第66話 【クラン活動・3】
その後、依頼の地までたどり着いたグレン達は討伐対象の魔物を発見して戦闘態勢へとなった。
今回の戦いは、クランの力を見せるというガリウスの考えから、グレンは戦闘には参加しない事になった。
「よ~し、お前等! グレンの奴にいい所を見せるぞ!」
「「おぉ~!」」
ここに来るまでの間、大分打ち解けたメンバー達は自分達の力をグレンに見せる為にガリウスの言葉に元気よく返事をした。
〝シルバーナイツ〟その名に相応しい、鉄の装備に身を包んでいる団員達とガリウスは、陣形を取って対象の魔物である〝アースドラゴン〟と向かい合った。
ドラゴンと名がついては居るが他の竜種に比べて攻撃力は低く、ただ防御面が強いという魔物だ。
ただほぼ無いとは言え、竜種には間違いなく噛まれたり、押しつぶされるとかなり危険ではある。
「ッ! よっし、足止め成功! 攻撃隊攻撃しろ!」
ただ統率のとれた〝シルバーナイツ〟には、アースドラゴンはちょっと固いだけの魔物で難無く足止めに成功した。
そこから攻撃隊として、大剣や戦斧持ちの戦闘員が自身に強化魔法を掛け、武器をアースドラゴンの頭部を狙い撃ちした。
戦闘が始まって数分で魔物を倒し、戦闘は終了した。
「どうだグレン? 良い戦いだったろ?」
「ああ、昔から変わらずガリウスの所は統率が良く取れてるよな。他のクランと比べても、前衛と後衛の役割分担も上手いし、ほんと連携だけで言えば王都一だな」
「お~、グレンがそこまで褒めてくれるとはな、良かったなお前等!」
ガリウスの言葉にクランメンバー達は、喜びの声を上げた。
それからリック達、荷物持ち班がアースドラゴンの素材の処理をして、戦闘に参加していたメンバー達は腰を下ろし休憩をしていた。
「ガリウス、この後はどうする? 依頼には3体分って書いてあったが、このまま団体で移動して、一体ずつ狩るか?」
「その予定だな、時間的にも十分時間はあるしな」
「そうか、なら次は俺が戦っても良いか? 丁度さっき、メンバーと話してて俺の戦いをまた見たいっていう奴も居たし」
そうグレンが言うと、ガリウスは「構わんぞ」と言いグレンを入れた陣形をメンバー達に伝えて、二体目のアースドラゴンの元へと向かった。
二体目を探し始めて10分程経ち、無事に二体目を発見した。
「んじゃ、最初はさっきと同じで俺達が壁役として出るから、グレンは攻撃隊に入って出てくれ」
「了解」
グレンはアースドラゴン程度なら、一人で倒す事が可能ではある。
しかし、クランに入った以上いずれ連携を強いる場面が来るという事から、今回は連携を意識して戦う事になった。
「――!」
二体目のアースドラゴンは、一体目とは違いグレン達の存在に気付くと威嚇体勢に入った。
威嚇体勢に入ったアースドラゴンは、前足を上げて地面を叩きつけ、地震を起こした。
しかし、ガリウス達は構えた体勢からよろける事無くアースドラゴンと睨み合っていて、地震が収まると同時にアースドラゴンへと接近した。
「――!」
「よしっ、お前等耐えろよ!」
上手くアースドラゴンの攻撃を受け止めたガリウス達、その後ろからグレンが入った攻撃達が前に出て来た。
今回のアースドラゴンは、先程の個体よりも大きい個体だったが、メンバー達が叩き割れた頭部にグレンの一撃が入り、アースドラゴンを倒す事に成功した。
「グレンさん、今のよく頭部の破壊出来ましたね。俺達の攻撃、弾かれて全く通用しなかったのに……」
「そんな事は無い、お前らの攻撃で割れ目が出来て、そこを狙って攻撃をしたから頭部の破壊が出来たんだ。攻撃が通用して無かった訳じゃないぞ」
落ち込むメンバー達にグレンはそう声を掛けて、ガリウスの所へと移動した。
「グレン。今の連携は上手く出来てたな」
「ああ、俺もそう思うよ。ガリウスも上手く、あの個体を受け止めたな。今の個体、成体の中でもかなり大きい方だったろ?」
「そうだな、俺が見たアースドラゴンの中でも大きい部類で受け止められるか不安になったが、後ろにはグレンが居るって考えて少し無茶が出来たよ」
笑ってそう言うガリウス、グレンは鑑定眼でガリウスを見ると足にダメージを負っているのに気付いた。
鑑定眼を使うまでその傷に気付かなかったグレンは、溜息交じりにメンバー達にバレない様にガリウスの足を治した。
その後、素材の回収を終えたグレン達は3匹目のアースドラゴンも難無く討伐して、帰りはグレンの転移眼で王都まで戻って来た。
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