第261話 【ルヴィス領・2】
数日後、新しい街の建設について、グレンは城に訪問許可を貰い話をしに向かった。
「新しい街ですか……グレンさんの領地は、数ヵ国の土地が集まった地域なので新しい既存のどこかの街を中心地にするのではなく、新たな場所に作るのは名案だと思います」
城に話しをしに行くと、土地関係の担当の人からグレンはそう言われた。
元々、グレンの領地には数カ所、領主が住むような場所があってその中から国々は話し合い、コルノアの街と決めた。
しかし、それは国が勝って決めた事なので国の話し合いでは、もしグレン本人が別の場所を指定した場合、なるべくその案にそう形をとる事と決めていた。
その為、グレンが提案した内容は特に否定される事も無く、すんなりと許可が下りた。
「えっ、もう許可が下りたの?」
グレンは新しい街を作る許可が下りると、直ぐにフローラの所に行きその報告を行った。
流石にこんな早くに、そんな重大な事が決まるとは思ってなかったフローラは素で驚いた。
「正直、俺もすんなりと決まって驚いたよ。ここまで、簡単に決めていいのかって」
「……普通は決まらないと思うけど、多分グレンだからでしょうね。流石、世界の救世主様ね」
「やめろよ……」
フローラから〝救世主〟と馬鹿にされたグレンは、ジト目でフローラを睨み。
それから、フローラとこれからの動きについて話し合いを始めた。
「グレンの話しを聞いた感じ、街の建物とかは全部グレンの魔法で作るのよね?」
「ああ、帝都で沢山作って魔法で家を建てるのも慣れてるから一つの街の建物位なら余裕で作れる」
「それは素材とかは何か必要だったりするの?」
「いや、必要なのは魔力くらいだから、必要な物資は無い。……ああ、でも家具は必要だな、魔法で作る事も出来るっちゃ出来るけど、小物を作るのは慣れてない」
グレンは家や外壁等は、魔法で簡単に作る事が出来る。
しかし、椅子やテーブルといった小物系は帝国でも作った事が無い為、また一から練習が必要になる。
作れない事も無いけど、家具なら職人に任せた方が早いし、そこまで職人の仕事はとりたくないとグレンは思っていた。
「成程ね。それじゃあ、私が準備するのは家具って事になるわね。後は、そのグレンの新しい街の住人の募集かしら」
「住人の募集って、そこまでやってくれるのか?」
「街に人がいないと私達も商売にならないもの、まあグレンが作る街って聞いたらそれだけで沢山の人が寄ってきそうだけどね。この世界で最強のグレンが作る街って事は、そこがこの世界で一番安全な土地って頭が少しでも回る人なら思いつくと思うわ」
グレンの強さは、既に世界中の人達が知っている。
そのグレンが自分の土地を持ち、更には自分の住む街に住人を募集する。
そんな事が知られたら、大勢の人達が集まって来るだろうとフローラは予想していた。
「既にグレンの土地に移住を検討してるって人が沢山居るって、キャロルちゃんから聞いてるわ」
「そう言えば、今日話にしに行った時も同じような事を言われたな……」
「でしょ? 多分、グレンが考えている以上に沢山の人が移動すると思うから、今のうちに対策を練っておいた方がいいわよ」
「そうだな……フローラ、そこに関しては話し合おう」
その後、グレンはフローラと今後の動きについて夜遅くまで話し合いを続け、更に後日ギルド代表としてルドガーを呼び、三人で更に話し合った。
話し合いから一週間後、グレンは新しい街の建設予定地へと訪れ、周囲の確認を行った。
「うん、妖精達に調べて貰った通り、いい感じの街が出来そうだな」
事前に妖精に協力してもらい土地の調査をしていたグレンは、聞いていた通りの場所だと確認して、それからグレンは妖精達と共に街作りを始めた。
帝都で何百個と建物を建てたグレン達は、最初から何もない土地の為に一からグレンの思う通りの街を形成していった。
人が住みやすく、街の安全性を高める作りを念頭に置き、グレンは帝都よりも長い時間をかけて新たな街を作った。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。





