第297話 【元追放冒険者の居場所・1】
グレンは貴族となって、5年の月日が流れた。
青年だったグレンも5年の月日で様変わりをして、伸ばしていた髪は更に伸び〝王国の貴公子〟と呼ばれるようになっていた。
本人は昔は目つきの悪さから怖がられていたのに、どうしてこうなったと悩みの種でもある。
「グレン、最近寝不足みたいだけど、どうしたの?」
「息子の相手を夜遅くまでしてるからな……日中はフレイナ達が見てくれてるけど、やっぱり父親とも遊びたいらしくてな、子供の体力が怖いと思う日が来るとは思わなかったよ」
「ふふっ、アレン君は元気の塊みたいだものね」
グレンとニアの息子はアレンの名付けられ、多くの人々に祝福された。
生まれる前はどっちに似るか心配だったが、二人の良い所だけを受け継ぎ、賢くて元気のある男の子として成長している。
またブラッド家の血筋でもあるアレンは、その対象が〝神〟である事が最近になって分かった。
それには流石のグレンも驚き、ブラッド家の血が益々疑問に思うようになった。
「ブラッド家がおかしいというより、グレンからおかしくなり始めたと思うけどな」
「そうだね。僕の場合、環境的にそうなる運命だったけど、グレンは先に妖精側から好意を寄せされていたからね。そのグレンの子供が神様に好かれるってなっても、納得しちゃうね」
そう言ったのは、帝国からやって来たグレンの父と兄だった。
母親であるアリアとニア、そしてグラムの妻フィリスは一緒に買い物に出掛けており、グレン達は家で留守番をしていた。
「妖精さんとは僕も仲良しだよ! 契約? は出来ないけど、一緒に遊んでくれてるよ!」
「ふふっ、アレン君は妖精さんとも仲良しなんだね。僕達は見えないから、羨ましいよ」
「えへへ~、今もこの部屋に沢山の妖精さんが居るよ~」
アレンはそう言うと、手をパァと天井に向けるとフワッと空中に浮いて部屋の中を飛び回った。
そんなアレンを捕まえたグレンは、膝の上に乗せた。
「アレン、それをやって前に落ちて泣いたの覚えてないのか? 危険な事はしない、母さんと約束しただろ?」
「うっ……ごめんなさい」
「……反省したなら、良いよ。大人の話に子供は退屈だろうから、お前達アレンのお守り頼んだ」
そうグレンは妖精達に話しかけ、アレンは妖精達と一緒に庭の外に出た。
「……アレン君の目って前から思ってたけど、やっぱりグレンのその目と同じ目?」
「ああ、フレイナがそうしたんだ。グレンの子供ならって言ってたから、もしかしたらアレンが大きくなって子供が出来たとしたら、その子も俺と同じ目を持つ事になるだろうな……」
グレンの持つ特殊な目、妖精眼は元はフレイナの力が宿った義眼であった。
しかし、フレイナはグレンの宿る魔力に自分の魔力を通わせた事で、血に自分の魔力を移す事に成功した。
これにより、グレンの血を受け継ぐ者達はフレイナの意思で力を受け継ぐ事が可能となった。
「凄い話だね」
「この話を聞いた時、少し迷ったけどニアから、子供は妖精が見えた方が嬉しいと思うって言葉で、アレンにも妖精眼を与えたんだ。あの時、渡すと決めて良かったと今は思ってる」
そう言いながら、庭で元気よく遊んでるアレンをグレンは見た。
「一応聞いておくが、あれはグレンと同じ能力を持ってるのか?」
「……持ってる。というより、アレンが自力で力を開放させた」
先も言った通り、アレンはブラッド家の血の能力によって〝神〟に好かれる対象となっている。
それにより子供ながら、凄まじい魔力と精神力を持って育ち、グレン達の予想を遥かに超えて妖精眼の能力を全て開放させてしまった。
「3歳児の段階で既に能力を開放してたから、慌てて半年くらい仕事を休んでアレンに力の制御方法を教えたんだ」
グレンは当時の事を思い浮かべ、溜息を吐いて天井を見上げた。
すると、グレンの後ろにフレイナが姿を現して「あの時ばかりは、私も慌てたわ」と言った。
「神の力を甘く見てたわ。アレン君が実験体になってみたいになるけど、次の子からはより強い封印を施す予定よ」
「そうしてくれ、もうあんな大変な目はこりごりだからな……」
「相当大変だったみたいだな」
「ふふっ、久しぶりにグレンのそんな顔を見たよ」
その後、グレン達は自分達の妻達が帰ってくるまでの間、外で遊んでるアレンの所に行き一緒に遊ぶ事にした。
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