第65話 【クラン活動・2】
「さてと、そろそろ一旦休憩するか」
王都から出て一時間程が経ち、ガリウスがそう言うとメンバー達は周りに警戒しながら、各自休憩に入った。
グレン達が今居るのは、王都から一番近い森を抜けた先にある山脈地帯の入口付近だ。
「流石にこの人数だと、森を抜けるのにも時間が掛かるな」
「まあ、ランクが違う奴等が集まってるからな、それにまあ今回はクランとの交流を深めるのが目的だしな。グレンもここに来るまで、彼奴らと少し会話してただろ?」
「殆どリックだったけどな……あそこまで、俺の事を慕ってくれる奴なんて初めてだから、こっちが調子狂うぜ」
実際、ここに来るまでの間、グレンは参加しているクランメンバーと交流を深める為に、どんな戦い方をするのかという話をしていた。
そんな中、リックは積極的にグレンとの会話に参加して、楽しそうにグレンの話を聞いていた。
「確かにグレンをあんな風に慕う奴なんて、俺もリック以外見た事が無いな……」
そこでガリウスは違うメンバーと話しているリックの顔を見て、リックが入団した当時の事を思いだした。
「そういや、入団する時からお前の事を気にしてたなリックの奴……」
「そうなのか?」
「ああ、そんな事を言ってた気がする」
ガリウスはそう言うと、遠くでメンバーと話していたリックを呼んだ。
「なあ、リック。俺の勘違いだったら悪いんだが、お前が入団する頃にグレンの事を何か気にして無かったか?」
「……気にしていたというか、クランに入った理由の一つがグレンさんと会えるかなと思って入ったんですよね」
リックのその言葉に、グレン達は「は?」とリックの言葉を理解する事が出来なかった。
「あっ! 別に、ガリウスさんのクランにそれ目的で入った訳じゃないですよ!? シルバーナイツの活躍とか、ガリウスさんの人柄とかを聞いて入りたいなって考えて」
グレン達の反応を見て、リックは不純な目的で入団したのではないと弁明をした。
「いや、まあそれは良いんだが……そもそも、お前そんな前からグレンに会いたかったのか?」
「えっとそのまず、僕がグレンさんに会いたいって思ってた理由は、昔僕の村にグレンさんが依頼で来た時に助けて貰ったのが理由です。グレンさんからしたら、依頼の一つを解決しただけだと思いますけど、僕の村って王都からかなり遠い場所で冒険者の人も中々来ない場所なんですよね。そんな所にグレンさんは、一人で依頼を受けに来てくれて、凄い人だなって感じて〝あんな人見たいになりたい〟って思いが強くなって、両親に無理を言って村から王都に出て来たんです」
ガリウスの質問に対して、リックは自分がどんな理由でグレンに会いたかったのかを二人に説明をした。
「辺境の村……もしかして、リック。村に居た時、俺の後ろをずっとついて来てた子供か!?」
グレンはリックの話を聞いて、ピンっと来た昔の出来事をリックにそう聞いた。
「はい、その小さい子供だったの僕です。当時まだ9歳だったので、直ぐに王都に行く事が出来なくて12歳になって直ぐに王都に出て来たんです」
「何かこう見ると面影があるな……」
グレンはリックの事を見つめながら、昔出会った小さな男の子と比べ合わせた。
「そういや、グレンってパーティー組んでる癖にやたら一人で依頼を受けてたな。その時にリックと会ってたのか」
「ああ、大体近場しか受けてなかったが、偶々その時は気分転換も含めて少し遠い依頼を受けてたんだろうな」
当時の事を思いだしたグレンは、一瞬暗い顔をしたが直ぐに普通の顔へと戻した。
「成程な、だからかリックがグレンの悪い噂を信じてなかったのか。クランの奴の中にも何人かは、グレンの噂を信じてた奴が居たが、リックだけ頑なに否定してたもんな」
「はい! だって、憧れのグレンさんが悪い人じゃないって僕は思ってましたから!」
自信満々にそう言うリックの言葉に、グレンは嬉しさを感じた。
その後、グレン達は休憩を終えて、移動を再開して目的の地へと向かった。
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