第35話 【グレンの力・1】
2020/12/08:猫人族に関しまして、後の話で変更点がありましたので多少変更しております。
グレンのシルバーナイツへの仮加入の話は、次の日には噂が流れていた。
何故こんなにも早く噂が流れたのか? それは元々、グレンに熱烈なラブコールをしていたガリウスは有名であった。
そんなガリウスがグレンをクランハウスへと連れ込むのを見た冒険者は、遂にグレンがクランへと入ったと直ぐに噂を流したのだ。
「噂、流れるの早くね?」
流石のグレン本人もここまでの噂の流れるスピードに驚き、仮加入の申請を請け負ったルドガーもまたグレンと同じ気持ちだった。
「流石に早いよな……まあ、でもグレンの情報は高い金でやり取りされてるし、よく流れるんだろうよ」
「はあ? まだ居るのかよ。あのクソ猫……」
グレンの口にした〝クソ猫〟とは、王都で情報を商売をしいてる猫人族の女の事を指している。
1年前、当時のグレンは悪い噂ばかり目立っていたが、そんな中でもグレンが上げた成果を偶に流していたのがその猫人族だ。
「ルドガー、彼奴も確かギルドに登録してたよな? 彼奴の苦手な物とかそういったの、知ってたら教えてくれよ」
「すまんな、向こうもお前と同じく情報は伏せるように言われてるんだよ。グレンもギルドの口が堅いのは知ってるだろ? ギルドからグレンの情報は、一度も出した事が無いだろ?」
「それは知ってるけどよ。彼奴の弱み一つもないのが、悔しいんだよ……」
グレンはそう言うと、申請書の手続きが済んだルドガーから「まあ、何かあったら相談は乗るよ」と言われて受付を後にした。
その後、グレンは手続きのせいで良い依頼を取られたので迷宮へ探索にガリウス達と行く事になった。
本当は一人で行く予定だったが、ガリウスから「今の実力を見たい」と言われガリウスと他数名のクランメンバーと共に迷宮へと向かった。
「グレンの装備は、まだ前のまんまなんだよな?」
「ああ、昨日一応計ったりはしたけど流石に一日じゃ用意は出来なかったみたいだ。取り敢えず、武器だけはボロボロだったし予備の剣を借りて来たって感じだ」
そうグレンが言うとガリウスは「じゃあ、余り無茶は出来ないな」と言い、昨日グレンが一人で行った迷宮より少しランクが低い所へと訪れた。
「んじゃ、戦ってみるから何か気づいたら戦いが終わってから言ってくれ」
「おう。分かった。危なくなったら、いつでも声を掛けろよ」
実力を測る為に来た為、最初の戦闘はグレンが一人で行う事になった。
グレンの実力はガリウスは知ってはいるが、この一年間訓練に費やしていたとグレンの言葉を聞いて何処まで強くなったのか楽しみだった。
そう最初は楽しみにしていたのだが……
「な、何だアレ……」
「り、リーダー。あれって人間の出せる魔法なんですか?」
「……すごい」
ガリウスを含めたクランメンバー達は、グレンの戦いを見て驚いていた。
剣を振るえば、一瞬にして魔物の近くまで接近して、その命を絶ち切ってしまい。
魔法を放てば、圧倒的な火力で魔物は逃げる事すら出来ずに、その命を散らして行った。
ガリウス自身、前のグレンの実力は既に最高峰に位置していて、そこまで変わっては居ないだろうと思っていた。
しかし、蓋を開けてみれば、その考えは間違いだったと気付かされた。
「で、どうだった?」
「いや、普通に話しかけてくんなよ! こっちは今の戦いに驚いてるんだから!」
そうガリウスが吠えると、他のクランメンバー達も首を縦に振った。
その後、暫くしてようやくガリウス達は落ち着きを取り戻して、グレンの能力についての話が始まった。
「訓練してたって聞いたが、ここまでとはな……前のグレンも強かったから、そこまで変わってないだろうなと思っていた自分を殴りたいぜ」
そうガリウスが言うと、褒められ慣れていないグレンは少し照れた顔をした。
「それでガリウス、俺の実力を測るのはもう大丈夫なのか?」
「う~ん、そうだな。今さっきのはグレンの中で、どれくらいの力なんだ?」
「迷宮の中ってのもあるし、大分抑えてたな。それにこの一年で訓練した割合で言うと、魔法の方を結構訓練してたな」
「そうなのか? それじゃ、魔物との戦闘は一旦終わりにして、そのグレンの魔法の実力を見せてくれないか?」
そうガリウスからの提案にグレンは「別に良いぞ」と言い、まだ入って一時間も経って居ないが迷宮の外へ出る事になった。
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