第282話 【お出かけ・1】
妖精達の凄さを改めて知ったグレンは数日後、久しぶりにフレイナ達と一緒に行動しながら道の整備を行っていた。
「グレン、こんな感じでいいの~?」
「ああ、幅もその位でいいぞ。ありがとな」
「えへへ~、グレンに褒められた~」
「あっ、ズルイ! 私達もやったのに一人だけ褒められて!」
フローラに指定された道作りだが、最初はグレンは一人でやろうとしていた。
しかし、久しぶりに戻ってきた妖精達はグレンの役に立ちたくて、道作りをやりたがってグレンの仕事を奪い。
その成果報告を妖精同士で奪い合うと事が、今日は何度も行われていた。
「あなた達、そろそろ譲り合いを学びなさいよ……」
「まあ、いいんじゃないか。久しぶりに俺の所に戻って来て、役に立ちたいって思ってくれてるみたいなんだし」
そんな妖精達に呆れた妖精族の長であるフレイナは注意しようとしたが、そんなフレイナにグレンがそう言った。
「……私達が居ない間に、グレンも変わったみたいね」
「んっ? そうか、まあでもフローラからも刺々しい感じが無くなって、優しさが滲み出てきてるって言われたな」
「うん、なんとなくそんな感じがするわ。やっぱり、好きな人が出来たからかしら? 昔もほら、あの幼馴染の子と付き合ってる時はグレンも多少雰囲気が良かったし」
フレイナは昔、まだグレンとエミリーが仲が良かった頃の事を思い出しながらそう言った。
「そうだっけ? その頃の事はあまり記憶にないからな……」
「グレンの中で消しておきたい記憶なのかもしれないわね。まあ、それなら思い出さなくても良いと思うわよ」
フレイナはグレンの事はを気遣いそう言うと、仕事をして戻ってきた妖精達がグレンにまた褒めて~と、言ってきたのを呆れた様子で見ていた。
「領土の半分以上の道をたった二日でね……本当に、凄いわね」
「今回は俺の力じゃないけどな、妖精達が俺の力になりたいからって張り切って交代しながら道を作ってくれたんだよ」
「そうなのね。でも、それは嬉しい誤算ね。道はなるべく早く整備しておきたいと思ってたのよね。元々ある街の人達からお願いだったけど、よく見たらそこの特産品もかなり売れそうな商品があって、道の整備が終わったら私の商会で取り扱おうと思ってるのよね」
「流石、商人だな。金を稼ぐのを第一に考えているな」
そうグレンが言うと、フローラは笑みを浮かべて「勿論」と言い切った。
「それで言うと、近々王都の子達に一度こっちに来てもらう予定なのよね。ほらっ、王都の人の数が減って来てるでしょ? 在庫をこっちに移しておこうと思ってね」
「成程な、ならその移動俺が手伝ってやろうか?」
「えっ、いいの? 私達としては凄く有難い話なんだけど」
「別にいいぞ、フローラにはずっと手伝ってもらってるし、そのくらいはしないとな。それに事前に準備さえしてくれていたら、転移で何回か往復するだけで終わるから、そっちの方が俺としてもフローラの時間を領土の方に使えるから良いからな」
そうグレンが言うと、フローラは「わかった。日付が決まったら、伝えるわね」と言った。
その後、フローラに報告を終えたグレンは家に帰宅して、ニアの料理を食べながら今日の出来事を話して、ゆっくりと風呂で疲れをとり。
寝室に移動した後は、妖精達と少し話をして眠りについた。
「ねえねえ、グレン。ニアちゃんとの結婚式っていつなの?」
「んっ? まあ、もうすぐだよ。今は結婚式に使う場所を作ってたり、その為の道作りをしてるんだ」
「そうなんだ~、早くグレン達が結婚出来たらいいね~。グレン達の子供楽しみ~」
そう一人の妖精が言うと、他の妖精達も「楽しみだよね~」とグレンの子が待ち遠しいといった様子だった。
そんな妖精達にグレンは「出来たら、お前らも仲良くしてやってくれよ」と言って、妖精達は勿論「そのつもりだよ」と返事をした。
その後、一日道路作りに精を出したグレン達一行は残りの道を完成させて、フローラからの指示書通りの道を全て作り終えた。
「まさか、たったの三日で作ってくるとは思わなかったわ。頑張りすぎてない?」
「いや、全く? 今回に関しては、雑談もしつつで全く疲れとかは無いな。逆に気晴らしに外を歩けて、色々とスッキリしてるな」
「折角、街から離れさせる口実だったのに……」
フローラはボソリとそう小さな声で呟き、どうしようかしらとフローラは考え始めた。
そんなフローラを見て、グレンは「建物の方は、まだ完成してない感じなのか?」と聞いた。
「ええ、まだ出来ていないわ。グレン達の結婚式場を作れるって知った職人達が、最高の建物を作るんだって意気込んで丁寧に作ってるから、まだ時間がかかりそうだわ」
「そうなのか、またそれは有難いな……じゃあ、取り合えずその建物が出来るまでは休んでようか。どうせ、俺の仕事は無いんだろ?」
「ええ、後グレンに頼むのは物資の移動位だけど、それはまだ話し合いの段階だから、決まったらまた伝えるわね」
「了解。それじゅあ最近は、仕事が忙しくてニアとの時間も作れなかったし、久しぶりにニアと出かけてみようかな」
グレンはそう最近は仕事が忙しく、家に一人にさせているニアの事を想い、一緒に出掛ける計画を立てる事にした。
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