第271話 【これからについて・2】
その後、30分程ガリウス達とニアとの生活について話をしていると、フローラがようやく落ち着いて一度、化粧を直してくると言って部屋を出て行った。
「……まさか、フローラがあそこまで泣くとは思わなかったな」
「そうか? フローラからしたら、出来の悪い弟が結婚の報告をしにきたみたいな感じだから、ああなるのは仕方ないと思うぞ」
「俺はルドガーやフローラとの関係性を余り詳しく知らないが、フローラがグレンの事を大切に扱ってる事は昔から知ってるから、あんな風に喜ぶのは俺でも分かったぞ?」
ルドガーとガリウスはグレンの言葉にそう言うと、化粧直しに出ていたフローラが戻って来て改めて話し合いを再開した。
「それでさっきの話だけど、式はあげた方が良いわよ。今の世界はグレンのおかげであるようなものだから、そんな相手が未婚かも知れないという可能性を否定する為には盛大に世間に知らせる必要があるわ」
「……それなら別に新聞とかで情報を流せばいいんじゃないのか?」
「それで納得するような人が多いなら、グレンの悪い噂も直ぐに消えたわよ。人間は自分の都合のいい様にしか考えられない人が多いわ」
フローラの言葉にグレンは言葉が詰まり、話を聞いていたガリウス達も言葉を掛ける事が出来なかった。
「だとしてもニアの人見知りもあるからな……盛大にやりすぎたら、ニアの負担にもなるし……」
「ニアちゃんの人見知りさえ治せたらいいんだけど……」
「……グレンのお嫁さんになったら、色んな人に会う事になるだろうから治しておいた方がいいと私も思う。だけど治せるか不安」
ニアは自分でも人見知りは治した方がいいと思っているが、治せるか不安だと言った。
「性格を治すって事だからな、相当きついと思うぞ……それこそ、俺は魔法に手を出す程だったからな」
グレンは昔の事を思い出し、嫌な事を思い出したグレンは溜息を吐いた。
そんなグレンを見てフローラは、「確かに無理はしちゃ駄目ね」とグレンの顔を見ながらそう言った。
「まあ、一番いいのは結婚式に呼ぶ相手を選んで、式に来る相手とだけニアと交流させて少しでも緊張しないようにする事位だろうな」
「それなら私でも頑張れそう……でも王族の人達は流石に慣れないと思う」
「安心しろ、俺も王妃様とは流石に慣れたけど国王とは今でも緊張するから」
グレンの提案にニアはやる気を見せた顔でそう言い、取り敢えず今後は式に呼ぶであろう人を選考して、その相手とニアが交流をする事が決まった。
取り敢えず、暫くはフローラ達と人付き合いの練習をする事が決まった。
ガリウスの所でも女性が何人かいるので、そいつらにもニアの話し相手になってもらう様に頼んでみるとガリウスが言っていた。
「フローラには色々と世話になりっぱなしだな」
「良いのよ。好きでやってる事だしね。それにニアちゃんとは仲良くなりたいと思ってたのよね。ニアちゃんの料理、前に食べさせてもらって本当に美味しくて料理を教えて貰いたいと思ってたのよね」
「私の料理でしたらいつでも教えますよ。独学なので、お店のやり方とかは分からないですけど……」
早速、フローラはニアの得意な料理で話を広げて、料理を一緒に作る約束をしていた。
その後、フローラ達はまた来ると約束して帰宅した。
フローラ達が居なくなった後、グレンは少し外に出てくるとニアに言い、転移眼で両親の元へとやってきた。
「式について教えて欲しい?」
「ああ、身近で結婚してると言ったら父さん達くらいしか思いつかなくて、式ってどんな感じなのか聞きたいと思って」
「とは言っても、父さん達も式をやったのはかなり昔だからな……」
「そうね。それに帝国と王国では、結婚式のやり方も違うんじゃなかったかしら?」
アリアの言葉に対して、グレンは「そうなの?」と聞き返した。
「帝国は結婚する家同士が集まって、盛大なパーティーを開く感じだけど、王国は確か教会で結婚式を挙げるような感じって聞いた事があるわ。まあ、何年も前の記憶だから今がどうなってるか分からないけど、昔はそんな風に国ごとにやり方も違っていたわね」
それを聞いたグレンは、どんな結婚式のやり方があるのか調べる必要があると思い、アリアにどんな結婚式のやり方があるのか他に無いか聞く事にした。
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