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第61話 【家・1】


 一年振りに、人間界へと戻って来たグレン。

 住み慣れた街である王都へと戻ってくると、顔見知りの情報屋キャロルに頼み込まれ〝王族暗殺事件〟の事件解決に参加する事になった。

 知人達の手助けで、無事に犯罪者と敵貴族の一掃を完遂したグレン。

 地の底まで落ちていた名声は事件解決によって上がり、街を歩くだけでも感謝の言葉や握手を求められる程になった。



「あぁ~、癒される」


 事件解決に走り回っていた俺は、体と心を癒す為に人里離れた秘湯へと来ている。


「フレイナ、この温泉最高だな~」


「ええ、本当にね~」


 久しぶりの温泉で二人してダラーとしており、会話もこんな感じになっている。

 俺達以外にはこの場所には居らず、妖精達も気持ちよさそうに温泉に浸かっている。


 あの日、俺によって捕らえられたアレイン達は犯罪者達と同じ牢屋に入れられ、今は尋問を受けている。

 長い間、犯罪者との関係があったアレインは、特にひどい尋問を受けているとルドガーから聞いた。

 俺自身、あの日で彼奴らとの関わりを完全に断ち切ったと思っているから、こちらから彼奴らの様子を見に行く事はしないつもりでいる。


「それにしても、ここのお湯。妖精界の温泉よりも効能が良いわね……」


「ああ、気持ちよさがこっちの方が良いよな。流石、温泉好きの奴に付いてる妖精なだけあるな」


 この温泉地を教えてくれたのは、王都へ偶々来ていた俺達と同じ風呂好きの冒険者についてた妖精だ。


「それにあの冒険者も気前良かったな、まさか自分が作った休憩所まで使っていいなんてな」


「ええ、そうね。元々大工で風呂の良さに気付いて、冒険者になって秘湯探しの探検に出るなんて、私達以上の風呂好きよね」


 俺は妖精から教えて貰った後、秘湯なんて誰のものでもないが、やはり先に見つけていたその冒険者に俺は改めて使っても良いかの許可を取りに行った。

 その際、その冒険者は「風呂好きに悪い人はいない」と言って気前よく自分が建てた休憩所も使って良いと言ってくれた。


「それにここ以外の良い秘湯も教えてくれたし、マジであの人には感謝だな」


 そう言って俺は、教えてくれた風呂好きの冒険者に感謝しつつゆっくりと風呂に入り、十分堪能した後はその冒険者が作った休憩所休まさせてもらった。

 その後、俺は秘湯に入っては休憩所で寛ぎ、偶に狩りをしたりと温泉旅行を満喫した。

 そして事件解決から約五日程が経った頃、そろそろ王都に戻るかと思い立ち、俺は王都へと戻る事にした。



 温泉旅行という名目の休暇を楽しんだグレンは、五日ぶりに王都へと戻って来た。

 旅行に行く前に契約していた宿とは契約を切っている為、まずは寝床の確保の為にその前に泊っていた宿へと宿泊の契約をしに向かった。


「あれ、グレン? 旅行から戻って来たの?」


「お~、フローラ。街中で会うって、珍しいな。今日、戻って来たばっかりだよ」


 いつも商会でしか会って無かったフローラと偶然、宿に行く途中で再会した。


「って事は今から、宿を取りに行こうとしてた感じかしら?」


「ああ、流石に野宿は嫌だからな、先に宿を取ってお前らに挨拶しに行こうと思ってたんだよ」


 そうグレンが言うと、フローラは笑みを浮かべた。


「グレン、貴方が旅立つ前に私に言ってた事覚えているかしら?」


「フローラに言った事? ああ、家を作って欲しいってやつか? ……いや、流石にあれからまだ数日しか経ってないだろ? 出来てる訳……」


「凄かったわよ。職人さん達のやる気。王城の建築にも携わった事のある大きな大工が「作ってやる!」って言って、それはもう素材から凝った家を建ててくれたわ」


「マジで? いやでも、俺かなり色々と条件言ってただろ? それ全部叶ってるのか?」


 フローラの言葉が信じられないグレンは、驚いた表情でフローラにそう聞き返した。


「全部叶ってるわよ。それにもう家は出来てるんだし、そこまで信じられないなら今から見に行きましょう」


 フローラのその言葉にグレンは頷き、予定を変更してフローラと一緒に完成したと言われたグレンの家に行く事にした。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 王都を震撼させる程の事件に思うのですが、関わった貴族の釈明もなく全く全容がわからないです。 なぜ敵側の貴族が全員参加してたのか、敵とみなす理由も無いし、謀反だとしたら、王に対するなんら…
[気になる点] 頻繁に「彼奴」という単語を使っていますが、どういう読みで使っているのでしょうか? 文脈的には「あいつ」だと思いたいですが、 もしも「きゃつ」という読みで使っているとしたら、すごいワード…
[一言] 王の暗殺事件に関わってた組織の関係者とかほぼ死刑だろうからもうただの拷問だろうな ざまぁがまじでアッサリで終わったな
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