第45話 【作戦会議・2】
「リシアナ様、キャロル。ちょっといいですか」
「グレン君、何かいい良い案思いついたのかしら?」
グレンが言葉を発したので、良い案を思いついたのかリシアナがグレンに聞いた。
リシアナのその問いに対して、グレンは首を振った。
「いえ、それとは別の事です……今から、話す事は俺が信頼している人にしか話していない事ですので、誰にも言わない事を先に誓ってもらえますか?」
真剣な表情でグレンがそう言うと、リシアナとキャロルは互いに一度見合って了承の返事を返した。
「まず最初に俺はこの一年間、王都から姿を消していたのはリシアナ様もご存じですよね?」
「ええ、仲間といざこざがあって王都から離れたって、キャロルちゃんから聞いているわ」
「最後、故郷の街を出た後から消息が途絶えて、あたしでもこの一年グレン君を見つける事が出来なかったにゃ。本当に、この一年何処に行ってたにゃ?」
「それを今から説明する」
グレンがそう言うと、リシアナは特に反応はしなかったがキャロルは尻尾をピンっと伸ばして興味津々と反応を示した。
キャロルはグレンの事をこの一年調べていたが、姿を消した後の事は全く情報を手に入れる事が出来なかった。
フローラやルドガーから頼まれ受けた依頼だったというのもあるのだが、いつも以上に張り切って情報を集めていたが進展は全く無かった。
自分の能力に自信のあったキャロルは、グレンの消息が途絶えた事件に自分の能力が通用しなかった事に悔しさを感じていた。
「フローラやルドガー、それこそキャロルが俺の事を探していた事はこっちに戻って来て聞かされた事だが。俺は、この世界とは別の世界で一年間過ごしていた」
「別の世界にゃ?」
「……もしかして、それって妖精界かしら?」
「リシアナ様、妖精界って伝説上の話じゃないのかにゃ?」
「私もそう思っていたわよ。でも、別の世界と聞いたらそこしかないじゃない?」
リシアナはそうキャロルに言うと、グレンに「答えを教えてくれるかしら?」と聞いた。
「はい、リシアナ様の言う通り俺は妖精界に居ました」
「ッ!」
「ほ、本当にあったのね妖精界……」
キャロルは耳をピンっと立て驚き、リシアナもまた落ち着いては居るが驚いた様子でそう口にした。
そんな二人にグレンは、街を出た後の事の顛末を伝えた。
自分の脳を破壊しようと魔法を使って意識を失い、気付いたら妖精界に連れられて行っていた。
そこで妖精族の長と出会い、自分を治療してもらい一年間修行を付けて貰った。
そして冒険者カードの期限が切れる前に王都に戻って来たと、グレンは一年前の出来事から全てリシアナ達に説明をした。
「とまあ、ここまでの話で信じてくれと言っても信じて貰うのは難しいので、今から妖精族の長に来てもらいますね」
グレンはそう言うと、外から見られない様に姿隠しの魔道具を設置してフレイナに合図を送り姿を現して貰った。
行き成りその場にフレイナが現れた事に、リシアナ達は驚いた。
「初めまして、私は妖精族の長フレイナ。今はグレンの契約精霊をしているわ」
「は、初めましてデュレイン王国の王妃をしております。リシアナ・フォン・デュレインと申します」
「きゃ、キャロルにゃ……」
ガッチガチに緊張したキャロルと、何とか平静を保とうしているリシアナはそうフレイナと挨拶を交わした。
「ふふっ、そんなに緊張しなくても良いわよ。貴女達はグレンの味方って分かっているわ」
二人の様子に笑みを浮かべながら、フレイナは二人にそう言った。
フレイナの登場に緊張が生まれ立ったまま話すのはキツイだろうと、グレン達はソファーに座って話しを再開した。
「グレンが言った通り、この一年グレンは私が管理している妖精界で暮らしていたわ。本当はずっとそこで暮らしてても良かったのだけど、外の世界も見てみたいと思ってグレンについて私達も出て来たの」
「……わ、私達というのはグレン君と二人でという話でしょうか?」
「いいえ、貴女は少し人を見抜く力があるみたいだから感じていると思うけど、グレンは約500の妖精と契約しているわ」
リシアナは、これまでの人生で色んな人を見て来た。
それこそ自分に対して好意的な人間から、自分をよく思っていない相手等、そんな生活を送ったせいか元々の才能なのかリシアナは人を見抜く力が少し強かった。
その為、グレンを初めてみた時、言葉や態度には出さなかったが、これまで見た者達に比べてその強さが異常だと感じていた。
「ご、500って……」
「驚くのも無理は無いわ、でも真実よ」
驚くリシアナ、驚きすぎて言葉すら出ないキャロルにフレイナはそう言った。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。





