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第277話 【人材確保・2】


 それから数日が過ぎ、グレンはガリウス、フローラと共に王都のルナーバ商会の建物へとやって来て、待ち合わせ相手を待っている。

 そうして待っていると、部屋の扉をノックする音がしてフローラが返事をすると、従業員が面談相手を連れてきましたと言い、扉を開け中に入って来た。


「どうも、初めましてレッドヘッドオーガ。クランリーダーのケインです。……って、あれ何でガリウスがそこに居るんだ?」


 部屋に案内された男は、部屋に入るなり緊張した様子で自己紹介をした。

 そして顔を上げると、ガリウスが居て驚いた顔をしていた。


「お前の事を知ってるって言ったら、今日の話し合いに招待されたんだよ。まあ、気楽に受けろよ。グレンもフローラも礼儀がちゃんとある奴なら、多少口が悪くても大丈夫だからな」


 ガリウスは事前に、ケインについてグレン達に伝えていた。

 平民からSランク冒険者まで成り上がった冒険者だから、敬語が苦手だったり、作法について少し疎い所等は先にグレン達に教えていた。

 またケインという男についてもガリウスはグレン達に伝えていて、義理堅い男で仲間の事を第一に考え行動する良きリーダー。

 また接しやすい性格だから、民間人とも直ぐに距離を縮められる才能がある事等、ガリウスはこれまでケインと共にした時間で知った事をグレン達に伝えていた。


「ガリウスの言う通り、俺も敬語や作法なんて全く分からんからその辺について強く強いる事はしないから、安心して良いぞ」


「は、はい」


 ガリウスとグレンの言葉を聞いたケインはそう返事をすると、椅子に座っても良いとフローラが言うとまだ緊張した様子で椅子に座った。

 それからフローラが主にケインに色々と質問をしたり、偶にグレンが聞いたりして話し合いは行われた。

 最初こそ、緊張していたケインだったが知り合いのガリウスが居た事で徐々に緊張が解れていき。

 最後の方は笑顔を見せ、その笑みにフローラはガリウスから聞いていた〝接しやすい奴〟という意味が何となく理解出来た。

 そうして話し合いは終わり、ケイン達〝レットヘッドオーガ〟を領土に迎える事が決まった。


「それじゃあ、これからよろしく頼むよ。ケイン」


「ああ、よろしく頼むよ。領主様」


 グレンはそうケインと握手をすると、フローラは手続きがあるからと言って部屋から出て行った。

 そして残されたグレン達は、ガリウスの提案で一緒に食事をする事になった。


「そういや、俺ってケインと冒険者時代に会ってたりするのか? ガリウスは面倒くさい奴って事で覚えてたけど、ケインの事はあまり覚えないんだよな」


「おい、誰が面倒くさい奴だ?」


「ガリウスは言われても仕方ないと思うぞ……まあ、会ったか会って無いかで言うと、会っては居たけど俺達はグレンの事を避けていたから記憶にないのも仕方ないと思う。当時は、ほら色々と噂されていただろ? 俺達は上を目指していたから、面倒事には極力関わらないようにしてたから、噂されてるグレンに近寄ろうとしてなかったんだよ」


 ケインはそう言うと、当時の事をグレンに謝罪をした。


「別に気にして無い。というか、上を目指してる奴等ならその行動が正しいからな。別に咎めたりはしないよ」


「そ、そうか……良かった。移住するのにこの事を黙ってるのはどうかと、ずっともやもやしてたんだよ」


 ケインは胸を撫でおろし、不安が解消されたと笑みを浮かべた。

 そんなケインを見てガリウスは「だから言ったろ、グレンはそんな事は気にしないって」と言った。


「……ガリウス。お前まさか、この食事会を開いたのはこの事を言わせる為か?」


「まあな、ずっともやもやした状態って間に居る俺が嫌だったからな。グレンの性格を知ってるから、そんな事で怒らないと思ってたから機会を作ってやったんだ」


 笑いながらガリウスはそう言うと、ケインは「ありがとな、ガリウス」とお礼を言った。

 その後、悩みが解消されたケインはグレンに悪魔をした時の事や領地の事等、さっきまでは悩んでいて聞けなかった事を食事をしながらグレンに聞き。

 出会って数時間だが、グレンもケインの接しやすい性格に刺激されたのかよく笑みを浮かべながら食事会を楽しんだ。

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