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第27話 【妖精達と迷宮へ・1】


 翌日、グレン達はギルドが開く時間と共に冒険者ギルドへとやって来た。

 二日続けてグレンの登場に、グレンの事を知っている者達はチラチラとグレンの様子を伺うが話しかけたりはしなかった。

 周りのその様子にグレン達は気づいて居て、自分達に危害を加えてこないならどうでも良いという認識で依頼の張られている掲示板へと向かった。


「さてと、どんな依頼があるかな……」


 ギルドのランク制度は〝S・A・B・C・D・E〟の6段階で、グレンはAランクと一番上から二番目。

 なので大抵の依頼は受ける事が出来る為、全ての依頼書を見て回った。

 その結果、金になりそうな依頼が一つもなかったため、依頼を受けるのはやめる事にした。


「依頼無かったから、迷宮に潜って来るよ。帰りは、夕方になると思うからルドガーの時間予約しておいて良いか? まだ専属契約は、続いてるよな?」


 上位ランクの冒険者は、受付の予約をする制度を使う事が出来る。

 ランクが高くなれば、依頼の難易度も上がり受付の拘束時間も長くなってしまう。

 そんな時に予め予約を取り、他の冒険者と被らない様にする仕組みが冒険者ギルドにはある。


 ちなみに上位ランクの冒険者には、拠点として使うギルドの受付係と〝専属契約〟を交わす事も可能である。

 専属契約には依頼の報酬金や素材の売却費から一割、契約している受付係に行く代わりに、契約を交わす受付係を優先的に対応してもらったり他にも色々とメリットがある。

 そしてグレンは、その〝専属契約〟をルドガーと結んでいる。


「契約はまだ結んでる状態にしておいたよ。俺は、グレンが戻ってくると信じてたからな」


「はは、それじゃその信頼の為に久しぶりにルドガーの懐を潤す為に頑張って来るよ」


 グレンはそう言うと、受付場所から離れてギルドの建物を出て行った。

 そして王都の外に出たグレンは、人目が無い場所へと移動して転移で迷宮の近くに飛んだ。

 転移した迷宮は、アレイン達と一緒に潜っていた場所ではなく、グレンが一人で通っていた迷宮。


「あら、ここって偶にグレンが一人で通ってた迷宮よね?」


 人目が無くなり、近くに人の気配もない事を確認したフレイナは姿を現し、そうグレンに話しかけた。


「そうだよ。Bランクに上がったくらいから、一人で通ってた迷宮で採取素材も魔物の素材も美味しい場所なんだよ」


「へぇ、それじゃ良いお金稼ぎ場所なのね。ねぇ、私達も一緒に戦っていいかしら?」


「別に良いけど、人がもし来たら隠れるんだぞ?」


 そうフレイナに言うと「分かっているわよ」と言い、妖精達も姿を現してグレンと一緒に迷宮の中へと入って行った。

 初めて迷宮に入るフレイナ達は、迷宮の色んな所に興味を示した。

 フレイナ達の持っていた迷宮のイメージは、ジメジメとした洞窟のイメージだった様で入って直ぐに「わ~」と目をキラキラとさせて辺りを見渡していた。


「迷宮ってこんな造りをしていたのね~」


「ああ、意外と迷宮って洞窟のイメージをされてるみたいだが基本的に迷宮は、こういったちょっと整備された場所が多いな。偶に異空間みたいな感じで、森になったり、砂漠になったりする迷宮もあるぞ」


 どうやって造られたのか、誰も知らない未知の場所であるが冒険者にとって良い稼ぎ場所である。

 グレン自身、本を沢山読んで迷宮に関してもいくつかの文献を読んだ事があるが、迷宮に関しては殆ど何も知られていない。


「グレン~、あそこキラキラしてるよ!」


 フレイナと迷宮について話をしていると、一人の妖精がグレンの裾を引っ張りそう叫んだ。

 その妖精の指した先には、光を放つ苔が生えていた。


「んっ? ああ、あれは迷宮苔って言って洞窟型の迷宮に生えてる苔だ。特に価値はないが、ああして迷宮内を照らしてくれてるから迷宮を探索する時は助かってるんだよ」


「へぇ~、迷宮さんって優しいんだ~」


 グレンの説明を聞いた妖精の子は、そう言うと「ありがとね迷宮さん」と迷宮に対してお礼を言った。

 それから暫く、迷宮内を歩いて行くと数匹の魔物に出会った。


「オークの群れか、食用の肉に使われるから出来るだけ綺麗に倒したいな」


「あら、それなら水魔法で窒息死とか、どうかしら?」


「良いなそれ、やってみるか?」


「それじゃ、あなた達やってみなさい」


 フレイナの言葉にグレンがそう返すと、フレイナは水の妖精達に声を掛けた。

 水の妖精達は、フレイナの言葉に「は~い」と返事をするとオーク達に向かって魔法を放った。

 突然の魔法にオーク達は慌てたが、時すでに遅く首から上の頭をスッポリと水で固められていた。

 暫くジタバタと苦しむオーク達だったが、成すすべなく5匹のオークは窒息死した。


「お~、流石。水の妖精だな、水魔法の扱いが上手いな」


「「えへへ~」」


 見事、オークを倒した水の妖精達をそうグレンが褒めると、妖精達は嬉しそうにグレンの周りを飛んだ。

 そんな水の妖精達を見ていた他の属性の妖精達が「私達も!」と言って、水の妖精達に対抗心を燃やした。

 それから見つけた時は、属性別に妖精達を分けてグループごとに一回ずつ魔物と戦闘を行った。

 それにより、迷宮探索開始1時間程で普通の冒険者の一日の稼ぎ分程は稼いだグレン達だった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 冒険者の収入の一部が専属契約のギルド員に行くなら美人受付嬢が色仕掛けで高ランク冒険者と専属契約結ぶってのは多そうだな [一言] 主人公と専属契約結ぶギルド員は美人受付嬢と相場が決まって…
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