第63話 【家・3】
その後、話し合いは盛り上がり準備が出来次第、招待状を送ると決めてこの日は解散となった。
フローラが去った後、グレンはもう一度家の中を見て回る事にした。
◇
「それにしても広い家だな……2階建て地下室有り、庭も広くて、これ俺一人で住むには広すぎるだろ」
「確かに人間一人が暮らすには広い家よね。でも、私達も居るしそこまで広さは感じないんじゃない?」
「いや、まあ確かにフレイナ達のおかげで広さの感覚が軽減されてはいるけどよ……元々、俺教会育ちで宿暮らしだったってのもあってか、この家全部が俺の物って考えたら〝広すぎ〟って感情しか出てこないんだよな……」
フローラに家の条件を頼む際、風呂の事で頭がいっぱいで家の広さについてはそこまで伝えてなかった。
「ちゃんと家の大きさ伝えておけば良かったな……」
「そうね。でも、小さいよりは良いと思うわよ?」
「……まあ、そうだよな。そういう考え方をしておくか」
フレイナの言葉通り、小さいより大きい方が何かと便利だと思うし、今は広く感じるけど、もしかしたら住み慣れたら広さにも慣れるだろう。
そう考えなおした俺は、一先ず家の事は置いておいてルドガー達に戻って来たと報告をする為に家を出た。
家を出た俺が最初に向かったのは、クランハウスだ。
「あれ? グレンさん? 王都に帰って来てたんですか?」
クランハウスに着くと、丁度出て来たクランメンバーと遭遇した。
「お~、リックか。久しぶりだな、ついさっき帰って来たんだよ。それで報告しに来たんだが、ガリウスは今居るか?」
「はい、先程ギルドの方から帰って来ましてクラン長室に居ますよ」
リックからそう聞いた俺は、お礼を言ってガリウスの所へと向かった。
「ガリウス、入るぞ~」
ノックをして、そう言いながら入ると中に居たガリウスは呆れた顔で俺の方を見て来た。
「こっちが返事する前に入って来るなよ……ってか、グレン。お前帰って来てたのか?」
「ついさっきだよ。帰って来たから、一応報告に来たんだよ……って、その資料の山は何だ?」
部屋に入ると、ガリウスの机には大量の資料が置かれていた。
「……まあ、何だ。見たら分かるぞ」
「?」
ガリウスの言葉に俺は疑問に思いながら、その資料の束を手に取り中に書かれている事を確認した。
すると、その資料には俺の引き抜きの提案だったり、契約して欲しいという商人からの資料だった。
「もしかして、これ全部か?」
「ああ、そうだ。お前が居ないこの数日間で、こんな沢山来てこっちも大変だったんだぞ……終いには、クランハウスに来る奴も居てな」
「そ、そうだったのか。その何かすまん……」
温泉で疲れを取って居る間に、こんな事になってるとは思っておらず俺は、よく見たらやつれた顔をしているガリウスにそう謝罪をした。
「一応、今日まで届いたのを集めては居るが、どうするグレン? 移籍自体お前の自由だから、お前が決めてくれ」
ガリウスからそう言われた俺は、手に持っていた資料を机に戻してガリウスと目を合わせた。
「全部断ってくれていいよ。結局、こいつらは俺の実績を見てから寄って来たんだろ? よく見たら、俺が昔追い出された店の名前とかもあったし、今更そいつらに擦り寄られても迷惑でしか無いからな」
「……そうか、グレンの口からそれを聞けて良かった」
ガリウスは本当に安心したのか、少し前のめりに座っていた椅子に背中を付けてホッと一息ついた。
「と言うか、俺ってまだ仮入団中じゃなかったか?」
「……そう言えば、そうだったな」
俺もガリウスも〝仮入団〟という事を、今思いだした。
「期限的にはもう直ぐだが、グレンお前クラン活動全くしてないよな?」
「ああ、事件解決に走り回っててクランとしての活動全くしてなかったな……」
「それでクランに正式に入るかどうか決められるか?」
「自由にさせて貰ってて居心地が悪い訳じゃないが、メンバーがどういう奴かすら知らないからな……」
「だよな……どうする期限伸ばすか?」
ガリウスからのその提案に、俺は少し考える事にした。
約束としては一ヵ月で決めるって言ってたのを、それを俺の都合で破るのはな……
「取り敢えず、残り数日間クランの一員として活動をするよ。それで期限内に決めるよ。まあ、今の所悪い所も無いからそのままだったら正式に入団はすると思うがな」
「そうか、それならこの後、ちょっとクランの奴等と依頼でも受けに行かないか? ずっと机仕事で体が鈍っててよ」
ガリウスのその言葉に俺は「別に良いぞ」と返し、報告だけのつもりだったがクランメンバー達と一緒に依頼を受ける事にした。
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