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第269話 【嫁探し・3】


 翌日、グレンは再び帝国のブラッド家の領地に居る両親の元へとやって来た。


「……それじゃあ、なんだ。改めて自分達の気持ちを伝えあって、結婚する流れになったのか?」


「そんな感じ、結婚の話が無かったらそういう事にもならなかったと思うけど、まあそういう事になったから一応先に父さん達には報告しておこうと思って」


 ニアと結婚する。

 そう決めたグレンは、一番最初に両親に報告をした。

 その報告を受けたグレイ達は戸惑いつつも、グレンが報告する際に幸せそうな顔をしているのが目に入り嬉しそうに「それは良かったな」と共に喜んだ。


「ぐ、グレン。今更だけど私って、平民だけど大丈夫なの?」


「んっ? 別にいいと思うぞ、確かデュレイン国は結婚する際に身分の差は特に気にしないってキャロルが前に言ってたからな」


「そうなの?」


「ああ、それに駄目って言われてももう決めた事だし、文句言う奴が居たらそれ相応の事はするつもりだ」


 ニアを大事にすると決めたグレンは、自分の決めた事に反論がある者が居たら徹底的に戦うという姿勢を見せた。

 その姿にグレイ達は「おお」と驚き、ニアは若干恥ずかしそうに顔を赤く染めていた。

 そんなグレン達が楽しそうに会話してる中、ただ一人元気が無い者が一人いた。


「それでグラム兄さんはいつまでいじけてるの?」


「昨日までは仲間だと思ってた相手が、行き成り仲間じゃなくなったから辛いんだよ。そりゃ、グレンの幸せは嬉しいし、僕も祝いたいけど今はそっとしておいてほしい……」


「……まあ、そのごめん」


 別に結婚について急いでいないグラムだが、昨日まで同じ仲間だったグレンが行き成り嫁を連れてきた事に多少ショックを受けていた。

 それでも兄として、お祝いの言葉だけは伝え。

 グレンはグラムの事はそっとしておこうと思い、グレイ達から出会いについて聞かれたので暫くはグラムの事は考えない様にした。

 その後、伝える事は伝えたグレンは式を挙げる際は前もって連絡をすると言って、今日は自宅に帰る事にした。


「ニア、今から王城の方に行くけどついてくるか?」


「えっ、お城に? その、まだそこに行く勇気は無いからグレンだけ行ってきて」


「了解。だけどいつかは行かないといけないから、覚悟は決めておかないといけないぞ」


「分かってる。いつかはちゃんと覚悟を決める」


 そうニアの言葉を聞いたグレンは、転移眼で王都へと移動した。

 そして城の城門から入り、王妃が来るまで会議室で待機する事になった。


「グレン君、こうして会うのは久しぶりね」


「久しぶりです。リシアナ様、今日は突然きてすみません」


「いえ、良いのよ。グレン君が来たら直ぐに知らせてって言ってたから、それで今日来たのはどういう理由かしら?」


「はい、俺の嫁についてです」


 その言葉を聞いたリシアナは顔が強張る。

 グレンが自分からそれについて話しにきたという事は、気にふれてしまったのかもしれない。

 そう思ったリシアナだったが、次の言葉に驚き言葉を失った。


「嫁なんですが、もう既に結婚すると言った女性が居ます」


 グレンの言葉を聞いたリシアナは、何を言われたのか理解が遅れた。

 そして数秒後、言葉の意味を理解したリシアナは「えっ!?」と驚いた。


「きゃ、キャロルちゃんからグレン君には、彼女も付き合いそうな女性の知り合いもいないって言ってなかったかしら?」


「それは本当です」


「それなら誰と結婚する事になったの?」


「リシアナ様も知ってると思いますが、帝国で拾ったニアと昨日色々と話し合いをして、お互いに好意を持ってる事に気付いて、結婚するかという流れになったんです」


 それを聞いたリシアナは、ニアの事を思いだして「そう言えばグレン君って女の子と暮らしてたわね」と言った。

 年齢も近い者同士、それに既に一緒に暮らしてて互いの性格も知ってるなら良い結婚相手だとリシアナは考えた。


「それは良かったわ。私達もグレン君が知らない相手と見合いをさせるのも違う気がするし、どうしようかってずっと悩んでいたのよ」


「それとキャロルから相手が平民だろうと関係ない、みたいな事は聞いてたんですが、その辺も大丈夫ですか?」


「大丈夫よ。貴族の中にも平民の子と結婚した人が何人もいるから、グレン君も別に問題無いわ」


 その後、リシアナから式はいつ頃にするのか、場所は何処でするのかと色々と聞かれた。

 結婚すると決めたのが昨日で、まだその辺りは話し合って無いとグレンは返事をして、決まったらまた報告するとリシアナに言い話し合いは終わった。

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