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第06話 【眼の力・1】

腹痛で遅くなりました。

ごめんなさい!


 グレンが妖精界に入って、一月が経った。

 大分、妖精界での生活にも慣れて来たグレンは、フレイナから貰った【妖精眼(フェアリーアイ)】の訓練をしていた。


「グレン。ほら、ちゃんと力を使わないと、また吹っ飛ぶわよ?」


「わ、分かってるよ!」


 代償が無いとはいえ【妖精眼(フェアリーアイ)】の力は、扱いが相当難しい。

 一つ一つの能力が強力で欲望の塊のようなこの眼は、一月経った現在もグレンは思うように使いこなせていなかった。


「魔眼持ちの奴と話した事あって、最初に眼の力を使うのは難しいって聞いてたけど、ここまで難しいとは思わなかった……」


 訓練を始めた日、グレンはそう言いながら深い眠りについた。


「グレンは昔から脳の処理能力は尋常じゃ無かったから、この位良いかなって沢山つけたけどやっぱり3つくらいが良かったかしら? ねぇ、グレン?」


 倒れているグレンに、フレイナはニコニコと笑顔でそんな言葉を掛けた。


「……それで煽ってるつもりかよ。そんな煽り文句が無くても、俺は絶対にこの眼を使いこなしてみせる」


 その言葉にキッと目を鋭くしたグレンは、立ち上がり再び訓練を再開した。



「はぁ~、今日も疲れた~」


 【妖精眼(フェアリーアイ)】の訓練を始めてから、俺の唯一と言っていい楽しみはこの風呂の時間だ。

 俺用にと特別に用意してくれたこの風呂場は、妖精界の魔力で出来ていて疲労回復の効果が付いていて、入っているだけで疲れが吹っ飛んでいく。


「グレンったら、日に日におじさんみたいになって行くわね?」


「また入りに来たのかよ。フレイナ……」


 男の俺の前にフレイナは、全裸で登場して掛け湯をして隣に入って来た。

 ああ、マジで娼館通いして女の体に慣れてて良かったな……童貞だったら、絶対こんなの耐えられなかっただろうな……


「どうグレン。新しい眼は慣れたかしら?」


「まあ、一月も使ってるし最初に感じてた違和感も無くなったな。偶に自分の顔を見た時に目の色が変わってて、まだ驚く時はあるけどな……」


「あら、私とお揃いなのは嫌だったかしら?」


「嫌じゃないけど、自分の目の色が変わって直ぐに慣れないんだよ」


 というか、前の赤目よりもこっちの緑の色の方が俺は気に入っている。


「って、そう言えば最近また妖精が増えた気がするけど、増えたよな?」


 そう言った俺は、この浴場の周りを見渡した。

 一月前、初めて妖精界に入った時も沢山の妖精が居て驚いたが、ここ最近は更に妖精の数が増えている気がする。


「あら、気づいて居たのね。グレンの言う通り、ここに住んでる子供達は増えたわね。まあ、増えたというより戻って来たといった方が良いかしらね?」


「戻って来た?」


 そう俺が聞き返すと、フレイナは妖精の世界について説明してくれた。

 妖精族は生き方として、妖精界で一生過ごす者も居れば人間にくっついて旅をする者も居る。

 そしてそんな中には、新しい住処を作って別の集落を作る妖精も居るとフレイナは言った。


「頂点は勿論、私よ? グレンに分かり易く言うと、私は妖精の王って言った方が正しいかしら?」


「ああ、成程な。フレイナだけ特別感あるもんな」


「えへへ~……って、危ない危ない。またトリップする所だったわ!」


 クネクネとしだしたフレイナは、一瞬そのまま倒れそうになったが何とか持ちこたえて、再び説明を再開した。

 その結果、分かった事は妖精は色んな所に住処を作り、その場所別にトップが居るらしい。

 そしてそのトップが、俺に会いたいから今この場所に妖精が沢山集まっていると言われた。


「成程な……ってか、俺って何でそんなに妖精に好かれているんだ?」


「一番の理由は、グレンの魔力の質かしら? 私の場合は、グレン本体が好きだけど子供達はグレンの魔力に惹かれたり、私がグレンの事ばかり話してて興味が湧いた子もいるわ」


 魔力に惹かれてって、魔力ってそんな好き嫌いがあるのか?


「なあ、フレイナ。魔力に好みとかあるのか?」


「う~ん……まあ、これは特別な種族の特徴って言えばいいのかしら、私達って、人間の事を外見や性格とかの前にその人の魔力を見てるのよ。ドラゴンが人の指示を聞くのって、グレンは不思議に思った事無いかしら?」


「……まあ、それは従魔化したからじゃないのか?」


「従魔化って、魔力で縛りつけるのよ? ドラゴンの魔力は、人間よりも遥かに高いわ。それなのにドラゴンが人間に従うのは、その人の魔力を好きになるからなのよ」


「成程な、今の話で理解が出来たよ。俺の魔力は、妖精族が好きな魔力の質をしてるって事なんだな」


 そう俺が言うと、フレイナはニコッと笑い「ええ、そうよ」と言った。


「だから、ほらグレンが魔法を使う時、子供達が手伝うでしょ? あれはね、グレンの魔力に自分の力も使わせたいからなのよ」


「そうだったのか。てっきり、ただ手伝ってくれてるのかと思ってたよ」


 そう俺が納得していると、フレイナはニコリと笑い言葉を続けた。


「それで手伝った妖精はグレンと繋がり、契約が成立して魔力を貰う事が出来るのよ。それを目当てに手伝ってるのよこの子達は、だからグレン。貴方は、今この世界で一番妖精族と契約をした人になっているわよ」


「……えっ? ちょっ、ハァァァ!?」


 フレイナのその言葉に俺は、驚き大きな声を上げた。


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