第48話 【悪者達・2】
そして翌日、早朝からグレンとキャロルは合流し行動を開始した。
まず最初に昨日捕らえたデルムの実家であるルベスター家へ潜入する事にした。
全体的に魔法を鍛えてたグレンだが、姿を隠したりする魔法はまだフレイナの方が上な為、フレイナに魔法を掛けて貰い潜入をした。
「凄いにゃ。こんな魔法があれば、どんな所でも潜入し放題にゃ」
「喋ってないで早く行くぞ、いつ相手が動くか分からないからこんなに早くから来たんだろ?」
「そうにゃね。グレン君、行こうにゃ」
グレンの言葉にキャロルはそう言い、グレン達は静かにルベスター家に入って行った。
魔法で姿と音を消して移動するグレン達は、一切誰にもバレずに家の中に入り込み、難無く書斎に辿り着いた。
姿を隠した状態のグレン達は、外を警戒しつつ部屋の中を調べる事にした。
「……キャロル、こっちに誰か向かってきてるみたいだ。一回、隠れるぞ」
感知眼でキャロル以上の感知能力を持つグレンは、調べていたキャロルに言い壁際に移動した。
そうして部屋に入って来る人物を見ていると、入って来たのは当主のドルムであった。
ドルムは部屋に入るなり、奥の椅子に座ると資料を手に取り仕事を始めた。
その様子を観察していたグレン達は、ゆっくりとドルムの背後に回り、ドルムが見ている資料を確認した。
その資料の中身は、昨日デルムが話した敵の一人とやり取りをしている報告書だった。
そのままドルムはグレン達に気付く事無く仕事を続け、朝食の時間で呼びに来た使用人と共に部屋を出て行った。
「俺達も出るか、目当ての敵の情報も手に入れたしな」
「そうだにゃ。長居してもこれ以上は無さそうにゃ。バレない内に出るとするにゃ」
グレン達はそう言うと、グレンの転移眼でルベスター家の敷地内から外に転移して脱出した。
「しかし、この国も終わってんな。さっきの書類が本当だったら、上層部の殆どが今回の事件に関与してることになるぞ」
「そうにゃね。この国も建国して長いから、そういった悪い考えの貴族も沢山増えたんだにゃ。昔は、愛国心のある貴族ばっかりだったって歴史書には書かれているにゃ」
キャロルは溜息を吐きながらそう言い、次の目的地へと俺達は向かった。
次に向かった場所は、この国の法務大臣を務める〝ブルドリ・ヴィニード公爵〟の王都の家。
ついさっきルベスター家で見た報告書に有った名前で、以前から王妃と対立関係の家だとキャロルがグレンに教えた。
「法務大臣が王族暗殺計画に加担してるんなら、それは色々とヤバいんじゃないか?」
「グレン君の言う通りにゃ。あたしもここまで、敵側が大きいとは思わなかったにゃ……グレン君を味方に出来て本当に良かったにゃ」
キャロルは、本当に良かったと思いそう言った。
そんなキャロルをグレンは、一瞥して家の方に視線を戻した。
「安易に引き受けたが、ここまで大きいとこっちも慎重に動かないといけないな……」
「取り敢えず、敵との交戦は控えて情報収集に集中するしかないにゃね。何処まで、相手が大きいのか今は見当がつかないにゃ」
「キャロルの言う通りだな……もし何かあったら、頼むぞフレイナ」
「ええ、いつでも頼って良いわよ。私達はグレンの味方だもの」
心配そうに言うキャロルとは違い、フレイナは自信満々にそう言った。
そんなフレイナにキャロルは視線をやり「妖精族が味方してくれるのも大きいにゃね」と呟いた。
その後、グレン達は三日間掛けて敵の情報収集に集中した。
その結果、多くの貴族が今回の件に関与している事が分かった。
「リシアナ様、これだけの貴族が今回の〝王族暗殺計画〟に関与していました」
三日間の情報収集を終えたグレン達は、リシアナの部屋へと訪れ、集めた情報を書き込んだ資料をリシアナに渡した。
そうして渡された分厚い資料を手に取ったリシアナは、真剣な表情でその資料を読み進めて行き、全てを読み終えたリシアナは溜息をついた。
「……ここに書かれてる事は、事実だと思っていいのね」
「はい、そこに書かれている事は全て事実であると俺達は言い切れます」
「リシアナ様、事実だと思いたくにゃいのは分かるけど、それは事実にゃ……」
リシアナの言葉に俺達がそう言葉を返すと、リシアナは二度目の溜息を吐くと真剣な顔を作った。
「分かったわ、私も受け入れたくない気持ちを捨てて、現実とちゃんと向きあうとするわ」
そう言ってリシアナは腹を括り、これからどうするのか話し合いを始めた。
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