第51話 【Sランク・2】
それから移動を続けたグレン達は、依頼の目的地へと到着した。
最初にやる依頼は〝ブラックオーガの討伐〟という依頼で、森の奥に突然現れたブラックオーガの討伐をするという依頼だ。
緊急依頼に近い依頼でルドガーから「これは早めに対処してほしい」と頼まれ、最初の仕事にグレン達は選んだ。
◇
森に着いた俺は、森の中に入る前に何処にオーガが居るか感知眼で探そうとした。
「んっ、グレン。何してるんだ?」
「ああ、言うの忘れてたな。感知魔法で何処にオーガが居るか調べてるから、ちょっと待っててくれ」
そう言って俺は、目に集中して〝感知眼〟を使った。
え~っと、あれは違うな……あいつも違う魔物だ……おっ、居た居た。
「こっから、少し離れた所で動物を食ってるみたいだ。食事に夢中で俺達に気づいてないと思うし、一気に寄せて一瞬で終わらせるか」
「……普通はブラックオーガはランクも高くて、それなりに作戦を立ててやるんだが。お前の場合、それは必要なさそうだな」
「別に作戦を立てて戦う相手か? 一年前の俺でも、一人で普通に倒せてたぞ? 基本的に物理攻撃しかしてこないから、一定の距離を保った状態で魔法で攻撃して、体力を消耗させて一気に畳みかけるやり方で何体も倒した事があるぞ」
そう言うとガリウスは、呆れた顔をして「お前に〝普通〟を求めた俺が馬鹿だった」と言われた。
そんなに変か? と俺は思っていると、会話を聞いていたフレイナからガリウスと同じような事を言われた。
(グレン、貴方は常識からかなり外れた考え方をしているわよ)
(そんなにか? 無茶は少ししてるつもりだったが、そこまで変だとは……)
(自分の脳に魔法を掛けるのは普通かしら?)
(……)
改めてそれを言われると俺は、フレイナに何も言い返す事が出来なかった。
それから俺はフレイナとガリウスの反応を無視し、オーガの場所まで移動をした。
食事中で俺達の事に気付いていないオーガ、俺はそのままオーガの首元に移動して首を斬り落として討伐した。
「鮮やかな動きだな全く、ランクの高い冒険者でも手こずるオーガを一瞬で討伐なんて……」
「まあ、この一年で鍛錬を積んだからな」
最早言い訳した所で俺が異常なのは変わらないから、言い訳せずにそう言いオーガの死体を異空間へと入れた。
「これで一つ目の依頼をクリアって事になるな、どうする次は? こっから近い所で言うと〝デススピアーの巣の駆除〟が近いぞ」
「そうだな、一々戻ってくるのも面倒だし近い所から順に行くか、緊急用の依頼は今の奴だけだったしな」
そう言って俺は、ガリウスと共に次の目的地へと向かった。
それから俺達は、今日受けた依頼を近い順にやって行き、ガリウスと話ながらという事もあり陽が落ち始めた頃に全ての依頼を終えた。
「やっぱ、人と行動してるとその分時間が掛かるな……」
「グレンの体力おかしいだろ……」
最後の依頼は王都からかなり離れた位置にあり、転移を使おうか迷ったが結局走って向かった。
そのせいでガリウスは相当体力を消耗したのか、対象の魔物を討伐してる間、地面に座って休憩をしていた。
「お前一体どんな訓練をしてきたんだよ。明らかに前より体力が増してるだろ……装備の重さとか考えても、その体力どうみてもおかしいぞ……」
「そこはまあ色々とやったからな、それに前から体力には自信あったぞ?」
「ああ、元々化け物染みた体力してた癖に更に磨きがかかって、俺はもうお前が人間なのか疑い始めてるよ……」
人間じゃないか疑う何て、酷い言われようだな……
「まあ、それより無事に終わった事だし、王都に戻るとするか。ガリウス、動けるか?」
「……もう少し、休憩したいんだが」
俺の言葉に、嫌そうな顔を浮かべるガリウス。
俺はそんなガリウスの肩に手をおいて、転移眼で王都から近い森の中に移動した。
周りの風景が一瞬で変わった事に、ガリウスは直ぐに気づいた。
「そういや転移も使えるようになってたな……ってか、それならそれで移動すればよかったんじゃないのか?」
俺が転移を使える事を思いだしたガリウスは、俺をジトーと見つめながらそんな風に言って来た。
「使ってくれと言われなかったし、新しい装備を試したかったからな。言ってくれたら、使ってたぞ?」
それを聞いたガリウスは、溜息を吐いて「ああ、もう良いよ。早く帰りたい……」と言ってゆっくりと立ち上がった。
それから俺達は、王都へ入り冒険者ギルドへと向かった。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。





