第34話 【再会・4】
中に入ると大きな広間となっていて、クランメンバーが数人居た。
「リーダーおかえりなさい!」
一人のメンバーがそうガリウスに言うと、他のメンバー達も寄って来てガリウスに「おかえりなさい!」と挨拶をした。
そうして集まったクランメンバー達は、ガリウスの隣に居る俺を見て「お客人ですか?」と尋ねた。
ギルドに居た連中は俺と顔見知りというか、よく顔を合わせていた奴等が多くて何となく気づいて居たみたいだが、ここに居る奴等は俺が誰か分からないみたいだな。
それに見た所、年齢も12歳頃の奴等ばかりで冒険者に成りたての奴等みたいだ。
「お前ら見て分からないのか?」
ガリウスはそんなクランメンバー達にそう言うと、メンバー達は全員俺の事を見て来た。
「ガリウス。ここに居る奴等、俺の事噂程度にしか知らないんじゃないか? というか、前の俺と雰囲気が違うからよっぽど俺の事を見ていた奴じゃないと分からないと思うぞ?」
「そうなのか? 俺は一瞬で気付いたが……まあ、それなら言った方が早いな。お前ら、よく聞けよ。こいつは、グレンだ」
「「……えっ!?」」
ガリウスの言葉にクランメンバー達は、俺の事を見ながら驚いた表情となった。
まあ、そうなるだろうな……というか、ちゃんと説明せずに俺だって言ったら、周りから文句とか言われるんじゃないのか?
そう俺が思っていると、驚いていたクランメンバー達は何故か歓喜していた。
「あのグレンさんを連れてこれたんですか! 流石、リーダーですよ!」
「何度も振られてたから無理だと半ばあきらめてましたけど、リーダーなら必ずやってくれると信じてましたよ!」
「よっ、頼れるリーダー!」
クランメンバー達はそうガリウスをヨイショヨイショすると、言われたガリウスは嬉しそうに「ハッハッハッ」と嬉しそうに笑い始めた。
「なあ、これは俺は歓迎されてるって事で良いのか?」
「当たり前ですよ! だって、グレンさんは僕達の憧れなんですから!」
「憧れ?」
クランメンバーの一人、多分だが冒険者になり立て位の少年からそう言われた俺は、少し困惑してしまった。
「そうですよ! だって、グレンさんって殆ど一人でAランクまでランクを上げたんですよね? それに一人でずっとあんなパーティーを保たせてたんですよ? 今の初心者冒険者達の中でグレンさんは憧れの冒険者の一人なんです!」
「そ、そうなのか? が、ガリウスは知ってたのか?」
「いや、全く。偶にこいつらがグレンの事を話してたのは知ってたが、ここまでお前の事を思ってる何て知らなかったな」
俺の言葉に対して、ガリウスは素の表情でそう答えた。
その後も俺は、少年少女達にどうやって一人でランクを上げたのか話を聞かせてと迫られたが、先に話し合いをしないといけないとガリウスが言ってその場を抜ける事が出来た。
◇
「疑った目なんかは慣れてたけど、あんな目で見られたのは初めてでちょっと疲れたな……」
ガリウスと共にクラン長室に入ったグレンは、そう言葉を漏らした。
それに対してガリウスは「あんなグレンは初めて見たな!」と、笑いながら言った。
「しかし、俺の噂って悪い物ばかりなのに彼奴らはよく俺を尊敬の対象に選んだな……」
「それはまあ、グレンの功績が大きいからだろうな。パーティー単位で呼ばれず、お前だけ呼ばれてたのはギルドもそういった面を見ていたからだろ?」
ガリウスにそう言われたグレンは「まあ、そうだろうけどよ……」と言い、疲れたようにソファーに座った。
「まあでも、嫌な目で見られるよりかはマシだな。他のクランメンバーがどうかは知らんけども良く思ってる奴が居ると知って、俺の中でこのクランの良い印象には繋がったよ」
「おっ、それは良かった。後で彼奴らにお礼を言っておかなきゃだな!」
未だ困惑中のグレンと、グレンのそんな姿を見れて楽しんでるガリウスはそれから少しして、ようやく本題のクランの話へと移った。
「基本的に、俺のクランは自由をモットーに活動をしている。自由と言っても、一応はクランだから一緒に迷宮探索をしたり依頼を受けたりは偶にはして貰う事にはなるけど、強制はしない様にしてる」
ガリウスはそう話初めて〝シルバーナイツ〟のクランとしての活動の説明を始めた。
説明は大体5分程で終わり、グレンは元々ガリウスから熱烈な勧誘をされていてその殆どを知っていた。
「まあ、前に聞いてたのと一緒だな」
「ああ、昔から方針は変わってないのも俺のクランの良い所だ!」
「それはリーダーのお前が考え事をするのが嫌いだからだろ……」
グレンのその言葉に、ガリウスは否定せず「それで、どうだ?」と聞いて来た。
「まあ、お試し期間の一ヵ月間クランの活動方針に従ってみるよ」
そのグレンの言葉を聞いたガリウスは、笑みを浮かべ「これから、よろしくなグレン!」とグレンと握手をして、グレンの〝シルバーナイツ〟への仮加入が決まった。
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