第26話 【報告会・3】
話し合いを終えたグレンは、丁度良いし風呂付の宿を紹介してもらおうとフローラに声を掛けた。
「なあ、フローラ。王都の宿で風呂付の宿って何処にあるか知ってるか?」
「お風呂付の宿? う~ん、知ってるけどかなり高いわよ? グレン、お金持ってるの?」
「一応、ギルド貯金に金は少し預けてたけど……ルドガー、俺の貯金ってまだあったよな?」
そうグレンが聞くと、ルドガーは「ちゃんと管理してるぞ」と言った。
「でもグレン。お前、報酬金の殆どは教会に送ってて、貯金も殆ど残って無いから風呂付の宿なんて泊まったら、直ぐに無くなるんじゃないか?」
「いや、そこは大丈夫だ。一泊分でもあれば、明日から冒険者活動を再開するから、それで一気に金を稼ぐ予定だ」
「まあ、グレンがそう言うなら良いんじゃないか?」
その後、フローラから紹介してもらった高級宿へ宿泊手続きを済ませ、グレンは受け取った部屋の鍵を開けて中に入った。
紹介された宿は、王都でもかなり有名な宿屋で名前を〝火竜の宿〟と言い、竜人の店主が経営している宿屋。
名前は店主が竜人であり火の魔法を得意とする事から付けられていて、特別何か火竜に関係している訳では無い。
「へぇ、良い部屋だな」
グレンは部屋の中に入ると、その造りにそう言葉が漏れた。
広さも結構あり、500人の妖精とグレンとフレイナが入っても余裕が少しある。
「まあ、一泊するだけで銀貨が二桁飛ぶだけあるな」
「そうね。この広さとこの高級感なら、値段的にもおかしくないわね。それにお風呂も中々、いい造りをしているわね」
「そうだよな、まあ二人で入るのには厳しいから別々で入る事にはなると思うけどな」
「そこは仕方ないわね」
フレイナは笑みを浮かべながらそう言い、グレンは部屋の窓辺へと歩き、椅子に座った。
「取り敢えず、拠点は確保できたし明日からは本格的に金策をするつもりだ。フレイナ達は、勿論ついてくるんだよな?」
「ええ、そのつもりよ」
「ついてくよ~」
グレンの言葉にフレイナと妖精達は、その様に返事をした。
「それじゃ、依頼は出来るだけ人目が無い依頼を受けるか。もしなかったとしても、迷宮に潜って素材を持って帰ってくれば良い金にはなるしな」
「そこの辺り、私達は知らないんだけど迷宮の素材ってどういったものがあるの?」
基本的にグレンの行動しか見ていなかったフレイナ達は、冒険者の稼ぎ方をイマイチよくわかっていない。
そんなフレイナ達に、グレンは冒険者のお金の稼ぎ方について説明をすることにした。
「まず、冒険者ってのは二つの稼ぎ方があるんだ。一つは、依頼を受けて報酬金を受け取る方法ともう一つは素材をギルドに買い取ってもらうやり方があるんだ」
グレンがそう言うと、フレイナは「素材ってどんな物を取って来るの?」と質問をした。
「そうだな、例えば今日契約の更新の為に採って来た薬草なんかも、お金に変える事が出来るな。まあ、基本的に使える物は何でも買い取ってもらえるけど、迷宮で取れる素材が高く買い取ってもらえるな」
迷宮の素材は、魔物の素材や鉱石、薬草等様々な物が沢山取れたりする。
その為、殆どの冒険者は依頼で貢献度を上げ、お金は迷宮で取れる素材で生計を立てている者が多い。
「へぇ、それじゃ私達が偶に狩ってた魔物の素材も売れたりするのかしら?」
「そんな事してたのか?」
「グレンが来る前は、グレンの様子を見る以外は暇だったから偶に外に出て狩りをしていたわよ」
そうフレイナが言うと、異空間から魔物の死体を取り出してグレンに見せた。
「……これって、飛竜だよな?」
「ええ、グレンを見つけた森とは別の妖精界の道の近くで暴れてたから、暇つぶし感覚に倒したのよね」
「暇つぶしって……まあ、でも竜種の素材は結構な額で売れるぞ、防具にも武器にも使えるからな」
「あらそうなの? それじゃ、この飛竜の死体はグレンに上げるわ」
フレイナからそう言われたグレンは、自分で倒していないが金に余裕も無いので有難く貰う事にした。
その後、グレン達は夕方まで雑談をして、その日はゆっくりと過ごした。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。





