第05話 【妖精族・3】
2020/12/28:何度もご視点がありました〝眼〟について一部、文章を変更しました。
その後、話題を戻して俺が気絶した所から説明してもらった。
まあ、予想通りと言えば予想通りだったが、気絶した俺を妖精達がこの妖精界に運び入れ、フレイナが俺の壊れた箇所を治療してくれたみたいだ。
「勝手に治療して、ごめんねグレン。でも、私達はグレンが死んじゃうのは嫌だったのよ」
「……まあ、別にそこは特に気にしてない。絶対に死ぬつもりでやった訳じゃないからな、今回はまあ色々と辛い感情が押し寄せてやったからな」
まあ、本当に死ねていたらそれはそれで良かったと俺は思っている。
「それで、俺を治療って記憶とかも戻ってる感じから、脳も治療したのか?」
「ええ、脳の損傷が酷かったから治療したわ。あのまま放置してたら、グレンは廃人になってた可能性もあるもの、それとグレンの眼だけど少し弄らせてもらったわ」
「眼を弄る? ……さっきから、視界に違和感を感じてたけど、それのせいなのか?」
フレイナの言葉に俺は、眼に手を当ててそう言った。
するとフレイナは鏡を俺に向け、俺はその鏡に映った自分を確認した。
そこには赤い髪に赤目だった俺の姿は無く、髪色は同じだが眼はフレイナと一緒の緑色となっていた。
「眼、眼の色が変わってる……」
「ええ、グレンの眼も脳と同じく損傷が激しくて、治すのも一苦労だなって思って私がいつか使うだろうと思って用意してた新しい眼をプレゼントしたのよ」
「プレゼントって……ちょっと待ってくれ、この眼はフレイナが作ったって言ったか!?」
「ええ、これでも妖精族の長よ? その位出来るわよ。それにグレン達が住む世界には、魔眼という不思議な眼を持つ人も居るでしょ? それと似たようなものよ」
「似たようなものって、魔眼持ちは元からだけど俺の場合は後付けなんだけど……」
しかし、この眼。
フレイナの眼の色と似ているってのもあるけど、なんだか不思議な眼だな……
「なあ、フレイナ。この眼ってもしかしなくても、特別な力とか持ってるのか?」
「あら、よく気づいたわね。私お手製の眼だもの、それはそれは特別な力を宿してるわよ」
「……その能力って聞けるか?」
恐る恐るそう聞くと、フレイナは笑みを浮かべて「良いわよ」と言い、この眼について説明をしてくれた。
「まず、最初にその眼には【鑑定】の能力を付与しているわ。素材の鑑定は勿論、能力だったり、病気が何かまで診る事が出来るわ」
「それだけでも十分凄いんだが……」
鑑定って、そもそも持ってる人が少なくて、それが出来るだけでもギルドや城で働けて、お金を沢山貰えるんだけど……
「あら、鑑定は一番ショボい能力よ? 次にその眼には、広い範囲を見渡す事が出来る〝千里眼〟に、指定した場所へ移動する〝転移〟の能力があるわ」
「……」
その時点で俺は、折角回復した脳の処理能力が追い付かず、その後の説明はただ聞くだけとなった。
そして最後にフレイナから、この眼に宿る力を纏めた紙を見せて貰い、改めてそこで確認をした。
・鑑定眼:全てを鑑定する事が出来る力。
・千里眼:離れた所を見渡す事が出来る力。
・転移眼:指定の位置へ転移が出来る力。
・感知眼:全てを見通し、敵の位置や力の動きを感じ取る力。
・未来眼:先の未来を見る事が出来る力。
この5つの能力に加え、俺は妖精族の王フレイナの力も使用する事が出来ると説明を受けた。
「いや、なにこの贅沢な能力一覧……でも、あれだろこういうのって何か制限とかあるんだろ?」
「えっ? 無いわよ? だって、グレンの為に私が何年も費やして作った特別な眼よ? 代償が必要な力なんて、私がグレンに渡すわけないでしょ?」
ドンッとその豊満な胸を張って、フレイナは言い放った。
「……まあ、でもその眼の力を自然に使えるようになるには、相当な訓練が必要なのよね。そこだけは、どうしても私の力じゃどうしようもなかったわ」
「いや、逆にそこも何とかなってたら怖かったよ。まあ、でもフレイナ。俺の為にこんな凄い眼を作ってくれて、ありがとうな」
「はぅッ!」
「ちょッ、フレイナ!?」
お礼を言った瞬間、変な奇声をあげたフレイナは胸に手を当てて、そのまま後ろに倒れて気絶した。
「あ~、長。倒れちゃった~」
「長、大丈夫?」
「まあ、グレンのあんな顔みたら長、無事な訳ないか~」
フレイナが倒れ気絶すると、何処からか妖精達が集まって気絶しているフレイナをツンツンとしながら、そんな事を言った。
「なあ、フレイナは大丈夫なのか?」
「大丈夫だよー。いつもの事だから、それよりグレン~私達ともお話しよ~」
「長ばっかり、話してたもんねー」
その後、気絶したフレイナを俺が寝ていたベッドに移動させた後、俺は妖精達に捕まり色んな話をする事になった。
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