第47話 【悪者達・1】
キャロルと共に行動する事になったグレンは、ガリウスに〝キャロルとパーティーを組む事・少しの間、クラン活動に来れない事〟を手短に説明をした。
「まあ、別にパーティーに関して文句はないが。暫く、こっちの活動は出来ないのか……」
「すまんな、こいつが勝手に色々と決めたんだ。お前も知ってるだろ、こいつの無茶の仕方は」
グレンの言葉に、ガリウスはキャロルに無茶な頼みをされた事を思い出したのか嫌な顔をした。
「まあ、そうだが……いつくらいに戻ってこれそうだ?」
「う~ん、そうにゃね。早く片付けば一週間もかからにゃいけど、難しい案件だから日程は分からないにゃ」
「……そうか。取り敢えず、クランの奴等には俺から説明しておくよ。キャロルの名前を出せば、クランの奴等も納得するだろうしな」
「そうだな、取り敢えず入団して直ぐに一緒に行動出来なくてすまないな」
「いや、気にするな。グレンは、被害者だからな。頑張って来いよ」
ガリウスがそう言うと、キャロルは「被害者ってなんて事言うにゃ!」と反論していた。
その後、ガリウスに報告を済ませたグレン達はそのままグレンが泊っている宿に戻って来た。
部屋に入ったグレンは、防音用の魔道具を設置して、誰にも見られてないかを確認してからカーテンを閉めた。
「キャロル、お前ギルドを出た後から付けてた奴等の事を知ってるか?」
「見た事あるけど、犯罪者じゃないにゃ。多分、あたしと同じでグレンの情報を集めてる人が居ると思うにゃ」
「そうか、それで彼奴らはお前より技術的にどうなんだ?」
「勿論したにゃ。あたしは王都一の情報屋にゃ」
キャロルはそう自信満々に言うと、ある事を思い出したのか「あっ」と声を出した。
「どうした?」
「そう言えば、ギルドから出る時に離れた所にグレン君の元パーティーメンバーが居たにゃ」
「ああ、居たな。でも俺だって気付いてなかったみたいだぞ?」
「噂を聞きつけてギルドに来たみたいにゃけど、グレン君の姿が変わってて分からにゃかったんだと思うにゃ」
キャロルの言った通り、アレイン達はグレンが戻ってきた噂を聞きつけてギルドに来たが、グレンがグレンである事に気付いていなかった。
「……実際、俺ってどこまで変わってるんだ?」
「そうにゃね。まず、成長期にゃから体が大きくなってるにゃ。それと髪色は同じにゃけど髪型が長髪に変わってるし、一番はやっぱり目の色が変わってる事にゃ」
そうキャロルが言うと、いつの間にか姿を現していたフレイナもキャロルの言葉に続いて、グレンの変わった所を言った。
「それにグレンの場合、以前は他人との接し方に棘がある感じだったけど、今はちょっと優しくなって雰囲気が変わったのもあるわね」
「そうにゃ! 口が悪いのは治ってにゃいけど、ちょっと優しい感じがあるから前より接しやすいにゃ」
フレイナの言葉にキャロルは賛同するように、少し興奮気味にそう言った。
「そんなにか? というか、クソ猫への対応は前とあまり変わらないと思うが」
「全然違うにゃ。前はもっと殺気を当ててたけど、今は全然感じないにゃ」
「……まあ、いいや。取り敢えずあいつらがその内寄って来る可能性も考えないといけないか」
この話が続くのが面倒だと感じたグレンは、そう言って話題を一気に変えた。
「そうにゃけど、あの子達がグレン君に近づいてきても別に問題何て無いじゃないかにゃ? 今更、元に戻りたいとグレン君も思ってにゃいでしょ?」
「俺はそうだけど、あいつらがどんな考えで動いているのか分からない。何となくだが、面倒事に巻き込まれそうな予感はしてるんだよ」
「あ~……でも、まずは王族の事を片付けないといけにゃいから、それまで動かない事を願うしかないにゃ」
「そうだな、まあ今は俺を俺だと認識してないみたいだし、暫くは大丈夫だろうよ」
そう言って、今日の所は解散して明日から行動を開始する事に決めた。
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