第268話 【嫁探し・2】
翌日、グレンは両親に「また何かあった話にくる」と言って自宅へと帰宅した。
そしてニアの朝食を作って貰い、朝食を食べていたグレンはふとニアにも結婚について相談した。
「グレンが結婚? 誰と?」
ニアはグレンから話を聞くと、驚いた様子でそう聞き返した。
「いや、誰とは決まってない。ただ周りから、結婚して子供を残して欲しいって思われてるんだよ」
「そっか、グレンは強いし、それに貴族にもなったしね。国からしたら、グレンの血を残して欲しいって思うよね」
「ああ、そんな感じで周りから結婚して子供を産んで欲しいって思われてるけど、ニアも知っての通り俺には彼女もいなくてどうしようかって悩んでるんだよ」
そうグレンが言うと、ニアは「確かにグレンって女性と付き合ってないよね」と言った。
「女性の知り合いが居ないわけでは無いけど、グレンの知り合いの女性って全員お嫁さんにするってタイプの関係性じゃないもんね」
キャロル、フローラをはじめニアはグレンの知り合いの女性がグレンと仲は良いけど、それが男女の仲に発展する感じではないと言った。
「確かにな、知り合いの女は全員そういう目で見た事は無いな……長い付き合いのフローラも、どちらかと言えば相談しやすい姉みたいな感じだしな」
「だよね。それにグレンって有名になってから、人との距離かなりあけてるし出会いも無いよね……それでどうやってお嫁さん探しするの?」
「積極的に探してる訳じゃないけど、そこまでズバズバ言われるとかなりきついぞ……」
グレンはニアの言葉に、少しだけ心が傷つき項垂れ。
そんなグレンとニアの話し合いの場に、フレイナが姿を現した。
「グレン、昨日お母さんから結婚は急がなくても良いって言われてたし、国王達に結婚はまだしないって言いに行ったら今回の事は解決するんじゃないの?」
「……確かに、それはいい名案だな!」
フレイナの言葉にグレンはバッと顔を上げて、笑みを浮かべながらそう言った。
そんなグレンに対して、ニアは「本当にそれでいいの?」と聞いた。
「グレン、前に話してくれたよね。自分の居場所を作るって、それって家族も含まれないの?」
ニアと出会い一緒に暮らす様になったグレンは、ニアに〝いつか自分の居場所作る〟という事を話していた。
その話を覚えていたニアは、結婚を拒否するグレンの行動に対して、その時聞いた言葉を言った。
「ニアちゃんいい所をつくわね」
「……俺にとっては悪い所だけどな、これでまた振り出しだよ」
ニアの言葉を聞いたフレイナは笑みを浮かべながらグレンに言うと、グレンは不貞腐れた様な顔でそう言った椅子に座りなおした。
「正直、結婚はしなくてもいいとは俺自身は思ってる。フレイナや妖精達はもう既に俺にとっては家族だし、ニアだってもう長い間一緒暮らしてるから家族みたいなもんだ」
「家族だなんて、嬉しいな~」
「本当の事だしな、正直ニアが居なくなったら俺は寂しく思うし、悲しむとは思う。それくらい、ニアは俺にとって家族に近い存在だと思ってる」
そうグレンが言うと、ニアは嬉しそうに笑みを浮かべた。
そんな二人を見ていたフレイナは、ふと思いついた事を口走った。
「なら、ニアとグレンが結婚すればいいんじゃないの? 一緒に暮らしてきてお互いの事は大体分かってるし」
「「へっ?」」
フレイナの言葉に対して、グレンとニアは驚いた様子でそう反応した。
「グレンの考えでは特に彼女とか嫁とか要らないけど、ニアの事は家族だと思ってる存在なんでしょ?」
「ま、まあ、そうだけど……」
「それにニアもグレンの嫌な所は無いみたいだし、それにグレンが倒れた10日間。普段だったらクランハウスに出掛けたりしてたのに、私と一緒にずっと看病する位にはグレンの事を心配してたでしょ?」
「そ、それは……」
フレイナの言葉にグレンとニアはお互いに目を合わせると、サッと視線を外し、お互いに変に意識したのか顔が熱くなっていた。
「まあ、無理強いはしないわよ? グレンは初めから結婚するつもりは無いって言ってたし、ニアもグレンと結婚するのが嫌なら別にしなくてもいいし」
そうフレイナが言うと、グレンは正面に居るニアの方をチラッと向くと、ニアも顔を向けていて、そんなニアは「……別に嫌では無いよ」と口にした。
「私はグレンと会わなかったら、今頃死んでたと思う。私にとってグレンは命の恩人だと思ってる。だからグレンが嫌じゃないなら、私をグレンのお嫁さんにして」
「……」
ニアからの言葉を受けたグレンは数秒間考え、真剣な顔をして「俺の嫁になった事、後悔するなよ」と言葉を返した。
その言葉にニアは涙を流し、周りで見ていた妖精達は一斉に姿を現すと二人を祝福した。
「……フレイナ、お前これ狙っていたのか?」
「どうかしらね? 一つだけ教えてあげると、二人の本心はずっと前から知っていたわよ。キャロルから結婚の話を聞いて、結婚はしないって言った時のグレンの本当の気持ちもね。両親と話してた時、年下は違うみたいな事を言ったの、あれはニアを思い浮かべて言ってたでしょ?」
「……」
グレンは自分の気持ちが全てフレイナに知られていたと知ると、頭を抱え溜息を吐いた。
その後、グレンは目の前で妖精達に祝福されてるニアを見て、結果的に良かったと思った。
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