」
その後、予定通り夕食を一緒に食べたグレン達は、夜も遅くなり夕食を食べ終えた後直ぐに解散となった。
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