第299話 【元追放冒険者の居場所・3】
グレン・フォン・ルヴィスの歴史。
帝国で生まれたグレンは、悪魔騒動に巻き込まれない為にと両親が考えデュレイン国の孤児院に預けられ、幼少期を過ごす。
幼き頃のグレンは引っ込み思案でよく泣く子だったが、ある時から大人しい子へと変わった。
そして12歳を迎えたグレンは、共に孤児院で育った者達と冒険者となった。
冒険者時代のグレンは評判が悪い冒険者で、同業者や王都の民から嫌われた存在で居た。
しかし、依頼先の村や街ではグレンを悪者と思う者は少なく、王都の者達との認識の差があったと後に調べて分かった。
魔法剣を得意としており、その技術は高く、一部の実力者からは認められた存在だった。
そしてグレンが冒険者として活動を始めて3年の月日が経った頃、ある事件が起きた。
パーティーからの追放処分。
それには当の本人であるグレンはショックを受け、一時は故郷に帰るが、生まれ育った孤児院からも拒絶されてしまった。
そしてそれから一年、グレンの目撃情報は消えてしまった。
一年後、冒険者ギルドで勤務していた受付係のルドガーは一年振りに顔を出したグレンに驚き、今まで何処にいたのか尋ねた。
なんと、グレンは人類が未だ踏み込んだ事のない土地、妖精界で暮らしていたと発言した。
その後、帰還したグレンは〝王族暗殺計画、悪魔騒動〟という問題解決に多大な貢献した。
そして多くの国々が土地をグレンにと渡し、グレンはルナーバ商会長フローラの手出すけもあり、巨大都市を築き上げた。
未だ健在のデュレイン国が誇る最強の英雄グレンは、まだこれから先多くの物語を作ると予想される。
※この話は一部である為、詳しくは〝グレンの歴史〟を購入してください。
「はぁ……本当に出たよ」
グラム達が帰って、一月程経った頃、一つの新聞が出回った。
その内容の大半はグレンの事で、グレンの経歴やこれまでの歴史が書かれてた内容だった。
「お父さん、そんなに落ち込んでどうしたの?」
「お父さんの話が掲載されてしまって落ち込んでるんだよ……」
「お父さんの話? わっ、本当だ!」
アレンはグレンが持っていた新聞を見ると、驚いた声を上げた。
そして、お茶を注いでいたニアに「お母さん、見てみて」と言いながら新聞を見せに行った。
「グレン、よくこんな話掲載してもいいって許可出したね」
「王族に頼みこまれたんだよ。流石に王様から頭を下げられたら断れないだろ……折角、前に出た時から時間が経ってたのにまた掲載するって、本当にやめて欲しいよ」
そうグレンは後悔した様子で言うと、ニアが注いだお茶を飲み「暫く、外に出れないかもな……」と呟くが、昔程嫌な気分ではなかった。
「えっ、暫く外に出ないってお父さんとずっと遊べるの!」
「ずっとは難しいかも知れないけど、まあ少しは遊べるよ」
「やった~!」
アレンはグレンが暫く引きこもると聞くと、嬉しそうに飛び回った。
それからその日は、一日アレンと遊んだグレンはその日夜、ニアと久しぶりに晩酌をする事にした。
「昔だったら妖精界に逃げるか旅に出てたけど、今はどこかに行くって選択肢が自分の中にない事に驚いたな」
「グレンの居る場所は私達の場所だからだよ」
グレンの言葉に微笑みながらニアがそう言うと、グレンは虚を突かれたような顔をすると、直ぐに笑みを浮かべた。
「……確かにな、昔だったら自分の居場所が無かったけど俺の居場所はもうあるからな」
そうグレンは言いながらニアの事を抱きしめ、自分の居場所であるニア達、そしてこの領地を守っていこうと改めてそう心に決めた。
そんなグレンとニアの様子をフレイナは妖精達と共に見届け、グレンが幸せそうな顔をしてるのを見て満足した顔をした。
「長、凄く嬉しそう~」
「グレンが幸せになってくれたからね。さあ、今夜は邪魔しちゃ悪いから私達は妖精界にでも戻りましょうか」
「は~い」
フレイナは妖精達を連れて妖精界へと戻り、お酒が入り眠くなったグレン達は寝室へと行き、幸せそうな顔で眠りについた。
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