第265話 【ヴァルティアの発展・3】
温泉に入りに行く、そう決めてからグレンの行動は早く。
準備をして直ぐ、転移で目的地の温泉へと移動して来た。
「あれ、前来た時は草とか生い茂ってて入口も入りにくい感じだったけど、ちょっと整備されてる?」
転移でやって来た場所の周りを確認したグレンは、一瞬場所を間違えたか? と首を傾げた。
以前フレッドに一度ここを教えて貰った際には、今の様に建物が建てられ綺麗に整えられてなかった。
それなのに今は、小屋の様な入口があり、更には男女別々に入れるように区切られていたり、ちゃんとした風呂場の様な感じになっていた。
「あれ、グレンさんじゃないですか? どうしたんですか?」
中の探索をしていると、建物の部屋からフレッドが現れ、グレンは驚いた顔をした。
「フレッド? お前こそ、何でここに?」
「あっ、俺はあれです。グレンさんに紹介した手前、草が生い茂ってる所に入らせるのもなと思いまして知り合いに相談した所、それなら温泉宿風にしたらいいじゃないかと思って色々と手を加えていたんです」
そうフレッドは言うと、グレン専用の場所も用意したと言ってその場所に案内した。
「それと、ここの改造許可はグレンさんの所に申請書も出してましたけど目に通されてませんか?」
「……そう言えば、なんか温泉宿への改築届みたいなのを見た覚えがある気がする。忙しすぎて、変な感じじゃなかったしフローラ達も許可出してたから、俺もその流れで許可してた気がする」
申請書等を詳しく見る時間も無い程、忙しくしていたせいで見落としていたかもしれないとグレンは思いながらそう言った。
「それにしても作りもシッカリしてるし、かなり費用が掛かったんじゃないのか? 特に受付とか無かったけど、無料で開放するのか?」
「はい、今まで通り無料で入ってもらうつもりです。そもそもこれは自分達が好きでやった事ですからね。もっといろんな人に温泉の良さを知ってもらう為には、入り易さも重要だと最近、同士達と話し合って思ったんです」
「同士達、温泉好きの集まりか何かか?」
「はい、温泉好き集まれという会がありまして、そこでは月に一度、同士で集まって温泉の良さを語り合ったりしてるんです。俺は旅がメインなので、新しく発見した温泉地を紹介する事が多かったんですけど、中には温泉のイメージをもって良くしようと建物の勉強をして大工になった者もいるんです」
グレンはフレッドの話を聞いて、そんな集まりがあるんだなと興味が湧いていた。
温泉の良さを語り合う相手はグレンの中には二人だけ、フレイナとフレッドだけで自分もその集まりに一度顔を出してみたいと思った。
「もしかして、グレンさんも集まりに興味がありますか?」
「ああ、俺も温泉の良さを語り合う相手が欲しいと思っててな。ガリウスとかにも温泉の良さを語っても、あいつ等は殆ど興味を示さないからな……別に体を綺麗にするなら、シャワーでもいいとかいう奴等だから」
「リーダーの悪い所はそこだけなんですよね。リーダーにも温泉の良さを分かってほしくて、俺は何度も語った事があるんです。分かりました。それでは、今度の集まりにグレンさんも招待しますね。丁度、皆にここの温泉の事を話して次のあ作りはここでしようとなってるんです」
フレッドは次の話し合いの日付をグレンに伝え、グレンはその日は絶対に他の用事は入れないでおこうとメモをした。
それからグレンは、フレッドがグレンの為に用意したという温泉に入る事にした。
「おお、流石は色んな温泉地を回ってる温泉好きのフレッドが考えただけの作りだな……滅茶苦茶、雰囲気も良いし眺めもいいな……」
「そうね。これは妖精界にある温泉と比べても優劣が決めきれないわ……」
この場所は山の中腹辺りで、その場所からの眺めは素晴らしい景色だった。
更には入浴場所も石造りとなっていて、グレンは物凄く気に入った。
その後、グレンは一時間以上も温泉を堪能して、グレンが上がって来るのを待っていたフレッドに「最高の温泉だった」と感想を伝えた。
グレンから最高の褒め言葉を貰ったフレッドは、「気に入って貰えてよかったです」と笑みを浮かべながらそう言葉を返した。
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