第259話 【家族団欒・3】
元々、ブラッド家は帝国やデュレイン国がある大陸の出身ではなく、別の大陸の出身でそこからこちらの国にやって来た者達だとグレンは聞かされた。
「まあ、数百年も前の話だからあんまり変わらないけど、その移る前の大陸の話が重要なんだ」
ブラッド家が元々居た大陸の名は、今では歴史の本に名前が載ってるくらいの大昔
に存在した大陸。
その大陸の名は、レヴェルド大陸。
その辺に居るゴブリンですら、凶悪なレベルの魔物が生息してる大陸で数百年前にその大陸内で大きな争いが起きて消えたと歴史書には書かれている。
「……ブラッド家ってそんな凄い大陸の出身が先祖だったの? 知らなかったよ」
グレイの話を聞いたグレン達は、自分達の先祖がそんな凄い土地の出身だと知り驚いた。
「そんな凄い出身って事は、俺達の血についてもそこが関係してるの?」
「そうだね。聞いた話だと、その大陸には神に近しい生物が居て、その方と深いつながりがあったのがブラッド家だったらしいんだよ。それでその大陸の終わりが近づいて、その方からブラッド家は長年仕えた褒美として特別な能力を授けて貰って、大陸を出てこの大陸に移り住んだと聞いてるよ。それがブラッド家の血の秘密だよ」
「……なんか思っていた以上に、壮大な話だったんだな」
「父さんもこの話を聞いた時、同じ事を思ったよ。ただまあ、何となく納得はしたよね。こんな身体能力が強化されたり、特定の種族に好かれる能力が神に貰った力なら納得するよ」
そのグレイの言葉にグレン達は、確かにと思い頷いた。
それから一日、グレンはグレイ達と楽しく過ごした。
その日の夜、グレンは大昔存在した大陸の事なら、フレイナだったら何か知ってるんじゃないかと思いフレイナを呼び出した。
「なあ、フレイナ。今日の話で出た〝レヴェルド大陸〟って知ってるか?」
「知ってるわよ。話を聞いてて、懐かしいな~って感じていたわ」
「懐かしい?」
「ええ、その大陸に一時期過ごしていたことがあったのよ。たださっきの話であった通り、大昔に大きな争いが起き始めて、大きな戦いになる前にそこの大陸には妖精族は出入りしないようにしたのよ」
フレイナはそう言うと、当時の事を思いだして「無くなったのは残念だったわ」と少し悲し気にそう言った。
「無くなったって、昨日の話通り戦いで大陸が無くなったのか?」
「ええ、ほらこの間のグレンが帝都で悪魔と戦ってたでしょ? あれよりも酷い戦いが起きて、大陸事消える戦いが起きたのよ。当時、そこで暮らしてた生物は逃げ切れなかった者は、大陸と一緒に消えたのよ」
「そんな凄い戦いが起きたのか……それって、何で起きたのかフレイナは知ってるのか?」
「私も詳しい話は知らないのよ。ただ話に出た通り、あの大陸には神に近い生物が何匹かいて、その生物通しが戦いを起こした事までは知ってるわ」
神に近しい生物同士の戦い。
それによって伝説上の大陸が消えたと聞き、大昔にはそんな事も起きてたのかと驚きと、そんな面白そうな話もっと早くにフレイナに聞けば良かったと少し後悔した。
「あれ、って事はフレイナはブラッド家の先祖と会った事があるのか?」
「ん~、多分会った事はあるのかも知れないけど、昔過ぎてもう覚えていないわね。確かにあの大陸に人間も住んでたけど、当時は特に人間に興味無かったから」
フレイナはそう言うと、力になれなくてごめんねとグレンに謝った。
その謝罪に対してグレンは「謝る事じゃないから、気にしなくてもいい」と言ってベッドに横になり、頭の中でブラッド家の血について考え始めた。
(神に近しい生物に仕えていたブラッド家の先祖様が、その生物から力を譲りうけて今のブラッド家があるのか話で分かったけど、何でその生物は先祖様を逃がして力まで授けたんだ?)
大陸が消える程の戦いが起きるなら、そんな褒美として力を与えるなんて無駄な行為はしないだろう。
そうグレンは思ったが、長年仕えた相手へと最後の褒美ならそういう事もするのかな? と思い。
眠気に襲われたグレンは、それ以上考える事は出来ずに眠りについた。
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