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第31話 【再会・1】


 グレンの持ち帰った素材にルドガー含めた職員達がデスマーチを行って居る間、グレンは食べ損ねた昼食をギルドの食堂でとっていた。

 妖精界で暮らしていた間は、野菜をメインで食べていたグレンだった。

 しかし、肉か野菜かで聞かれたらやはりグレンは〝肉〟の方が好きだ。

 なので、久しぶりに腹いっぱいに肉を詰め込む為、5人前程のステーキ肉を注文して、一人で食べていた。


「ん~、ウマウマ」


 幸せそうに食べるグレンの姿は、ギルドの中で少し視線を集めて居た。

 元々、グレンは悪い意味で注目の的だった。

 しかし、一年間失踪していた事でそれらの視線は消えた。

 そして一年が経った今、別の意味で注目の的となっていた。


〝消えた男が変わり果てた姿で戻って来た〟


 雰囲気、口調、オーラ、動き方、その他諸々全てが変化して戻って来た。

 一瞬、人違いかとグレンを知っている者達はそう思った。

 しかし、あの〝ギルドの鬼人〟ことルドガーがその男をグレン本人だと認めた。

 そこから、噂が流れるのは早かった。

 あの場に居た冒険者達は、グレンが王都に戻ってきた事を身内に仲間に、知り合いにと話して行き、一夜にして〝グレンが戻って来た〟という噂は流れた。

 そして、冒険者達は次の日、グレンを確認する為にギルドへと集まっていた。

 


 ルドガー達の仕事が終わるの待ってる間に飯食べようと思ったけど、居心地悪いな……


(グレン。注目の的ね)


(ああ、まあ前居た時よりかはマシな視線だけど、注目が集まるの自体が嫌なんだよな……)


(でも仕方ないわよね。何も言わず一年間も姿を消していた人間が戻ってきたら、どうしたって注目が集まるんじゃないかしら?)


 姿を消しているフレイナとそう会話をしながら、俺は口の中にステーキ肉を入れた。


(というか、冒険者ってのは活動拠点を変える職業なんだから、ただ戻って来ただけでこんな注目集まるのがおかしいと思うんだけど)


 冒険者は活動拠点を転々と移すことが多い。

 だが王都や大きな街に居る冒険者は、基本的に別の場所に移る事は少ない。

 それは何故かと聞かれたら、やはり人が集まる場所なだけあり、それなりに冒険者としての仕事もあるからだ。

 王都だと近くに迷宮がいくつもあり、更に人も多く住み心地も良い為、拠点を移動するような冒険者の数はほとんどいない。


(昔の俺を知ってるからこそ、物見珍しさに集まって来てんだろうな……)


(そうでしょうね。まあ、問題無いんじゃない? 今の所、妖精が見える子も騒いでいないみたいだし)


 フレイナがチラッと妖精と契約してる冒険者の方を見ると、冒険者と契約している妖精がビクッと反応してその冒険者も驚いた反応をしていた。


(そうだな、今の所問題は視線が集まってること位だな)


 そう俺はフレイナに愚痴りながら、沢山注文して山積みに積まれたステーキを一口サイズに切って口の中へと入れた。



 周りの視線を感じつつも無視をしているグレンに、一人の冒険者が近づいて行った。

 シルバーの鎧には剣と盾のマークが描かれ、頭部の装備を外してグレンへと話しかけた。


「お前、本当にグレンか?」


 そう声を掛けたのは、王都を活動拠点としているクラン。

 〝シルバーナイツ〟のクラン長、ガリウス・シルヴァーである。


「んっ? そうだけど何だガリウス、王都に戻って来たんだな」


「ああ、そうなんだよ……ってその言葉は、俺の台詞だろうが! お前、俺が居ない間に姿を消すって俺のことが嫌いなのか!?」


「嫌いじゃないけど、好きでもないぞ? お前と居たら、暑苦しいし」


 そう言うグレンに対して、ガリウスは「ああ、その言葉はグレン本人だな」と言い、椅子に座った。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 誤字訂正ではないのでここに。《》は蛇足を省き、訂正したところです。 「 グレンの持ち帰った素材にルドガー含めた職員達がデスマーチを行って居る間、グレンは食べ損ねた昼食をギルドの食堂で…
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